唐津市近代図書館のイベント情報

主に展覧会についてお知らせします
(ときどき、他の施設の情報も…)

人物群像が語るもの…「大島小太郎とその時代」展 (3/30まで)

2011年03月09日 | 展覧会
「大島小太郎とその時代」展の章毎の紹介、第三回目です。

Ⅲ 人物群像が語るもの

 時代を作り出すのは、その時代に生きた人々の相互のかかわりによるものであることは、いつの時代でもいえることです。ことに唐津の近代は、唐津藩以来の人物群と新しい時代によって出現した人物群によって語られます。前者は唐津藩の英語学校であった耐恒寮の教官であった高橋是清と寮生達であり、他方、後者には、封建制度の解体によって台頭する庶民層であり、また近代産業の基幹なった石炭産業によって結びついた実業家と彼らによって構築された新しい文化力であったといえます。旧唐津藩士でもあり、近代産業によって興隆した唐津の中心にあった大島家を通じて交錯する人物群を、この二つの視点から考えて見ます。
 藩の英俊を集めて、時代の波に乗り遅れまいとした唐津藩は英語学校「耐恒寮」を開校します。わずか一年半ではありましたが、教師として雇われたのは若干18歳の青年でした。この青年こそが、後の高橋是清でした。藩の瓦解とともに、学校も閉鎖され、ここで学んでいた唐津の青少年は江戸(東京)へと飛び出していきます。その後も、高橋是清は、この若人を影ながら応援し、指導し続けました。辰野や曾根が当時開校したばかりの工学寮に入学するのも、高橋の勧めによるものでした。
 旧藩主の小笠原家も旧藩士の師弟教育に力を注ぎ、助力を惜しまなかったようです。現在に続く久敬社はこの流れを汲むものです。
辰野金吾、曾根達蔵、天野為之、掛下重次郎等が中央で活躍するのと同じく、明治20年代からは、地元に戻って、草場猪之吉、岸川善太郎、坂本経懿、山内喜兵衛、宮島伝兵衛等とともに、近代化に貢献したのが大島小太郎でした。
 また、目覚しく発展した石炭産業の隆盛によって、唐津に拠点においた竹内明太郎、高取伊好がいました。彼らは大島とともに経済界の中心ともなりました。


この章では、大島家と小笠原家との関係や、小太郎と経済界との交流、小太郎の人物交流図などを、古文書や資料で紹介しています。
昭和初期の大島邸でのお茶会の写真も展示しています。


大島小太郎とその時代展

【とき】
  3月5日(土)-3月30日(水)まで 入場無料
  午前10時-午後6時(入場は午後5時30分まで)

【休館日】
  月曜日

【ところ】
  唐津市近代図書館 美術ホール(1階)

【主催】
  唐津市教育委員会

【問い合わせ】
  文化課:0955-72-9171



■唐津市近代図書館■
TEL (0955)72-3467
〒847-0816 佐賀県唐津市新興町(JR唐津駅南口すぐ)
ホームページ http://tosyokan.karatsu-city.jp/goo

興義、小太郎の時代…「大島小太郎とその時代」展 (3/30まで)

2011年03月08日 | 展覧会
大島興義の肖像写真 明治3年(1870)
※ 写真の無断転載はご遠慮ください。


「大島小太郎とその時代」展の章毎の紹介、第二回目です。

Ⅱ 大島興義、小太郎の時代

 松浦叢書に収録された村松文書による小笠原藩士録によれば、大島興義は幕末藩治最終時の職務は右筆とあり、食禄は七両三人口、後に十三石二人口とあります。また、大島家の仕官年代は寛永年中の小笠原長重の時とされ、本国は若狭で、興義は五代と記される。近代図書館に収蔵されている大島家文書の由緒書には、大島太左衛門の長男として、小三太興義は文政12年(1829)に生まれたと記されています。一方、興義の長男小太郎は安政6年(1859)に誕生しています。
 この時代は、小笠原唐津藩では、文政6年(1823)、二代長泰に天保4年(1833)、三代長会、天保7年(1836)、四代長和に、そして天保11年(1840)には五代長国といように、五人もの藩主が短い期間に交代するように、藩経営にも苦慮する時期でもありました。
 三百年続いた江戸の徳川政権には、ペリーアメリカ艦隊の来航、日米修好通商条約締結問題からの尊皇攘夷運動、大老井伊直弼による安政の大獄、桜田門外の変、蛤御門の変、第一次長州征伐、薩英戦争、第二次長州征伐と続く幕末の激動の末、終焉を迎えます。
 慶応3年(1867)の大政奉還から藩籍奉還までの驚くような動きを経て、ご維新という呼び名の「明治」という時代が生まれたのです。
 新しい時代の風とともに、唐津の人々は近世という足枷からどのように脱却していったのでしょうか。
 一方、明治・大正・昭和という近代の時代は、欧米列強に伍すべく日本という国を作り上げようとした時代でもありました。薩長政権によって作られた明治国家は、殖産興業の名のもとに、近代化を目指すとともに、富国強兵という側面によって、時代の谷へ駆け下りていくことになります。地方における近代化は、こうした世相とともに展開したのです。


この章では、大島家にかかわる年譜や古文書などの資料を中心に紹介しています。
中には、小太郎の父・大島興義の明治3年(1870)肖像写真の複製も。
上野彦馬の写真館で撮られたもので、「崎陽」において、の裏書きがあります。
「崎陽」は長崎の漢文風の美称なので、「長崎において」ということになりますね。

ちょっと横道にそれますが、上野彦馬(1838-1904)をご存知ですか?
幕末から明治期にかけて活躍した日本最初期の写真家(カメラマン)です。
長崎の蘭学者の家に生まれた彦馬は、オランダ人医師ポンペに舎密学(化学)を学ぶうちに写真術に関心を持ち、研究を始めました。
困難を乗り越えて写真技術を習得、文久2年(1862)に長崎に写真館「上野撮影局」を開業します。ここでは、幕末の志士や明治時代の高官、名士など数多くの肖像写真が撮影されました。


大島小太郎とその時代展

【とき】
  3月5日(土)-3月30日(水)まで 入場無料
  午前10時-午後6時(入場は午後5時30分まで)

【休館日】
  月曜日

【ところ】
  唐津市近代図書館 美術ホール(1階)

【主催】
  唐津市教育委員会

【問い合わせ】
  文化課:0955-72-9171



■唐津市近代図書館■
TEL (0955)72-3467
〒847-0816 佐賀県唐津市新興町(JR唐津駅南口すぐ)
ホームページ http://tosyokan.karatsu-city.jp/

明治と唐津藩…「大島小太郎とその時代」展 (3/30まで)

2011年03月05日 | 展覧会
今日から始まった「大島小太郎とその時代」展について、章毎に簡単に紹介していきたいと思います。


Ⅰ プロローグ 明治と唐津藩

 佐賀県北部の都市、唐津は江戸時代、二代目の藩主大久保氏以来、譜代藩として松平、土井、水野といった諸家によって統治されました。文化14年(1817)奥州棚倉から小笠原氏が転封し、最後の藩主となります。
 小笠原家は、明治2年(1869)の藩籍奉還までの五代52年間、唐津藩を治めました。この間、嘉永6年(1853)の黒船来航によって始まる幕末動乱の嵐の中で、譜代藩としての唐津藩も激動の波に揺られました。特に、最後の藩主であった長国の時代は、世子、長行が老中格として徳川政権の中枢にあり、生麦事件の処理、第二次長州戦争の全権といった役割を担ったことから、薩長政権からは厳しい処置がなされました。
こうした幕末期の変動期にもかかわらず、譜代藩の宿命として佐幕派としての位置で、時代を乗り切ることになった藩士達は、英語学校という場を借りて、新時代への幕開けを予感し、かつ、乗り越えていきました。
 この新しい時代を切り開き、近代唐津を支えた人々の軌跡こそが、現代唐津の幕開けであったと考えられます。


この章では、明治5~14年頃の「唐津城絵図」や、唐津藩の絵師だった長谷川雪塘の「唐津城下町図」、18歳の若き高橋是清が英語教師を務めた唐津の英語学校「耐恒寮」(明治4~5年)などについて紹介しています。
この耐恒寮では、大島小太郎のほか、辰野金吾や曾根達蔵、天野為之らが学びました。


本展の会期終盤の3月26日(土)には、旧唐津銀行(辰野金吾設計監修、田中実設計)もリニューアルオープンします。
26日(土)・27日(日)には、いろいろなイベントも予定されているとか。
くわしくは、旧唐津銀行ホームページをご覧くださいね。
http://karatsu-bank.jp/


大島小太郎とその時代展

【とき】
  3月5日(土)-3月30日(水)まで 入場無料
  午前10時-午後6時(入場は午後5時30分まで)

【休館日】
  月曜日

【ところ】
  唐津市近代図書館 美術ホール(1階)

【主催】
  唐津市教育委員会

【問い合わせ】
  文化課:0955-72-9171



■唐津市近代図書館■
TEL (0955)72-3467
〒847-0816 佐賀県唐津市新興町(JR唐津駅南口すぐ)
ホームページ http://tosyokan.karatsu-city.jp/

【シンポジウム】唐津と早稲田をつなぐ偉人たち (高齢者ふれあい会館りふれ)

2011年03月05日 | 唐津の情報
天野為之記念シンポジウム「唐津と早稲田をつなぐ偉人たち」が、唐津市高齢者ふれあい会館りふれで開催されます。

「早稲田の四尊」のひとりとして早稲田大学の草創期に大学の礎を築き、明治期の日本近代経済学の発展に貢献した郷土の偉人・天野為之の業績を辿るとともに、早稲田大学と唐津の偉人たちとの深い縁を紐解きます。

入場は無料ですが、事前の申し込みが必要とのこと。
くわしくは、「からつ大学交流連携センター」などにお問い合わせください。


【とき】
  3月19日(土)
  午後2時-4時30分
  ※ 受付開始は午後1時30分

【ところ】
  唐津市高齢者会館りふれ(二タ子3丁目)

【内容】
  ①基調講演「早稲田大学と唐津の偉人たち」
  ②シンポジウム「天野為之が遺したこと」

【入場料】
  無料 ※ 事前に申し込みが必要

【定員】
  200人
  電話・FAXまたはEメールで申し込み

【申し込み先】
  からつ大学交流連携センター
   TEL:0955-70-1515
   FAX:0955-70-1516
   E-mail:k-daigaku@po1.people-i.ne.jp

【問い合わせ先】
  からつ大学交流連携センター
   TEL:0955-70-1515
  唐津市企画経営部 早稲田佐賀中学・高校交流推進室
   TEL:0955-72-9115
  唐津早稲田交流推進協議会
   TEL:0955-58-9000

【主催】
  唐津早稲田交流推進協議会

大島小太郎とその時代展 (3/5~30)

2011年03月05日 | 展覧会
「大島小太郎とその時代」展、本日OPENしました!

本展覧会では、唐津銀行の初代頭取として唐津の近代化を支えた先覚者 大島小太郎(1859-1947)の業績を顕彰するとともに、旧大島邸や旧唐津銀行などの歴史遺産を通して、近代唐津の歴史をたどり、現代の唐津へ投げかけるものを考えます。

今回は、「大島小太郎とその時代」を次の6つのテーマで考えてみました。

 Ⅰ プロローグ 明治と唐津藩
 Ⅱ 大島興義、小太郎の時代
 Ⅲ 人物群像の語るもの
 Ⅳ 大島小太郎の仕事
 Ⅴ 今に残る文物-歴史の遺産達
 Ⅵ エピローグ 大島小太郎伝

「うーん、なんだか難しそう…」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
歴史的な資料以外にも、寛永年間(1624~1644)に作られたかわいらしいおひなさま(大きさは10㎝前後!)や、華やかなふすま絵、迫力ある鷲(わし)のついたて、花鳥を描いた建具など、見て楽しめるものもいろいろありますよ。
明治以降の唐津の風景もたくさん出てきます。
この機会に、ぜひご来場くださいね。


【とき】
  3月5日(土)-3月30日(水)まで 入場無料
  午前10時-午後6時(入場は午後5時30分まで)

【休館日】
  月曜日

【ところ】
  唐津市近代図書館 美術ホール(1階)

【主催】
  唐津市教育委員会

【問い合わせ】
  文化課:0955-72-9171



■唐津市近代図書館■
TEL (0955)72-3467
〒847-0816 佐賀県唐津市新興町(JR唐津駅南口すぐ)
ホームページ http://tosyokan.karatsu-city.jp/