goo blog サービス終了のお知らせ 

里海邸|大洗海岸。東京都心より90分、大海原が広がる静かな別邸へ

「素朴を上質に」海の別邸は、隠遁時間。~波と光色。湯と縁側。陶と食。磯と木の食卓。|里海邸 金波楼本邸 公式ブログ

海水風呂のある施設

2007年11月13日 | 宿の話題・主人の旅記録
かつて海沿いの宿では浴槽水に海水を入れて利用しているところもあったし、昔は潮湯治なんて言葉もありました。調べてみると現在でも結構そういう施設があるのでピックアップしてみました。

高知県 黒潮本陣

 こちらの宿。第3セクターの宿ですが、人気があります。

北海道 ホテルノイシュロス小樽

 この宿は、ちょっと高級でお洒落。人気急上昇中です。

沖縄県 与論コーラルホテル

 沖縄には海水風呂のホテルがいくつかあります。 

タラサ志摩ホテル&リゾート

 国内のタラソ施設の老舗ホテルです。

テルムマラン

 この勝浦にあるテルムマランはすこぶる評判が良いようです。以前、こちらの施設の当時の支配人とお話させて頂いたことがあったのですが、高いノウハウとプロフェッショナルな印象を覚えています。

その他、イタリアのリゾートには海水プールが結構あるようです。


追記:
潮湯治から海水浴への変遷についての記事

偶然見つけた「海水で洗濯しているという」日記。
海水の効果 南の島だより~石垣島にて~

オンリーワンの海景色をもつ宿

2007年11月12日 | 宿の話題・主人の旅記録
当館の立地環境を活かした風呂を考える上で、国内の「海景色が個性にまで昇華されている宿」をピックアップしてみました。


まずは定番。伊豆の超有名宿。(お篭り系旅館)
月のうさぎ

 客室露天風呂ブームの火付け宿なんだそうです。


西の代表はやっぱりこの名旅館!(料理旅館)
望洋楼

 HP見ていると、おいおい海に落ちちゃうよ!とツッコミたくなります。


北陸代表は能登から、個性的すぎるこの宿!(新感覚リゾート旅館)
ランプの宿

 こちらの宿は、一度見たら一生忘れない絵を持っています。


中国地方は先日紹介したこの宿!(生活延長旅館)
小屋場只只

 海との付き合い方が素敵。海辺で暮らすという雰囲気があります。


九州は屋久島より(非日常旅館)
送陽邸

 この宿は、公式HPより他の紹介ページを見たほうがその良さが分かるような気がします。ここはもはや秘境ですね。



これらの凄い宿を超えるのって大変だなあ。頑張ります。

なにもない 素敵な 海辺宿

2007年10月19日 | 宿の話題・主人の旅記録
気になっている宿を紹介します。
自分が考えていたようなイメージに近い宿を、すでにカタチにしているところがありました。

肩の力が抜けているようで、回天をテーマにした社会メッセージなどを潜ませるところが個性的で、宿の空間は私の好みです。うん。リンドバーグっぽい感性を感じるではないですか。素晴らしい。

小屋場只只 http://www.koyaba.jp/

小屋場只只の詳細が分るブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/jagjag1003/8112871.html

仙仁温泉岩の湯 再々訪

2007年10月04日 | 宿の話題・主人の旅記録
昨日、長野仙仁温泉岩の湯に行ってきました。これで3回目です。

今回は紅葉シーズン前ということもあり、宿の周囲を囲む木々は葉がいっぱい付いていて豊かな山里の風景といった趣きでした。たまたま前回も前々回も寒い時期に宿泊しましたので、夏のなごりの岩の湯さんの風景はとても気持ちが良かった!

私は旅館の勉強をしているため、これまで宿に宿泊すると写真を取りまくったり、館内でもビデオ撮影ばかりしていたのですが、今回はもっとお客様に近い感覚で楽しみたいと思い、撮影機器はほとんど使いませんでした。

宿泊した誰もが驚くのは岩の湯さんのパブリックスペースの豊かさ・贅沢さですが、今回、撮影などせず宿泊して初めて気が付いたのは、主張が控えめで落ち着いた客室が確かに心地良いことです。しみじみ実感しました。しかも面白いのはよく見るとご主人のこだわりがそこかしこに読み取ることのできる客室なのです。

今回宿泊したお部屋は仙郷亭の「紅葉」という和洋折衷のお部屋でした。

和室+ログハウス風リビングの融合?という感じですが、控えめな雰囲気と細かなディテールで表現された森の中の部屋といった風情は、建築専門家のご批判覚悟で言うと個人的に数寄の考え方はこうあるべしという「熱さ」が涼しげな客室景観の中に潜んでいて、やはり凄いなぁと関心しきりでした。(すみません写真はありません)

決まりきった様式・型にはまらず、顧客が本当に癒される本物の客室を作る追求心に敬服いたしました。なんとなく建築家横内敏人さんの現代数寄建築作品を思い出しました。うーんやっぱりこの控えめでメランコリーな感じが好き。

マネージャー様をはじめ、今回もスタッフの皆様には大変お世話になりました。満室で忙しいところ、今回も図々しく無理なお願いをしすみませんでした。お陰様で有意義な旅になりました。

箱根の宿

2007年05月11日 | 宿の話題・主人の旅記録
箱根・小涌谷の温泉宿「水の音」に行ってまいりました。

共立メンテナンスという会社により運営され、ドーミーヴィラ箱根がリニューアルして新しい名前でオープンした宿です。共立メンテナンスと言えば、旅館の再生事業や新規参入を次々と行っており、修善寺の「湯回廊菊屋」伊豆高原の「きらの里」強羅の「雪月花」など続々と開業しており、業界にインパクトを与えています。

目的は、限られた客室サイズで露天風呂付き客室が販売好評のようでしたので、今回宿泊し、今後の当館における旅館客室の設計を考えることです。

宿泊したお部屋のサイズは36㎡。

通常の客室であればおよそ20畳の空間となり、これを本間10畳+広縁4畳+洗面とトイレ、内風呂などを含めたスペースで6畳で配分すると、問題無しの客室の広さです。

今流行している露天風呂を客室に設置するとなると、ベランダに風呂を設置するため、シャワーブース・洗面などは、窓際の壁に沿って設置しないと不便になります。

そこでこちらの宿では、設置したらそれだけ部屋の居住スペースが狭くなるので、閉塞感が出ないように、障子や襖などの間仕切りを外しています。

この宿は旅館というよりも、リゾートホテルが和風の装いをしたという感じですので、ベッドを模した布団がフローリングにあらかじめ敷いてあり、6畳程度の畳に卓袱台がある座敷を付けています。クロゼットや水屋などが壁際のカウンター部にぎっしりと納まっており、ビジネスホテルの客室が開放感を持ったという感じでしょうか。36㎡にあらゆる機能を詰め込んでいるのには関心しましたが、さすがにごちゃごちゃしていました。

客室のベランダにある露天風呂は沸かし湯でしたが、すがすがしい開放感を感じました。しかしベランダなので、マンション住まいの方は日常的な印象を抱く人もいるかもしれません。
それを気にしなければ、新緑の箱根の山の景色は良いし、小鳥の合唱を楽しみながら風呂を楽しめるなんてのはかなり気持ち良かったです。ベランダには竹のベンチもあるので、のんびり山の空気を吸いながら歯磨きしたり非日常を満喫しました。

リゾートホテルとしては、十分にお客様を満足させるお部屋だと思います。

箱根の風情・和風の趣とか地方性は、経営方針からか?考慮されていないのですが、それがこの宿のあり方なのでしょう。すっきりしています。

さて自分はどうするか?

う~ん。流行とは違いますが、やっぱり和室はなるべくシンプルが好きです。

特に就寝時にごちゃごちゃしたお部屋の意匠が見えるのは苦手なんです。チェックイン時に「おおっ!」と思うお部屋は、一晩過ごすと何故か疲れる。。。お部屋の意匠が主張しすぎてうるさく感じられるのです。

一見地味でも、客室設計に一貫した哲学があって、じわじわと一晩掛けて癒してくれるようなお部屋が好きです。

私の中では旅館はあれこれ仕掛けの多いテーマパークではありません。自宅以上に、静かに休むことが出来、誰にも気兼ねなく自由な時間を使える場所なのです。

豪華な花束より、一輪の野の花のほうが心を癒してくれる。そんな感じです。



広島 「庭園の宿 石亭」

2007年04月26日 | 宿の話題・主人の旅記録

先週、広島へ家族で1泊旅行に行って参りました。
前回に続いた人気宿の勉強として「庭園の宿 石亭」という宿に泊まることが目的です。現在大変な人気で予約がなかなか取れない宿として知られています。

宿にお伺いする前に、一生に一度は行きたかった世界遺産の宮島へ―。

海の鳥居で有名な「厳島神社」に参拝しました。もちろん商売繁盛をお願いしましたよ(笑)。

その後宿泊先の石亭さんへ。

宿への送迎として現れたのはなんと宿のご主人の上野さん。

送迎車のハンドルを握りながら、実にホスピタリティ精神あふれる接遇をされていたので、もしやご主人さんでは?と思ってお伺いしたら、まさにご主人の上野さんでした。

予約の時にちょっと勉強をしに泊まりますと伝えただけだったのですが、上野さんは私達が石亭さんの宿づくりについて学びたいという意思に最大限の配慮をしていただき、石亭さんの施設づくりや接客サービスの考え方などを、丁寧に教えて下さいました。

上野さんはいつも笑顔の朗らかなお人柄です。
お陰で柔和な空気のもといろいろとご説明をしていただきましたが、まるで上野さんのご自宅に伺っているかのように錯覚するほど、親近感ある雰囲気でした。宿全体の雰囲気も初めて行った宿とは思えない居心地の良さです。そう思えるのはやはり本物のホスピタリティがあるからでしょう。

さて宿のご紹介をいたしますと、庭園を取り囲んだ離れとなっており、雰囲気は高級料亭のような落ち着いた感じです。夜になると瓦で黒く光る回廊と照明の組み合わせによる幽玄な世界となり、日常を忘れることができます。

客室は基本的に純和風の離れで素晴らしい庭を眺めたり、庭に出られる構造になっています。お部屋の中にある引き出しひとつひとつには様々な小物が入っており、音楽MDや本も数冊入っています。面白くて全ての引き出しを開けました(笑)

またお洒落なミニ部屋のようなスペースが付いており、そこは本当に小さな部屋なんですが、暗くなるとついついそこに篭ってしまう。そんな魅力的な場所でした。赤い素敵なソファに腰掛けて、マイルスデイビスを聴きながらスプマンテを楽しみました。小さいスペースの活用法として勉強になりました。

その他、貸切風呂などもちょっと他にはないいい感じ!でしたし、居心地のよい床下サロンをはじめ散在するパブリックスペースなど飽きない仕掛けがあります。新しく作った客室は、まるで忍者屋敷のように仕掛けと遊び心に満ちております。まさにご主人の哲学が反映されていて、他の宿とは一味違う新鮮さがありました。ちなみに施設やサービスの素晴らしさばかり書いておりましたが、こちらは美食家に信頼されている料理旅館なのです。

まさに緻密に織り込んで作りあげられた宿です。一度の宿泊ではその全てを理解することは大変難しいことだと思いました。それでも上野さんは時間のある限り、私達に全てをお伝えしようとして下さいました。

最後に上野さんには駅まで見送って頂きました。誠実な人柄に感動いたしました。

今回の旅を振り返ってみると、勉強で泊まった自分の身分を考えると想定外のいたれりつくせりで申し訳なかったのですが、こちらの宿では「お客様は神様」というような距離を置かず、大切な友人や親戚のような感じで接してくれました。ご主人には私の宿のHPを見て、宿づくりを一晩、一緒に考えてくれたことが本当に嬉しかったです。本当にありがとうございました。

庭園の宿 石亭ホームページ

心の宿 仙仁温泉岩の湯 その③

2007年04月20日 | 宿の話題・主人の旅記録

「お客様が自らを癒す宿づくり」

これも岩の湯社長・金井社長の仰る癒し宿の在り方です。
お話をお伺いし、私なりに解釈できた事を書いてみようと思います。

癒しのサービスは宿側がお客様に癒しの商品を提供するというイメージで語られがちです。例えば「露天風呂で癒される」「エステやスパで癒される」「景色で癒される」等々。。。

しかし金井社長は「本当の癒しは自らの内側から出てくるもの」とお話されました。つまり宿側が直接提供するものでは無いということです。では宿は何をするのかというと、お客様が自ら癒せるよう、陰からそっとお手伝いすることなのだそうです。

テラスで星を見ながら、ひとり寛いでいると気持ちが鎮まってくる人もいます。ご夫婦でゆっくり食事をしながら日頃出来なかった話をすることで、気持ちが充実する人もいます。杉林に囲まれた露天風呂を家族で利用し、穏やかな時間を共有したことがいつまでも家族の記憶に残ります。興味のある本を読みながら心地よく眠ってしまうこともあるでしょう。

大切なのはこれらの出来事が自発的にできるように環境を整えてあげることです。
お仕着せのサービスや時間約束でお客様を縛らず、我が家にいるような自由さがあれば、お客様は人それぞれの方法で自分の癒し方を実践するのでしょう。岩の湯はそういった空間やシステムをつくり提供しているだけで、押し付けがましい癒しのサービスはしません。

日頃の生活が忙しく意思疎通が不足している現代の家族は、旅先で意思疎通したりお互いの絆を確かめたいのだそうです。

そこで岩の湯では、例えば食事を実にゆっくりと提供したり、話が弾まないときはあえて話題を提供したりしながら、良い意味での時間のスペースを作ることで、お客様同士の親睦が深まるように配慮しています。

そのためお客様の要望により食事が早く終了してしまうことをやすやすと良しとせず、おっかさんの心になって、もっと話が弾む時間をさりげなく提供しているようです。通常の旅館の仲居さんは食事を楽しんでもらうための献立説明に終始していることがほとんどですが、岩の湯の接客は食事の提供機会を利用してお客様の癒しを引き出そうとしているのです。う~ん奥が深い。

先日宿泊したときの事。私、朝食を急いでおりましたが、上記の通りだったからか朝食もすご~くスローだったのです。割と早食いの私は「遅いなぁ~」となるわけですが、口に食べ物が入っていないので、それはそれは家族でいっぱい話をしました(笑)

実は食後に雰囲気を変えて喫茶ラウンジの個室でコーヒーを飲む考えがあったので、朝食の最後に付いているコーヒーをキャンセルしました。すると仲居さんが「食事がゆっくりで申し訳ありません。一杯だけでも如何ですか」「すぐお持ちします、一杯だけでも・・」と思わぬ粘りを見せるのです。

確かに日頃の仕事柄、早食いの私には、あまりにのんびりすぎる朝食ではあったが、コーヒー一杯でも精一杯なおっかさんの繰り返す言葉には心を打たれました。

「いやいや遅いから別に飲みたくないっていうわけではなくて、ただ単にラウンジの素敵な個室で飲んでみたかっただけ」とお伝えして、やっと納得していただけましたが、まったく人の良すぎる仲居さんです。

大抵はコーヒーをキャンセルと伝えると、大抵のお店の店員さんは「あっそうですか」ぐらいの対応で終わってしまうんですが・・・岩の湯のおっかさん接客、あったかいですよ。

また宿泊したいと思いました。家族でのんびり入った野守の湯は本当に楽しかった。露天風呂ではしゃぐ子供の笑顔が目に焼きつきました。

次回お伺いすれば3回目です。さすがにスタッフの顔もほとんど覚えてしまいまして、さらに居心地良く過ごせる予感がします。岩の湯ワールド万歳です。

心の宿 仙仁温泉岩の湯 その②

2007年04月08日 | 宿の話題・主人の旅記録
「情けと癒しの旅文化」

これは、岩の湯独自のもてなしの考え方です。

いわゆる「お客様は神様です」の上げ膳据え膳のサービスでもない、西洋のいうホスピタリティーでもない、日本人の気質に最も適したサービススタイルとして「故郷のおっかさんの心」で接することが、深みのある安らぎを与える。岩の湯のサービススタイルはそういう意味だったかと思います。

砂漠から始まったキリスト教圏の文化は、現在の欧米国家の歴史経緯からして狩猟民族としての気質が強く、男性中心に生活基盤が確立されているのに対し、日本では弥生時代の農耕の頃から家族の仕事の中心となるのは母であり、日本の生活は母の存在が大きかったと、金井社長は考えているそうです。

そのため「母の思いやり」が日本人をほっとさせる、それが日本人の気質というものなんだそうです。

「思いやり」と言えば西洋のホスピタリティーも似ているように思えます。しかしホスピタリティーは「自宅で客人をもてなす」という考え方です。相手を思いやるのは同じですが、どちらかというと歓待の意味が強く、行為が同じでも母が子供を思いやる心とは発想の原点が異なります。

「母の思いやり」言い換えれば、それが日本独自の「情け」というものです。

岩の湯では夕食も朝食もゆっくりと提供されます。それは一品一品の料理を吟味するというより、適度な間を作り出し、日頃忙しくて会話ができなかった夫婦や家族が存分にコミュニケーションを取って欲しいという「情け」の心からです。会話も無く食事を進めているお客様にはあえて話題を提供し、会話の糸口をさりげなく提供したりもするそうです。

ホテルの世界ではプライバシー重視で、お客様に立ち入らないのが常識とされますが、岩の湯では、そっと干渉をする場合もあるようです。

それこそ「おっかさんの心」というものです。う~ん奥が深いです。


次回「お客様が自らを主体的に癒す宿づくり」について


心の宿 仙仁温泉岩の湯

2007年04月06日 | 宿の話題・主人の旅記録

今週、長野県の須坂市にある仙仁温泉岩の湯に行ってまいりました。

こちらの宿は知る人ぞ知る秘湯の隠れ宿ですが、一年先まで予約が一杯という超人気旅館です。リピーター率が高く、1度宿泊された方のほとんどの人が再訪しており、3回以上のリピーターが6割という驚異的なリピート率です。なのでお客様はチェックアウト時に次回の予約を入れるといった状況です。私も3年前程に利用させていただきましたが、やっぱり私も磁石のように岩の湯に惹きつけられてしまい、再訪することになりました。希望日ではまず予約が取れませんので空いている日を教えてもらい、こちらが日程を合わせるしかありません。

広告を出すと、常連客が予約しづらくなる懸念があるためか、ほとんど外部に情報が出ていません。HPも存在しません。誰にも教えたくないまさに隠れ宿です。

それにしてもこちらの宿、どうしてこんなに圧倒的な人気があるのか。

それを確かめるのに3年前に訪問したのですが、宿の空間の中で、今までの宿泊で経験したことのない寛ぎの世界に感動し、面会した金井社長さんの経営哲学や癒しの技術についてのお話に私は大きなカルチャーショックを受けてしまいました。

金井社長の言葉は哲学的で非常に深いものです。そのため言葉は覚えられてもその本質を理解するのは、3年前当時、大変難しいことでした。

しかし多くのお客様を惹きつける癒しの技術を学びたく、自分なりに勉強して再び岩の湯に訪問したのです。

金井社長の主な言葉を挙げますと

「情けと癒しの旅文化」
「お客様が自らを主体的に癒す宿づくり」
「日本人には弥生文化型の宿が相応しい」
「雑魚寝旅館」

謎かけのような言葉ですが、非常に重要な言葉ばかりです。(続く)

一歩前進に向けて

2007年03月01日 | 宿の話題・主人の旅記録
昨日は、南房総館山に宿泊旅行に行ってきました。
今回は旅館コンサルタントさんにご紹介された建築デザイナーさんが近年携わった宿に宿泊し、お座敷をお借りして金波楼の現状分析などの会議を行いました。

宿泊先は「洲の崎風の抄」という海辺の和風旅館です。
初めて体験した全館畳敷きは、想像以上に気持ちよく、極めて清潔感が高いお宿でした。JTBの宿泊アンケートで90点以上のランクを長年維持しており、一年中満室でリピーターの絶えない人気宿です。

夕食は、地魚や伊勢海老、アワビなどの豪華な磯食材をふんだんに使用した磯料理で、海の幸でお客様が期待するであろう食材はほとんど献立に入っておりますし、脇役にも隙がないというか素晴らしい。優しく親切な接客サービスも含めて、宿の方の意識の高さは半端ではありません。

大浴場には、内風呂の他、露天岩風呂と、ジャグジーバスがあります。また、岩盤浴もできる貸切風呂を利用できるのですが、これが非常に利用快適度が高く、近年の貸切風呂では個人的にダントツの出来です。

当日は社長さんが多くの時間を割いて経営のお話をして下さいました。とても従業員を大切にしている方だなあと感じました。また女将さんも夜遅くまでご相談に付き合ってくださり、忙しいのに申し訳ないと思いました。経営者のご家族の方々は優しそうな方々ばかり!私などの生意気な若輩者に時間を割いて下さりありがたく思いました。大きな刺激も受けることができました。

同じ小規模旅館でも私が作りたい旅館とはスタイルの異なるお宿だったのですが、リピーターでぎっしり毎日満室の説得力の前に、自分の現状認識が不足しているなあと思わざるを得ませんでした。旅館は奥が深い・・・

こんな凄い旅館に憧れる反面、負けず嫌いな自分もいて「俺には俺のやり方がある」と素直に受け入れない自分も問題あるなあと思いつつ、明日の一歩前進を考えています。

小さな旅館の外国人のおもてなし

2007年02月21日 | 宿の話題・主人の旅記録
 本日は茨城県の観光物産課が主催する「第1回国際観光セミナー」で勉強してまいりました。

 講演は「小さな旅館の外国人のおもてなし」というタイトル。
東京上野の下町にある旅館「澤の屋」のご主人「澤 功」氏が講師です。

 下町の旅館で、ほとんどのお部屋にバストイレもついておらず、施設にも特色のない12室の規模で、家族で切り盛りしているお宿だそうです。

 驚くべきは、写真で見る限り地味と思われる(失礼!)この宿が年間の客室稼働率93%、そのうち90%が外国人客という、人気も個性も兼ね備えた宿なのです。大阪万博後、日本の観光客は皆その頃から新しくできたホテルを利用するようになり、下町の旅館である澤の屋さんの経営は相当苦しくなっていたそうで、それで他の旅館さんの薦めもあって、1年悩み考えた末、昭和57年(24年前)から外国人の受け入れを開始。大きく業態転換いたしました。現在までに世界90ヶ国、12万人の外国人客を受け入れてきたそうです。

 ちなみに外国人客の受け入れとなると、ネックになるのが英語の語学力。

 澤の屋さんも最初は、英会話ができないのに外国人客の受け入れなどとんでもない!と思っていたそうです。
 実際受け入れているという宿を見学したら、「オッケー!」程度の簡単な単語連発の会話の程度に身振り手振りのボディーランゲージで平然とこなしている様子でした。これなら自分もできると確信したそうです。現在でも澤さんは、文法にとらわれず単語連発の英語で十分こなしているそうです。

 お~!これなら自分もできるかも。

 いろいろあった話の中で印象的なのが、旅館のウリである「食事」「サービス」をなくしてしまった事です。

 正確には夕食無しの朝食付きということですが、夕食を近所のお店で自由に食べてもらうほうが、旅の楽しみがあるという考え方なんですね。例として「懐石料理」「天ぷら」とか日本の伝統食を食べてきた外国人旅行者が、しばらくして思い出した良かった食べ物が、商店街で買ったコロッケだったなんていうお話も紹介されつつ、お仕着せの日本文化より、今そこにある何の変哲もない日常も外国人にとって異文化であり魅力なのだそうです。

 また、澤さんは外国人を受け入れて初めて気が付いたのが、およそお越しになっている外国人客は、どうやら宿泊料金にサービス料金は入っていないと思っていることでした。つまり上げ膳据え膳とか求めていないし、荷物もお客様自身で運ぶのに抵抗がないらしい。
 よって、お部屋まで荷物を持って行くだけで(特に米国人の)外国人客はとても感激し褒めちぎってくれるそうです。それで「お宅の宿はナンバーワンだ!」などとそりゃあ持ち上げてくれるそうです。実は相手をしっかり褒めるのが米国人のコミュニケーションの方法らしいですが、大袈裟であっても気分がよさそうです。

 またこちらを利用されている外国人客は、「主従関係」で成立する「サービス」はあまり求めておらず、「主客対等」の立場から実践する「ホスピタリティ」に心を動かすということです。澤さんは、旅館のサービスを省いたけれども、言葉のうまく通じない外国人客の立場を思い遣って真心を持って接していました。それが評判を呼び現在の成功になったようです。

 分かり易い、サービスとホスピタリティの違い→ココ

茨城に新種の宿?

2007年02月11日 | 宿の話題・主人の旅記録
今朝の新聞の全面広告に、稲敷市に露天風呂付客室のホテルがOPENしたというPRが掲載されていました。その内容が独特で面白いのでご紹介します。

その名も「タイムリゾート隠れ屋

これは新種のホテル?いやリラクゼーションサロンか?う~む。日帰り温泉の個室型か、ブティックホテルの突然変異型か?と、マンガ喫茶時代ならではの新しい機軸がふんだんに盛り込まれた癒し系施設であることは間違いない。

その特徴は、
・客室は露天風呂やジャグジー付き
・部屋は1時間からルームチャージでき、24時間チェックインアウトが自由である。
・食事は洋食&ワイン、スイーツ等24時間ルームサービスである。
・お部屋でトリートメントが受けられる。
・1名でも2名でも利用できる。
などです。

ちなみにこのお店を設計されているのは全国の温泉旅館を手掛けている有名な建築設計事務所です。これはすごいのかどうかは体験してみないとピンと来ないです。少なくとも観光ホテルとは違う、ヒーリング宿を目指しているようです。

思いきった24時間対応ですので実際の運営のタフさがおのずと想像されますが、今後も注目してまいりたいと思います。

タイムリゾート隠れ屋HP
http://www.kakure-ya.com/

西日本の旅―四国、中国、近畿の宿を巡る

2006年12月10日 | 宿の話題・主人の旅記録
当館のリニューアル構想の参考になる気になる宿を駆け足で巡ってきました。

最近の旅行の中でも厳しい日程でした。子連れの2泊で香川県、岡山県、兵庫県、大阪府にある4つの宿を巡り、陸海空全ての交通手段を駆使しての旅でした。

●1日目 四国・香川県―

「二十四の瞳」で有名な小豆島にある「島宿真里」という宿に行きました。

この宿に行くためには、飛行機で高松まで行き、1日数便のフェリーで40分で島に渡ります。この交通の便の悪さにもかかわらず連日満館の理由が知りたくて、ついに訪問することができました。

小豆島の新鮮な地魚の美味しさやもろみ醤油の魅力を楽しみました。丸ごと大きなワタリガニにはとても感激しました。素材感のある料理は旅の最高の楽しみですね。

宿主人の真渡康之さんに深夜までいろいろとお話をお伺いすることができてとても勉強になりましたし、宿経営やもてなし、組織づくりに対する意識の高さに敬服いたしました。


●2日目の昼 「倉敷」

倉敷と言えば「美観地区
白壁やなまこ壁、江戸時代の幕府の天領の名残を残す美観地区は、町並み景観が保護されており、私好みの風情ある景色を楽しめました。

ここにある「旅館くらしき」という宿で懐石料理を頂きました。
個室利用のお昼で5,000円(税込サ別)でしたが、内容、器、接客を考えると採算が取れないのでは?と思うほど一品一品ため息が出るほど気品と芸術性を感じる懐石料理でした。食器や盛り付けのセンスは抜群です。この地方で最近メディアで紹介されているという噂の美人女将にもお会いし、運営や建築のお話をお伺いできました。


●2日目の夜「有馬温泉」

昼食後は、岡山から新幹線に乗って有馬温泉に向かいました。

今や国際的日本旅館とも言える「陶泉 御所坊」に泊まりました。
木造建築で伝統的な旅館のスタイルなのですが、洋風の談話室やバーの雰囲気は上品で、今時のデザイナーズ旅館とは一線を画す、本物の高級感が漂っていました。
食事もこだわりを感じる旅館会席で、味付けの良さに妻は喜んでいました。
それにしても着物を着た若い仲居さんには関心しました。料理の美味しさはもちろん接客が優れていると食事はさらに美味しく楽しくなるという好例でした。
大阪出身という溌溂とした元気な明るい人柄の可愛らしい仲居さんですが、料理の説明は材料レベルまで完璧で、食べ方のアドバイス、味付け加減への配慮などを、自信と誇りをもって仕事をしており、こちらもとても気分良く過ごすことができました。

御所坊ではチェックイン時に社長の金井啓修さんにお会いでき、大変忙しい最中、めいいっぱい時間を割いて私共を町案内して下さいました。

金井社長は旅館業界では有名な方で、小規模旅館やB&B旅館の先駆けとしてホテル花小宿という宿をオープンし日本で最大の稼働率を誇る宿として話題をさらい、この花小宿の成功で有馬温泉の景観再生や人気回復に大きく貢献した方です。

倒産した旅館を金井社長が競売で落として改装した「有馬玩具博物館」に妻と娘を連れて行って下さいました。町の再生手法についてのお話とともに、マジックのような積み木のパフォーマンスに娘が大喜びでした。その様子を見つめている金井社長のまなざしが素敵でした。また花小宿にも連れて下さいました。

金井社長からすれば私共は思わぬ訪問者だったと思うのです。
私共の短い滞在時間が少しでも有意義になるよう最大限の配慮をして下さり、その器量の大きさや心優しさに敬服いたしました。優れた旅館になるには経営者の人間性も大切だと思いました。

●3日目「大阪 明治の森公園」

最終日は、大阪の箕面・明治の森公園にある「音羽山荘」にて昼食をとりました。

音羽グループという外食チェーンによる高級業態として、オーベルジュ旅館をオープンさせたということで試しに利用してみました。

建物は素敵な大正ロマン+アールデコ調の和風建築です。古い保養所を改装したらしいです。紅葉の時期でしたので観光客も多く、お宿も周囲も人がいっぱいでした。

食事は個室でいただく懐石料理を選択しました。
本日は忙しいのかな。。。料理を運ぶ若い係の方は忘れ物をしがちで出入りが多く、客室の戸を何度も閉め忘れたり、料理を運ぶのに3人も係が同時に入ってきて居心地が悪くなったり・・・ありゃりゃ?個室で食事をする意味がない(苦笑)

係はヘッドフォンマイクで厨房とやり取りしています。個室で食事している私共の目の前でマイクを使って次の料理のオーダー確認をするのは珍風景でした。客室の外で連絡を取り合っていただいたほうがありがたいのですが。。。

というわけでお洒落な大正ロマン風デザインの建物と懐石風料理でしたが接遇にやや不満が残りました。和の個室で食事を提供するなら日本料理の接客マナーに沿ったやり方を導入したほうが良いのでは?

支配人さんは一生懸命対応してくれましたし、係りの方も悪い人はおらず懸命なのですが。。。気忙しいのが私共まで伝わってきちゃいました。

開業されたばかりということですので、今後研究され、宿の雰囲気と相性の良い接遇を期待します。辛口でごめんなさい。

大阪から新幹線で東京に帰りました。
今回はひたすら個室で食事を取りましたが、とても勉強になりました。
宿の良し悪しを決めるのは最後は人だなあと感じました。
また旅先での親切は身に染みました。

海辺の地域活性化の事例

2006年11月19日 | 宿の話題・主人の旅記録

All About「日本の宿」の記事で、前から気になっていた愛知県「日間賀観光ホテル」中山勝比古氏の地域活性化の事例が掲載されていました。(All About「日本の宿」


同じ海の観光地として大洗でも参考になるのではないかと思い、抜粋しご紹介します。まず、

●島や海辺の観光地の典型的パターンは、

 ・通常「海水浴シーズン」以外は閑散としている。
 ・新鮮な魚は大消費地の市場に行ってしまう。

●ところが日間賀島の場合、漁協が宿に新鮮な魚介を流してくれます。

 その理由は「漁協のために何ができる」を合言葉に宿の人達が

 ・宿の設備投資資金を漁協から借りたり
 ・宿を漁師の家族の職場として提供したり

 と、漁協との生活連携を積極的にし始めたことにあるそうです。

●それで漁師さんも「観光で潤えば自分たちも生き残れる」と考え、恩返しに

 ・漁協が海水浴場を整備。
 ・漁協が地産地消を推進。

その結果、島に一体感が芽生え、なんと

『中学生が島に誇りを持つようになり、六割の若者が島に残りたいと考え、観光・漁業の両青年部が共同で事業家やインストラクター育成を始めるようになる』

羨ましい限りです。

『中山さんが、島の活性化を描いた際の、最初の一歩は、「危機感」。どうすれば島が良くなるか「仮説」を立て、多少の反対者がいようと、想いが同じ者でそれを「実践」し、「実証」することで、周囲を巻き込んでいきました』

ふむふむ・・・

『少なくともこの「仮説+実践=実証」の方程式は、多くの観光カリスマが採っている手法のように思われます』

黒川温泉の後藤哲也さんもこの通りでしたし、由布院もそうでした。明確なビジョンのもと強力なリーダーシップが必要なのですね。

『どうしても「そこにずっと住んでいく」者にとって、地域の人間関係に手と口を出すには勇気がいること。それを乗り越えた時、地域に好循環が生まれます』

まったくその通りで・・頑張らなくては。


All About「日本の宿」日間賀観光ホテル 中山勝比古さんhttp://allabout.co.jp/travel/yado/closeup/CU20061104A/index2.htm


九州の旅― 黒川温泉の人気宿に泊まる

2006年09月09日 | 宿の話題・主人の旅記録

熊本県の黒川温泉に行って来ました。
今春、水戸の講演会で会った、癒し空間づくりの第一人者である「観光カリスマ」後藤哲也さんの経営する2軒の宿に泊まりました。

今回の旅の収穫について詳細は後に書きますが、とても嬉しかったのは後藤哲也さんが、旅先で温かく迎えてくれた上に、私達の為に多くの時間を割いて、お話をして下さったり、自ら車で運転されプロデュースした宿や温浴施設を数件案内して下さり、私達に多くのアドバイスをして下さったことです。

後藤哲也氏のプロフィール(国土交通省観光カリスマより)


旅館の世界にも多くの成功者がいらっしゃると思いますが、後藤哲也さんは宿づくりの長年の現場経験や顧客重視の経営努力が結実して現在の成功を築きあげた方で、お客様と接する現場経験がないタイプの軽薄な経営者にはおそらく後藤氏の宿経営の哲学は理解できないのではと思いました。後藤氏とお話をしてみて、いかに顧客との現場経験や心理を考えることが重要なのかを改めて思い知りました。

私自身、顧客の心理には最大限配慮しながら仕事をしているつもりでしたが、後藤氏の作り上げる宿世界を実際目の当たりにしてみると、万人を癒すスケールの大きな癒しの世界に圧倒されてしまいました。

後藤氏の話は奥が深く、私は上手に説明できないのですが、例えば、すごい美しい景色や迫力のある滝や雄大な山などを「すごいでしょう!」と見せる観光では人々は癒されないということです。
刺激が多すぎる世の中で、皆が疲れています。
だからこそ旅に出る目的は、景勝地で心を刺激するということではなく、自然の雰囲気で優しく包まれて、瞑想的に過ごしたい。そういうことなのだろうと思いました。

ご宿泊のお問合せは・・・


波打ち際で「ひとやすみ」| 五感を洗う海辺の別邸
里海邸 金波楼本邸
〒311-1301 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6883
電話|029-267-2101(受付9時~21時)
ホームページ|www.satoumitei.jp