旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

チベットの美しいアクセサリー

2018年07月14日 | チベットもの




チベットのファッション・アクセサリーは美しい。


チベットのアクセサリーまたは装飾品というと
興味ある人は、まっさきに、ターコイズや珊瑚や琥珀、古いビーズを思い浮かべるかもしれない。

だが、実は、アクセサリーも美しい物が数多くあるのだ。

今や世界中で知られるようになったネイティブ・アメリカンのシルバー・アクセサリーをはじめとして、
モロッコなどのアフリカのアクセサリーや、
世界各国の固有の民族のアクセサリーは様々な場所で紹介されているのを目にするが、
何故か日本では、チベットの装飾品の紹介はほぼ目にしない。

しかーし、
チベットのシルバーワークやレザーワークは、他の民族に引けを取らないほど、
美しく、技術力が高い。

特に、銀象嵌の感性が素晴らしく、
チベット仏教に基づいたデザインや装飾は、世界に類を見ない。

チベット人はベルトや財布など身につけるアクセサリーから、
馬具や扉具にも銀装飾を施す。
装飾の感性が優れているのだ。



バックルにも銀象嵌がほどこされた、極太革ベルト。
状態も申し分なく、銀象嵌の密度やクオリティが非常に高い。

カムパと呼ばれる、騎馬民族であるカム地方の男達が好んで着用するベルト。
馬と生きる騎馬民族または遊牧民ならではのワイルドなベルトだ。

男汁全開で、問答無用でかっこ良い。

これ以上のクオリティを求めるのは難しく、
稀にあるにはあるが、それは超絶技巧の、金で象嵌された物で、もはや超高額な美術品となるので、
大衆美術の物としては、これが最高レベルだと言い切れる。






腰から提げる革財布
中央にチベタンターコイズや様々な種類の石が付けられ、
周囲にはチベット仏教由来の模様が銀盤に彫られるのがお約束。

このタイプの財布は、チベット本土では数自体は数少ない物ではないが、
クオリティの高い物を探すとなると、
突然、数が少なくなる。

ネパールの一部のアンティーク・ショップだと、
手が出ないほどの金額で売られている。

因に、財布ではなく、火打ち石のタイプは数が多い。








すこし前から注目している、女性用装飾品ローズィー(地域によって呼び名は異なる)

かつては牧畜具であったが、
今や、美しく身を飾る装飾具として進化し、姿を変えて今を生きている。

基本はフック型。
無垢の真鍮製で中央に石が付かないシンプルなタイプが多いが、
中には、中央に何かしらの価値のある石が付属するクオリティの高い物もある。

伝統的なチベット女性のファッション・アイテムだ。



ラサのアンティーク・ショップのマネキン

革のチュバまたはロッパ(民族衣装)に装飾品。
ここまでゴリゴリの服は着ていないように思えるが、
稀に実際に着用しているのを目にする事もある。
多くが地方から来た遊牧民達だ。

余談だけど、かつてシガツェで老齢の遊牧民の来ている革のチュパを交渉した事があるが、
染み付いたバターの匂いが強烈で、とてもじゃないが持ち帰られる物ではなかった。


------


これらのアクセサリーの多くは、
今や、ラサなどの若者は身につけておらず、
伝統的な服装をまとうチベット人の中高年達に目にする事がある。

伝統を重んじる家庭では比較的若年層でも持っている場合もあるが、
それは数少ない。

ただ、カム地方やアムド地方などに行くと
現役で使われているのを、まだまだ目に出来る。



素晴らしいチベットのアクセサリー、
日本でもっと知られて欲しい、と思う。



チベットの装飾品の販売→

※ベルトや財布などは直接販売させて頂いているので、
webshopには掲載していません。


コメント    この記事についてブログを書く
« チベットの中心地ラサの今 | トップ | チベットの十字絞り染め民族衣装 »

コメントを投稿