湖でチュンサンのお葬式をした日、チェリンはユジンの顔を睨みつけた。ユラユラとした炎の中に浮かぶユジンの顔は、信じられないほど美しかった。その顔は少女の顔ではなく、女の顔だった。チェリンはユジンがチュンサンに深く愛されていたのだと確信して、一層憎しみが込み上げてきた。
「やぁ、チョンユジン、あんたのせいでチュンサンは死んだのよ。あんたに会いに行ったせいで死んだのよ!!!」
深々と降り積もる雪の中に、チェリンの声がこだましていた。
その後、チェリンはユジンたちのグループとは少し距離を置いて、他の女子生徒たちと遊ぶようになった。ユジンといることが耐えられなかったのだ。そして前から服のデザインに興味があったので、大学は服飾科に進んだ。
ユジンたちとはますます疎遠になり、チェリンは大学生活を思う存分楽しんだ。
美人で勝気で自信に満ち溢れているチェリンの周りには、沢山の男子生徒が集まってきた。チェリンは気に入った男子生徒と付き合っては、自分の魅力を確認した。
大学を卒業後は、ブティックに勤めていたが、思い切ってパリに留学することにした。
パリに立つ前、チェリンは久しぶりに高校の仲間に会った。4人とも相変わらず垢抜けない。特に高校時代はあんなに勝気で陽気だったユジンが、キムサンヒョクに寄り添うようにして、ひっそりと立っているのが印象的だった。髪の毛も短くなり、服も地味で目立たない。しかし昔より清楚な雰囲気になっていた。いつか植物園で見た白いスミレのようだった。もっともわたしは赤いバラのようで、私の方が男性にとっては魅力的ね、と心の中で勝ち誇ったけれど。
パリに留学してもうすぐ帰国というとき、彼に会った。そう、イミニョンさん。初めて会ったときは、あまりにチュンサンに似ていて、持っていたコーヒーカップを落としてしまった。顔はそっくりだけど、受ける印象がまるで違った。チュンサンを月とすれば、彼は太陽。いつも笑顔で、周りを明るく照らしていた。その明るさと優しいさ、包容力はまさにチェリンが求めていたことだった。茶髪が良く似合い、オシャレで、スマートな彼にたちまち恋に落ちた。そんなチェリンに、ミニョンさんは優しくレディを扱うように大切に接してくれた。しかも、韓国で自分のブティックを開く私についてくるように、自分も韓国で仕事をするという。
まさに運命的な出会い、ついに本物の恋をつかんだとチェリンは思った。
そのとき、ふと思いついた。チュンサンにそっくりなミニョンさんをユジンたちに見せつけて、見せびらかしてやろう、今度こそ私が勝者だとユジンに分からせてやるのだ、チェリンは10年ぶりのリベンジを誓って、韓国に帰国した。