法学研究科の月例教授会で、退任のご挨拶。
7月の教授会はもういないので、ちょっと早いがやむをえず。
ふだん法学部教授会には出席していないので、「なんじゃこいつ」的な冷ややかな視線が多い中で、M先生が優しくほほえんでくださったのが印象的だった(たぶん地顔だけど)。
いえ、法学部で授業をしてはいるんですが、霞ヶ関からの教員は法学部の教授会には入れないのです(なぜ?)。別にさぼって出てないわけではないので…
庶務係のTさんが、申し訳なさそうに、「先生、5分ぐらい今いいですか…」
「はい、何でしょう?」
「これを書いていただきたいんですが…」
紙を見ると、辞職願と書いてある。
ああ、これが「肩たたき」ね。
様式によると、
「辞職願
国立大学法人東北大学総長
井上明久殿
私は、任命権者の要請により、 に就職のため、平成 年 月 日付けをもって辞職いたしたいので、ご承認くださるようお願いします。
平成 年 月 日
所属 :
役職 :
氏名 : 」
とある。
任命権者って何?(東北大学の職員は公務員じゃないし)
要請って何?(文書での要請を受けていない(見てない)し)
とか、役人だとついつい聞きたくなるが、大変お世話になっているTさん(←とってもいい人である)の仕事を増やすのもどうかと思い、素直に受け取る。
ちなみにこれは「自筆で書け」となっている。辞職願を自筆で書けってのも一種の拷問だが(名前だけ書けならわかるが。死刑囚に死刑執行許可書全文を自筆で書けと言ってるのと同じなので)、大変お世話になっているTさん(←とってもいい人である)に文句をいって仕事を増やすのもどうかと思い、素直に受け取る。
あ、遺言だから自筆証書がいいわけね。(←ウソです)
やはり心穏やかでないらしく、何度も書き間違え、ようやく完成。
ひょっとして、これ出さなければ辞めなくていいんですか?
… 辞めないと裁判で解雇になる? でもさすがに法学研究科の教員を大学が訴えるなんて恥ずかしくてできないですよねぇ。。。
1974年、総理辞任に追い込まれた田中角栄は、辞任に際して声明(辞職願)を発表し、官房長官だった竹下登が記者会見で読み上げた。何度読んでも胸が詰まる文章である。
スケールは全然違うが、心中は同じ。
さらにこちらは宮仕え。紙一枚でどこへでも。
無事提出終了。(泣)