2005-11-03
1.海中ドームへ行こう
勉強熱心でもあり、遊び好きな子供達は、遊びの計画を立てたら大人も顔負けだ。
ホスピタルでぐったりしていたマイクのために、キラシャが熱心にパールを誘った。
パールがOKしたと聞くと、参加する男の子は大はしゃぎだ。
休日の朝。チルドレンズ・ハウスでは、保護者の所でホーム・ステイしない子供達が、朝寝坊にどっぷりとつかっている。
しかし、今日は海洋牧場へ行く日だ。
キラシャは早めに起きて、ツアーに参加する子に、
届くとキラシャの姿が3Dであらわれ、
「オッハー! 今日は海洋牧場に行く日だよ~! 遅れないようにね~!!」
と大声で話しかけるメールを送った。
お昼は、海洋牧場の博物館屋上レストランに、Mフォンで予約している。
キラシャは、大のお気に入りのチャッピを圧縮して、ポケットにしまった。
『これで、準備はOK。コメットに乗れば、海中ドームまでひとっ飛びだぁ~』
なにしろ、子供同士のツアーは初めてである。くわしく海洋牧場を説明できるのは、自分以外にいないと信じるキラシャは、誰よりもこのツアーに熱が入っていた。
最初っから参加を決めていたキラシャ、ケン、マイク、エミリ、サリーに加えて、ボス格のダンと、引率者気分のヒロと、パールにもっとも興味を示すジョン。
それから、なぜかマギィとジョディ。
美しいパールをエスコートするのは、照れ屋のマイクではなく、女の子にやさしいジョン。ダンも女の子の扱いは苦手なので、今日はジョンにパールを譲ったようだ。
もちろん、先頭を行くのは、今日誕生日を迎えたキラシャだ。
マキは、オリン・ゲームでどうやらひざを骨折してしまったようだ。ホスピタルで治療を受けていて、今日は欠席。
キラシャは、あれからタケルが何のメールもよこさないことに、いらだちを感じていた。
キラシャは、イジメを受けたり、無視されたりするのは平気だったが、ちゃんと約束したことが守れないのには、ガマンできなかった。
タケルが好きだったのは、本当はキラシャでなく、違う子なのかもしれない。そんなイライラや、さびしい気持ちを吹き飛ばしたかった。
それぞれに着飾った子供達は、チルドレンズ・ハウスからコメット・ステーションまでボックスで移動して、休日の大移動の波にもまれながら、コメットに乗り込んだ。
コメットは、まもなく隣のドームへ到着。そこから、海中ドーム行きのコメットへ乗り換える。
まるで遊園地のジェット・コースターのように、回転しながら海の中へと入って行くと、トンネルが透明に変わり、海の色が子供達を包んだ。
そこはもう、海洋牧場だ。天気の良い日は波が輝き、トンネルを囲むように魚が泳ぎ回っている。
青く澄んだ海洋牧場の世界。エイが優雅に舞い、赤・黄・青・緑、さまざまな色や形や大きさの違う魚が、思い思いの場所へと移動する。
海の世界をながめる子供達の何気ない会話が、自然と笑い声に変わった。
パールは、朝から他の子の視線を避けては、時々曇った表情を見せていたが、目の前に広がる青いきれいな海を見ると、うっとりとした顔つきで「ステキ!」とつぶやいた。
アニメの映画監督を目指しているジョンは、パールをモデルに理想の女性を描いてみたいと思った。パールの笑顔を見て、思わずジョンも微笑み返す。
マイクは思うようにパールに近づけなくて、楽しそうに見つめ合う2人をうらやましそうに見ていた。
海洋牧場は、海中ドームを囲むように広がっている。
海中ドームのステーションに到着すると、海洋牧場への出入り口に向かった。おしゃべりを続けながら、水中ボート乗り場へと急いだ。
水中ボートに乗るには、身体にぴったりした専用のスーツを身につける。泳がない子供も、緊急事態に備えて着替えなくてはならない。
受付でMフォンをかざし、本人確認をすると、水中ボートへの搭乗の許可を受け、着衣ルームで自分の体型に合ったスーツを身につけた。
MFiエリアでは、スクール時代の遊びに使うお金は、それほど必要ない。管理局がすべての費用を負担しているからだ。
ドームのゲームコーナーはどれも無料で、Mフォンにダウンロードできるアプリは、たいてい無料で手に入る。
スクールにあるゲーム機は、無料で貸出しているし、許可されているソフトのダウンロードも無料だ。
ゲーム機のメーカーは、スクールへ寄贈すると、卒業後の売り上げ数量が比例して増えるので、新しい機種を製造しては、スクールに寄贈している。
そのかわり、生まれた時に与えられた生命コードは、ロボットの製造コードのように一生ついてまわるし、病気になったら、すべてのデータが、ホスピタルのサンプルになる。
スクールを卒業したら、保護者から必要以上に援助されることは禁止されているから、自分で働きながら生活を維持しなくてはならない。
だから、卒業してから後悔しないよう、精一杯遊んでおくようにと、先生も勧めている。
無論、海洋牧場の入場料や水中ボートの乗船代も無料だ。
乗客の搭乗が締め切られ、水中ボートが管制塔から指示を受け、海中ドームを離れて、海洋牧場の中をゆっくりと進む。
子供達は、ボートの窓から海中や海底をながめ、泳いでいる魚や変わった形の生き物を見つけると、口々に名前を言い合った。
キラシャは、誰よりも早く魚の名前を言い当てたし、名前の由来まで説明し始めるので、そばにいた体格の良い真面目そうなおじさんも、感心しながらその説明に聞き入った。
なにしろ、普通の子の何十倍も通いつめた海洋牧場のことだ。キャップ爺から仕込まれた魚の説明は、他の子に負けるはずはなかった。
ただ、話に勢いがつきすぎて、「海洋牧場にいるタコは足が8本だけど、外の海には足が100本以上もある、このボートの何十倍もある、大きいタコもいるンだって」
「牧場にはいないけど、外の海には温暖化でやせて、空中も飛べるペンギンが、ウジャウジャ…」
ホラかホントの話なのか、いつもの大げさな話をし始めたキラシャに、周りの子供達はニヤニヤしながら、「また始まったよ」とささやき合った。
ボートは海洋牧場を周遊し、途中の安全な区域で、ダイビングが許可された。
パールとジョンはボートに残り、泳ぐ子供達を楽しそうに見守った。
男の子は、パトロール隊の指示に従って、小さな魚の群れを追いかけたり、浅い海底に隠れている貝や生物を見つけたり、お互いの姿をMフォンで写し合った。
女の子は、きれいな魚を見つけては、さわって遊んだ。
その周りで、イルカ・ロボットのチャッピとキラシャが仲良く泳ぎ、シロイルカも寄って来た。
キラシャが輪を描いて泳ぎ始めると、イルカも後を追うように、グルグルと数珠つなぎにつながって泳ぎ出した。
海洋牧場では、海の底から空気の泡が出ている所があり、海水に適度な酸素を送り込んでいる。
イルカは時々そこから空気を吸って、口からきれいな輪を吐き出し、その輪を追いかけて遊んでいた。
キラシャは、イルカの調教技術を持っている。キラシャの合図で、イルカが次々に口から空気の輪を吐き出すと、子供達も集まって来て、その輪を追いかけて遊んだ。
マギィとジョディは、相変わらず2人で、かわいい魚を追いかけたりしていたが…。
ホスピタルで休養しているマキに動画を送ろうと、パールの付き添いをしているジョンの代わりに、ダンがみんなの遊んでいる風景を撮っていた。
水中ボートに戻って来ると、みんなで「これがいい」、「あっこれも」と、わいわい言いながら、動画に落書き編集して、Mフォンで送った。
マキは、アニメ映画にどっぷりつかっていたらしく、しばらくしてメールを送ってきた。
[みんなが編集したの、今見てたアニメより面白かったよ。今度誘ってもらったら、絶対行くからね。だけど、進級テストが終わってからだと思うけど…]
マキのメールをダンから聞いて、進級テストが近いのを思い出したキラシャはヒヤッとしたが、今からがんばればまだ間に合うと思って、誕生日の今日は思いっきり楽しもうと思った。
水中ボートは、ゆっくりと海中ドームの博物館の入り口へ移動した。
そこは、太古からの海の歴史を展示していて、珍しい海の動物の化石や模型像が、順番に動画で紹介されている。
ここでは、説明を聞きながらヒロが得意そうに補足した。
ちょうど、地球の生物の歴史についての授業があったので、ヒロは「ここは進級テストに出るかもよ」と、他の子に学習のポイントを教え始めた。
勉強が苦手なキラシャにしてみれば、何でも知ってる先生のような態度のヒロは、何とも生意気で憎らしい男の子だ。
ヒロが来なければ、ここでも得意になって説明できるくらい、キラシャはたくさん生き物のことを知っていた。
しかし、時々とっぴょうしもないことを言い出すキラシャに比べると、正確な説明のできるヒロの方が信頼されている。
ここは転校生パールの手前もあり、キラシャもぐっとこらえて、ヒロの説明をだまって聞いた。
仮想空間のゲーム・コーナーでは、種の起源から、進化に沿って、いろんな種類の生き物が3Dで映し出され、いろんな質問に答えながら、現代へとたどり着く。
大きなクジラの姿が、目の前で波打つように現われると、子供達の「大きい。スゴーイ!」という歓声が響き渡った。
次は、エレベーターで海中をながめながら、海上の展望台へと上がった。
そこから見える風景は、穏やかな波が漂い、海鳥がえさに群がり、イルカがジャンプしながら移動している姿が見える。
いつも先生やMフォンの指示に追われる子供達は、誰も何も言わず、ただ青い海と流れる波をジーっと見つめていた。
2005-11-23
2.パールの事情
博物館屋上のレストランに行くと、子供達は楽しみにしていたお昼の弁当とドリンクを受け取り、窓際にある机を合わせ、輪になってすわった。
みんな水中スーツ姿で、キャップの部分だけ、後ろにはずしているが、遠くから見ると、区別がつかない。ただ、マイクだけが、大きく目立っていた。
マイクに渡されたドリンクは、特注だ。少しずつ飲むようにとメッセージがついていて、量もけっこう多かった。
キラシャは、『マイクはからだが大きいから、たくさん飲めてうらやましいなぁ』と思いながら、みんなに聞こえるような大声で言った。
「マイク!
そのドリンクをいっぺんに飲んだら、トイレの順番を待ってるうちに、おしっこもれちゃうよ!」
その声はレストラン中に響いて、大きなマイクと特注のドリンクに注目が集まり、大爆笑されてしまった。
みんなが笑っている中、パールもこらえきれず笑い出し、マイクは照れながらパールにたずねた。
「パール オカシイ?
エット アフカ・エリア ドンナ ショクジ?
オイシィ?」
パールは笑うのを止めようと、少し引きつった顔をしながら、マイクの口調に合わせて答えた。
「アフカ・エリア ドンナ ショクジ?
…ソウ モリノ ナカ タベモノ ミツケタ」
周りの子供達は、笑うのをやめて、顔を見合わせた。
「森の食べ物って、おいしいの?」
キラシャが、思わずパールにたずねた。
「…ソウ。オイシィモノ アル。
ワタシノ グループ ミカシ カラ タベタ」
マイクは、パールの間違いに気がついて、得意そうに言った。
「パール ソレッテ ミ・カ・シ ジャナイ。ム・カ・シ ダヨ!」
「ソウ? ム・カ・シ?」
パールにMFi語の指南を始めたマイクに、エミリとサリーがまた大笑いしながら、こう言った。
「それって、マイクが間違えてた言葉だよ~」
「ミカシって、何回も間違えてるもンね。
エムフィのことも、最初はエミフィって言ってたし…」
マイクは、大きなドリンクのボトルで、恥ずかしそうに顔を隠した。
マギィとジョディは、アフカと言えば、だだっ広い草原しか思い浮かばないようだ。
「アフカって、ドームやレストランとかないの?」
「アフカ ドーム アル。
レストラン アル。
デモ コンナ オイシィ ドリンク ナイ。
ホント オイシィ…」
パールは無理に笑顔を作って、ドリンクを飲み始めた。
しかし、マギィとジョディの質問は、まだ続いた。
「森って、ドームの外でしょ?
ライオンとか、トラとか、毒ヘビや毒グモだっているンでしょ?
あんなのと一緒に暮らしてるのかしら」
「戦争だって、まだ終わってないンでしょ?」
「パールの家族って、何してるの?」
パールは、マギィとジョディのどぎつい質問に、顔を曇らせて、黙り込んでしまった。
ダンが怒鳴った。
「マギィ、ジョディ、もう少し、相手のことを考えて話せ!
せっかくのランチが台無しじゃないか。
…パール、気を悪くするなよ」
ヒロもパールには、他の子より気を使って話しかけた。
「アフカの戦争は、最近落ち着いてるから、心配ないよ。
どっちも、やめるきっかけがつかめないだけなんだ。
コズミック防衛軍が介入すれば、時間の問題だよ」
「パールの家族だって、大丈夫だよね…」
キラシャもパールを気遣って言った。
マイクも、ジャンも心配そうに、パールを見守った。
「ウン。…マッテル。
センソウ オワルコト。
カゾクニ アエルコト」
パールが、気丈に振舞ったので、再びなごやかにお昼が始まった。
マイクは、母親に送ってもらったおいしそうなクッキーをみんなに配った。
そこへ、ボートに乗り合わせたおじさんもやって来た。
子供達が声をかけると、ドリンクを片手に、にぎやかな昼食会に加わった。
しばらくして、おじさんはパールに興味を持ち、どこから来たのかたずねた。
パールは、今まで何度も練習した言葉なのか、すぐに答えた。
「アフカ カラ キマシタ。
センソウ デ ヤケド シマシタ。
センソウニ ハンタイスル グループニ タスケテ モラッタノ。
トテモ カンシャ シテイマス」
おじさんは、もう少し、くわしい話を聞かせてくれないかと頼んだ。
周りの子供達も口には出さなかったが、興味を持っていた。
パールは、言うべきか、どうか、しばらく迷っていたが、MFi語でゆっくりと話し始めた。
「ワタシノ グループ カゾクガ オオイ。
ケンカモ スルケド オオゼイデ アソブト タノシカッタ。
アフカ・エリア センソウデ タベモノ ヘッタ。
キョウダイ パパ ワタシ イッショニ モリニ イッタ。
デモ チガウグループ キテ モリヲ ヤイタ…。
チカクデ バーン オオキイ オト。 アツイモノ トンデキタ…。
パパ モエル ワタシ タスケタ…。 」
パールは、ポロポロ涙をこぼした。ジョンがやさしくパールの肩を抱いた。
子供達は、パールの事情をようやく理解した。
おじさんは、言った。
「パール…だったね。
おじさんもドームの中で、何度も暴動を見た。
ある日、何の関係もないおじさんにまで、ロボットが銃を向けたんだ。
そこはマシン社会の発達したエリアでね…。
マシン化していない人間の方が、地位は低いのだ。
これを見てほしい」と言って、おじさんはスーツをめくり、腕の筋肉を子供達に見せた。
子供達は、わぁっと驚きの声を上げた。
「すべての筋肉が、マシンに変わってしまったんだよ。
命を守るため、苦労して得た財産が、マシンの身体になるために消えてしまった。
でも、そのおかげで、仕事の方は順調だった。
ただ、このごろ急に、このエリアに住んでいた人が恋しくなってね。
人間らしい気持ちを取り戻したくて、このエリアに来たんだ。
若いころに出会った女性との間で生まれた娘が、このドームに住んでいる。
あの頃、心から子供が欲しいと思った気持ちを思い出したくて、会いたいと思ったのだ。
…だが、実際に会ってみると、娘は冷たかった。
身体がマシンに変わっていることに気づくと、…娘はもう来ないでと言ったんだ。
おじさんの身体はマシンだが、人間の感情まで失ったわけではない。
…しかし、エリアが違うと、考えがこれほど違っていることに気づかなかった。
…ここでは、マシン人間の地位はずいぶん低かったんだね…」
ダンが、首を振って言った。
「オレ、お父さんがマシン人間でも、別にかまわないと思う。
お父さんは裁判官なンだ。
オレが弱い者イジメする奴をぶん殴ったら、子供の裁判にかけられるだろ?
そのたびに、すっごい怒られるンだ。
『お父さんが裁判官なのに、なぜオマエは裁判にかけられるようなことをするンだ』ってね…。
ホントは、弱い者イジメする方が悪いンだ!
だけど、お父さんはそンなのゼンゼン、わかっちゃいないのさ!
ルールがあったって、イジメる子はたくさんいるンだ。
裁判じゃ、弱い子を助けられないよ。
だから、オレ、裁判官になるより、エリアの警備隊に入って、コズミック防衛軍に選ばれるのが目標なンだ。世界で戦う戦士を目指すンだ!
防衛軍には、マシーン人間や、いろんな民族がいるンでしょ?」
おじさんは「ウン、そうだよ」と答えた。
ダンが続けて言った。
「おじさん、普通の人よりかっこいいし、娘さんの言ったこと気にしなくていいと思うよ! 」
他の男の子もうなずいた。
「そうか。おじさんは君達のような息子が欲しかったな。
だけど、パール。君を助けたお父さんは? 」おじさんはパールを心配した。
「パパモ ヤケドシタ。
…アフカノ ホスピタル イル…」
「君は子供だから、このエリアでの治療が許されたんだね。
アフカか…。おじさんも必要な材料を探しに、あのエリアに行った。
ドームの外には、素晴らしい自然が残っていた。
他のエリアは災害が起きるたびに、どんどん外の自然を見捨てて、ドームの建設を急いでいた。
でも、アフカはドームの外に森を作り、その森を守っていた。
何度、災害や戦争に脅かされてもね…」
その時…
「地底探検のボートが、もうすぐ出発します。早めに乗船手続きを済ませてください」
というアナウンスが流れた。
子供達は人数分を予約して、古い潜水艦の形をしたボートに乗ることを楽しみにしていた。
たくましい男にあこがれを持つケンは、もっと話を聞きたくて、
「おじさんも行かない?」と誘った。
「残念だけど、そろそろ仕事に戻らなくてはならない。
君達に会えて良かったよ。久しぶりに人間らしい気持ちが取り戻せた。
ありがとう。
…パール。アフカの戦争が、一日も早く終わるよう、おじさんもなんとか努力してみるよ」
とパールにやさしく声をかけた。
パールは、おじさんに抱きついて、泣きじゃくった。
「ほら、もう泣かない。
君はお父さんや家族が無事でいると、強く信じていなくてはいけない。
その方が、たいへんなことなんだよ。
パール シンジル。OK?」
パールは泣きじゃっくりしながら、おじさんの言葉にうなずいた。
おじさんはパールを身体から離し、諭すよう言った。
「いいかい、みんなにも君と同じことを信じてもらえるように、仲良くするんだよ」
その時、キラシャが大声で、おじさんに向かって言った。
「パールのことはあたし達が守るよ。パールはあたし達の仲間だモン。
みんな、きっと協力するよ」
おじさんは子供達を見て、しっかりうなずいた。
「それじゃぁ、みんな仲良くな。君達も平和なエリアを守って、元気に暮らすんだよ」
おじさんはそう言い残すと、コメット・ステーションへ向かった。
子供達は「元気でね。また会えるといいね」と遠ざかるおじさんに声をかけ、
何人かがパールの腕を引いて、ボート乗り場へと向かった。
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