旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

チベット圏に仕事で行くという事

2018年05月24日 | 日記


僕は、主にチベットの古い物を現地から仕入れて売る、という仕事をやっている。

チベットというと、なかなか行けないイメージがあるだろう。
が、結論から言っちゃうと、チベットに行くのはそれほど難しい事ではない。

ただ、確かに他の国に比べ、手間になる事があったりする。

ラサやシガツェなどチベット自治区内に行くのは、手続きが必要で、
思い立ったらすぐに渡航出来るかというと、違う。

入域許可証なる書類や、日本人はガイドをつけるのが必須なので、
その手配も必要である。

お金に余裕があり、「一生に一回のチベット旅行」、という感じなら、
日本の旅行会社に頼べば、手間が省け、心配する事なく渡航が可能だ。

でも高い。日程や行き先にもよるが、日本の旅行会社に頼むと、
30万〜40万円くらいは最低必要だろう。

僕は、年に6〜7回も渡航するので、いちいち、日本の旅行会社になんか頼んでられない。
なので、直接、自分で現地の旅行会社とやり取りして、出費を抑えている。

入域許可証が必要ない東チベットでも、体力的に過酷だ。
移動に何時間も、すし詰めの乗り合いジープなどに乗る必要がある。

そもそも、情報が不足しているので、
初めての渡航は旅に慣れていないと苦労しそうだが、
旅に少しでも慣れていれば、ストレスはすくないし、快適とすら思える事もある。

いずれにせよ、欧米先進国の大都市やリゾートに行くのに比べ、
何かと面倒なのは確かだ。

行ったからといって、
バンバン売れる物を簡単に仕入れられるかというと、
僕は、難しい、という印象を持っている。

当たり前だが、本場はチベット物の数自体は多い。
が、珍しい物は少ないし、
そもそもが高いのだ。


・・・で、チベット本土以外で、チベットの古い物がある国といえば、
ネパールやラダックだ。

チベット本土に比べ、旅しやすい。

しかし、短期で面白い仕入れができるかというと、違う。
運が良くなければ、時間をかけてゆっくりと探さないと、
なかなか良い物とは出会えないだろう。

ようは、良い仕入れをするのには、
ある程度(最低でも一ヶ月)の長い滞在期間が必要なのだ。


なので、最近、僕は思うのだ。

チベットの古い物の仕入れは、
チベット本土やラダック、ネパールは、
商売的な観点から見ると、
短期で年に何回も渡航するのは効率的ではない。


ネパールのタメル地区で徹底的に安い物を買いまくる、
というスタンスであれば成り立つだろうが、
僕にはそれはできない。

または、高額な物を仕入れて、
付加価値を付けて売る、
という方法があるが、これは元手がないと難しい商売でもあり、
リスクもある。

では、どうすれば良いかというと、
中国の大都市で適度な金額のチベット物を仕入れるやり方が、
効率的なのだ。
経費も労力も時間も、かからない。

中国の一部の大都市部では、チベット族の業者も多くいて、
そこで仕入れができるのだ。

しかし、ここが重要なのだけど、
中国の大都市部にある、チベット物は、総じて「良くない」物が多い。

良い物もあるにはあるのだが、
良い物の数自体が少なし、
僕の好みではない場合が多い。

一見、良く見えるが、
よくよく見ると、珍しい物も、少ない。

だが、チベット物であるのは事実なので、
それは趣向と商売方針の違いになってくるだろう。

効率的な商売だけの視点で考えると、
これらで充分だろうと思ったりする。


しかし、僕は、それでは納得できないのである。

どう考えても、効率的ではないが、
もっと奥へ、
もっと美しい物を、
を探してしまうのだ。


で、結論だが、
奥地へ行って、自分の満足する物を求める一方で、
商売上、成り立つやり方をするのが良いと感じている。

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