木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

血の誓い

2012-09-04 23:47:34 | 日記


『血の誓い』デイヴィッド・マレル
これが、意外に面白い。
スパイ・サスペンス小説と銘打ってますけど。
スパイは出てくるが、主人公がスパイな訳では無い。
思ってたのと違う感じのスパイ小説か?
と、思いきや。
ピーター、大活躍。
スパイどころじゃない行動力。
ミステリーとアクションを存分に楽しむ。

でもって、デイヴィッド・マレルの他の作品も読んでみたくなり。
『一人だけの軍隊』
お1人様用の軍隊?
って映画「ランボー」の原作でした。
かれの名は、ランボー。とかって、えらく可愛らしい始まり方。
ヴェトナム帰還兵(特殊部隊)ランボーと朝鮮動乱の英雄で田舎町の警察署長との死闘。
裸でバイク、山ではゲリラ戦、ホントに一人で戦うランボー。
大人数相手にバタバタと倒し、町を破壊し尽くす壮絶さ。
山では生きる為のサバイバルぶりも凄い。
追う男と追われる男の妙な絆も描かれ、最後まで勢いが止まらず。

戦争帰還兵と年齢のギャップ。
『血と暴力の国』C・マッカーシーを彷彿。

そして、追う男、追われる男と言えば。
『街中の男』ジョルジュ・シムノン
メグレの辛抱強い尾行作戦に犯人が消耗していく様がリアル。
忘れられない短編の一つ。

そのものズバリ。
『追われる男』ジェフリー・ハウスホールド
穴に隠れたりのサバイバルぶりが印象深い。

『大怪盗 犯罪界のナポレオンと呼ばれた男』ベン・マッキンタイアー
実録もの。
アメリカとヨーロッパを股にかけた大悪党アダム・ワース。
彼を追うピンカートン探偵社との攻防。
やっぱり、妙な絆が有ったりする。

サバイバルぶりを読む面白さ。
状態の細やかな描写や、心理的な揺れ動きは、読んでこその面白さ。
ただ、哀しいかな、地形だけは…
いくら説明してくれても、私にはサッパリです。


※『街中の男』収録のアンドレ・モロワの『自殺ホテル』は、
岩波文庫の『フランス短篇傑作選』収録の『タナトス・パレス・ホテル』バージョンがお薦めです。