名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

確約制度について番外編~学校と塾の狭間で~

2018-11-24 23:42:12 | 教育に関する私論
この記事の番外編です。


前回、密約型確約制度について紹介し、私が思う、その問題点を書きました。

今回は、密約型確約制度によって生じる、学校の進路指導と塾の進路指導の差異

および、その差異によって生徒がどう苦悩するのかというお話です。



前回書いたように、密約型確約制度の場合、中学校教師は、出願前に、生徒の合格を知ることができます

そして、その情報は生徒・保護者は知り得ません。

また、中学校教師は

確約条件を満たす→合格する
確約条件を満たさない→合格できない


という風に判断をします。

なぜならば、前回書いたように、確約条件を満たす生徒に対して高校は優先的に合格を出すため

当日素晴らしい点数をとっても、確約条件を満たさない生徒は合格できない可能性が高いからです。

希望的予測に基づき進路指導を行ない、予測と異なる結末になった場合、生徒・保護者の信用を失いますので、それは最も避けなければならないことです。



ところが、塾はそんなこと知ったこっちゃありません。

塾の先生は何を見て話をするかというと

過去、偏差値いくつくらいの子がその高校にどのくらい合格できたのかという統計データと

その子の模試の結果です。



前回も言いましたが、密約型確約制度を採用する地域において、確約条件はたいてい、評定です。

評定と模試の偏差値は必ずしも正比例しません。

偏差値の割に評定が高い子もいれば、逆に偏差値の割に評定が低い子もいます。

具体的に言うと……

授業中熱心で、提出物への取り組みが素晴らしいけれども、本番に弱いような生徒は、偏差値の割に評定が高くなりますし

授業にそこまで熱心で無く、提出物に対しての取り組みに難があるが、本番に強いような生徒は、偏差値の割に評定が低くなります。




すると、どのようなことが起きるか。

私立高校の出願先を検討するという話になったときに

ある生徒は、「塾の先生は〇〇高校大丈夫って言ってくれたとに、学校の先生は厳しいって言う!」と悩み

また別の生徒は逆に「塾の先生は厳しいって言うけど、学校の先生は君なら合格できるって言う……」と苦しむわけです。

これは、学校の先生と塾の先生では、判断の根拠にしているものが全く異なるという事によって起こる現象です。



子どもが、こんな板挟みになるのは、良くないと思います。

そこから導かれる私の提案は、前回の記事と重なるので、細かく書くことはしませんが

やはり、密約型確約はやめるべきだと思います。



この記事・前回の記事を踏まえ、ご意見をお聞かせ下さい。

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