木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

『スカーフェイス』

2013-02-25 21:34:07 | 日記


「スカーフェイス」ポール・モネット

壮絶。凶暴。自滅。

キューバから難民としてマイアミへ上陸したトニー・モンタナ。
カリスマ性と凶暴さで麻薬王へとのし上がり、
‘黒いアメリカン・ドリーム’を手にする男。

映画『スカーフェイス』(1983年)のノベライゼーション。
映画の脚本はオリヴァー・ストーンが担当。
『スカーフェイス』は映画『暗黒街の顔役』(1932年)のリメイク。
って…誰が何の権利持ってんのか頭痛くなる状況ですけど。

凄まじい生きざま。

カストロ政権下のキューバ。
十二歳の頃にはすでに、盗みやひったくりで稼ぎ。
十六歳で、縄張りを持ちマリファナを捌く。
軍人の妻の愛人となり…ばれる!!
怒り狂った軍人にナイフで切りつけられ、スカーフェイスに。
ここで終わらないのがトニー・モンタナ。
復讐あるのみ。
軍人を射殺。

結局捕まり、強制労働六年。
アフリカで戦闘に参加。
そして脱走。
またしても捕まり、キューバに強制送還。
懲役二十年…

時は1980年代。
人権政策の一環で、カーター大統領が
社会主義国キューバより亡命を希望する者を受け入れると発言。
政治犯も犯罪者もぜ~んぶ一緒くたにして送りつけるカストロ首相。

そんな訳で、トニー・モンタナがマイアミに上陸。
その後は、殺人、強盗となんでもござれでのし上がる。
コカイン王となり、美人の妻を手に入れ。
持て余す程の金に囲まれる日々。
野望に燃えた男の早すぎる成功。

軽蔑していたコカインに自ら溺れ。
歯止めのきかない暴走を始めるトニー。
派手な展開では有るものの。
薬のせいで無茶する人間は、あまり魅力的とは言えず。
小説としては、残念ながらちょっとつまらない終盤。

とは言え、燃え尽きる姿は凄まじいの一言。
誰ひとり幸せに出来なかった男の悲しい最期。


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