昨日から、「100分 de 名著」ハンナ・アーレント『全体主義の起源』が始まった。大学院の頃、「国家とは何か」という問いに占領されていた頃、先輩に進められて読んだ。その先輩は、くも膜下出血で早々にお隠れになった。『全体主義の起源』は訳文が格調高く、難しいけれど読み応えのあるいい本だった。
それから30年近く経って、昨年、『ハンナ アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』 (中公新書) 矢野 久美子 (著)を読んだ。これも若い友人の勧めで読んだ。読みたい本、読まなければならない本が山積しているので、正直、有難迷惑だったが、無理やり渡された本だった。ハイデッカーとの恋愛、ユダヤ人迫害を紆余曲折乗り切った様子などは知らなかったので、あの時代を生きた彼女の人となりや苦渋に触れることができたので、結果的には読んでよかったと思う。
この番組に接するまで、ここ2、3年、先輩の事を思い出さなかった。お亡くなりになった直後は半年間くらい茫然自失だったのが、今は遠い昔の事のよう。10月でちょうど没後10年になる。研究のアドバイスから子育ての悩みまで、尊敬する素晴らしい先輩に出会えたことは、私の何物にも代えがたい財産だと思っている。
天国の彼女と一緒に番組を見ているつもりで楽しもうと思っている。