旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

東チベットという地域への旅

2019年06月23日 | 日記



東チベット。

それは、ある種、マニアックな場所かもしれない。

ハワイやパリなど、
多くの人が訪れる世界的に有名な場所ではない。

煌びやかなお店や、
誰もが絶賛する美味しい食事もない。

しかも、
チベットといえば、
少し興味がある人からすると、
ラサなどを思い浮かべるかもしれない。

東チベットなんて、
一部のマニアしか知らないだろう。

しかし、東チベットといわれる地域は、
チベット自治省となるので、
自治区内とは違い、パーミット(入域許可証)も必要ないので、
自由に行動もできる上、ラサなどに行くのに比べ、お金もかからない。

しかも、
東チベットってさ、
移動や宿、食事など、
旅の基本的な行動視点で考えると、
そんな旅行しずらい場所ではない、と思う。

むしろ、
実は、快適に旅できる地域かもしれない。

もちろん、場合によっては、
10時間すし詰めシェアジープとかある時もあるし、
標高3000mとか4000mなので、
体調管理とかは出てくる上、
真冬にはマイナス20度を下回る事もあるけど、
実際、ちょっと色々な国を旅した事があるバックパッカーならば、
そんな大した事はないと俺は思っている。

スリや強盗、ボッタクリ、騙し、などの危険性も低いように感じる。

実際、危険性は低いだろう。

慣れれば、長時間移動以外は、
ノンストレスですらある。

道も、日進月歩で、どんどん舗装が良くなり、
トンネルも開通し便利になってきている。


そして、
ゴリゴリのチベット圏だ。


未開拓なイメージがあり、
冒険感もあるかもしれない。

何より、
チベットという雰囲気を味わえるフォトジェニックな場所でもあると思う。

チベットですねん〜っていう風景や人、場所などが
所々で、もろ感じられる。

なので、
写真を撮って、
SNSとかで自己表現するのにも適しているだろう。

だからこそ、
その場所に行きたいという旅行者もいる。

しかし、その多くが
一過性の旅行なのだ。

もちろん中には、
リピーターも居るが、
ほとんどは、一度きりの渡航となるだろう。


しかし、
この東チベット、
紛れもなく、政治的に繊細な場所なのだ。

もちろん、外国人立ち入り禁止地域もある。

そしてそれは、日々、変化し、
先月まで入れたのに、もう今月は、立ち入り禁止ってのも
当たり前のようにある地域だ。

一度きりの一過性の旅行では、気がつかない事も多いかもしれないが、
「特殊な場所」という側面も持っている。

その特殊性の分かりやすい制限である、
立ち入り禁止地域、という文言が一人歩きをし、
それによって、
一部の旅行者達に興味をもたらす結果となっている。

なので、
立ち入り禁止地区へ潜入してみたい、という旅行者もいる。


実際、俺も、
それを試みた、
もしくは、
試みようとしている旅行者に現地で会う。


潜入を試みるのも、個人の責任だし、
潜入した自分を何かで発信するのも、
ある種、個人の自由かもしれない。

冒険したいって気持ちも凄くよく分かる。

隠された場所を覗いてみたい、という好奇心も分かる。


でも、俺、思うのだ。


潜入したその先、何がしたいのだろう?


たぶん、多くは、制限された場所に入った自分を
アピールして終わり、かもしれない。
もしくは、アピールしなくとも、
満足して終わり、だろう。

どれくらいの人が、
その先にある疑問を深く考えるのだろうか。


「なぜ、そこが、立ち入り制限されている地域なのか?」


その地域、もしくは周辺地域に住む人々が
どういう思いで現状を捉えているのか


どういう現実がそこにはあるのか


でも、そこまでは、
一過性の旅行では、
考えないのもしかたがないとも思う。

もちろん、
「ワタシ、ジャーナリストじゃないからね」
というのも最もな意見だろう。

そもそも、
興味自体ないかもしれない。

もし興味はあったとしても、
一過性の旅行だと、
色々な国、場所へ旅してる、ただの一部分、
ひと時の経験、なだけかもしれない。


今まで多くの旅行者と会った。


でも、
その土地、その土地、
その土地の人々、
その背景、
を「深く」知ろうとする旅行者は
意外なほど少ない。

もっとも、
どんなスタンスで旅するか、
どんな目的で旅するか、
目的すらなくても、
旅のスタンスは、
「個人の自由」だとマジで俺は思っている。

ただ、
何処の場所でも、
何処の国でも
同じだろうが、
一過性の一度だけの旅行と、
複数回、訪れたり、
その場所に長く滞在するのでは、
違った見方が出てくると思う。

・・・で、
この東チベットってとこもさ、
「一過性の旅では見えてこない側面」を
持った地域だと思う。


今、その立ち入りが制限された地域で何が行われているか?


あなたは興味あるのかな?


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