当館のリニューアル構想の参考になる気になる宿を駆け足で巡ってきました。
最近の旅行の中でも厳しい日程でした。子連れの2泊で香川県、岡山県、兵庫県、大阪府にある4つの宿を巡り、陸海空全ての交通手段を駆使しての旅でした。
●1日目 四国・香川県―
「二十四の瞳」で有名な小豆島にある「
島宿真里」という宿に行きました。
この宿に行くためには、飛行機で高松まで行き、1日数便のフェリーで40分で島に渡ります。この交通の便の悪さにもかかわらず連日満館の理由が知りたくて、ついに訪問することができました。
小豆島の新鮮な地魚の美味しさやもろみ醤油の魅力を楽しみました。丸ごと大きなワタリガニにはとても感激しました。素材感のある料理は旅の最高の楽しみですね。
宿主人の
真渡康之さんに深夜までいろいろとお話をお伺いすることができてとても勉強になりましたし、宿経営やもてなし、組織づくりに対する意識の高さに敬服いたしました。
●2日目の昼 「倉敷」
倉敷と言えば「
美観地区」
白壁やなまこ壁、江戸時代の幕府の天領の名残を残す美観地区は、町並み景観が保護されており、私好みの風情ある景色を楽しめました。
ここにある「
旅館くらしき」という宿で懐石料理を頂きました。
個室利用のお昼で5,000円(税込サ別)でしたが、内容、器、接客を考えると採算が取れないのでは?と思うほど一品一品ため息が出るほど気品と芸術性を感じる懐石料理でした。食器や盛り付けのセンスは抜群です。この地方で最近メディアで紹介されているという噂の
美人女将にもお会いし、運営や建築のお話をお伺いできました。
●2日目の夜「有馬温泉」
昼食後は、岡山から新幹線に乗って有馬温泉に向かいました。
今や国際的日本旅館とも言える「
陶泉 御所坊」に泊まりました。
木造建築で伝統的な旅館のスタイルなのですが、洋風の談話室やバーの雰囲気は上品で、今時のデザイナーズ旅館とは一線を画す、本物の高級感が漂っていました。
食事もこだわりを感じる旅館会席で、味付けの良さに妻は喜んでいました。
それにしても着物を着た若い仲居さんには関心しました。料理の美味しさはもちろん接客が優れていると食事はさらに美味しく楽しくなるという好例でした。
大阪出身という溌溂とした元気な明るい人柄の可愛らしい仲居さんですが、料理の説明は材料レベルまで完璧で、食べ方のアドバイス、味付け加減への配慮などを、自信と誇りをもって仕事をしており、こちらもとても気分良く過ごすことができました。
御所坊ではチェックイン時に社長の
金井啓修さんにお会いでき、大変忙しい最中、めいいっぱい時間を割いて私共を町案内して下さいました。
金井社長は旅館業界では有名な方で、小規模旅館やB&B旅館の先駆けとして
ホテル花小宿という宿をオープンし日本で最大の稼働率を誇る宿として話題をさらい、この
花小宿の成功で有馬温泉の景観再生や人気回復に大きく貢献した方です。
倒産した旅館を金井社長が競売で落として改装した「
有馬玩具博物館」に妻と娘を連れて行って下さいました。町の再生手法についてのお話とともに、マジックのような積み木のパフォーマンスに娘が大喜びでした。その様子を見つめている
金井社長のまなざしが素敵でした。また
花小宿にも連れて下さいました。
金井社長からすれば私共は思わぬ訪問者だったと思うのです。
私共の短い滞在時間が少しでも有意義になるよう最大限の配慮をして下さり、その器量の大きさや心優しさに敬服いたしました。優れた旅館になるには経営者の人間性も大切だと思いました。
●3日目「大阪 明治の森公園」
最終日は、大阪の箕面・明治の森公園にある「
音羽山荘」にて昼食をとりました。
音羽グループという外食チェーンによる高級業態として、オーベルジュ旅館をオープンさせたということで試しに利用してみました。
建物は素敵な大正ロマン+アールデコ調の和風建築です。古い保養所を改装したらしいです。紅葉の時期でしたので観光客も多く、お宿も周囲も人がいっぱいでした。
食事は個室でいただく懐石料理を選択しました。
本日は忙しいのかな。。。料理を運ぶ若い係の方は忘れ物をしがちで出入りが多く、客室の戸を何度も閉め忘れたり、料理を運ぶのに3人も係が同時に入ってきて居心地が悪くなったり・・・ありゃりゃ?個室で食事をする意味がない(苦笑)
係はヘッドフォンマイクで厨房とやり取りしています。個室で食事している私共の目の前でマイクを使って次の料理のオーダー確認をするのは珍風景でした。客室の外で連絡を取り合っていただいたほうがありがたいのですが。。。
というわけでお洒落な大正ロマン風デザインの建物と懐石風料理でしたが接遇にやや不満が残りました。和の個室で食事を提供するなら日本料理の接客マナーに沿ったやり方を導入したほうが良いのでは?
支配人さんは一生懸命対応してくれましたし、係りの方も悪い人はおらず懸命なのですが。。。気忙しいのが私共まで伝わってきちゃいました。
開業されたばかりということですので、今後研究され、宿の雰囲気と相性の良い接遇を期待します。辛口でごめんなさい。
大阪から新幹線で東京に帰りました。
今回はひたすら個室で食事を取りましたが、とても勉強になりました。
宿の良し悪しを決めるのは最後は人だなあと感じました。
また旅先での親切は身に染みました。