旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

旅を仕事にしてみたら。

2018年08月15日 | 日記

以前、仕入れしながら旅を仕事にするって内容を書いたよーな気がするが、
忘れちゃったんで、また書いてみる。

-------------



僕は海外の古い物を自分で渡航して仕入れて、
日本で売る、という仕事をしている。

渡航頻度は多い方だと思う。

旅先や日本で自分の仕事を言うと、
かなりの確率で羨ましがられるか
「夢のようなお仕事をしていますね」
「私も同じ事をやりたいなー」
とか言われる。

実際、始めた頃はめっちゃ楽しかった。
・・・と、思う。
思う、というのは、その時は、その良さ・楽しさを実感していなく、
ただただ訳も分からず、ひたすらやっていたので、
「オレ、今、めっちゃ充実しとるわ〜」
という実感する事は少なかった。
が、充実していた日々だったのは間違いない。

最初の頃から一人でマニアックな奥地まで行ったり、
色々ミラクルな出会いや仕入れをしたりしてたので、
今思えば、その頃、インスタグラムやyoutubeをやっていたら
それらを見てくれる人に楽しんでもらえたのに、と思っている。

まぁ、そんな事もあるが、
なんやかんやで今、この仕事を改めて考えてみた。

今の率直な意見を言おう。


めっちゃ大変やで。これ。マジで。


確かに、好き勝手に生きてはいる。
しかも、仕事ってやつ自体、どんな仕事でも
多かれ少なかれ大変な事はあるから
仕方が無い事ってのは知っている。

でも、
BUT,
僕の仕事でいう、「仕入れの為の仕事で旅」ってさー、
みんなが思うほど、自由で気楽じゃないねん。

旅が好きー、ってだけでは絶対続けられない。

なぜなら、
お金に余裕があれば別だが、
同じ場所にひたすら行かなきゃならない。

ヨーロッパ物を長年やっている知人も話していたが、
「何処かの時点で、旅が楽しめなくなり、
渡航が単純に仕事になる時がやってくる」と。

じゃあ、色々な国に行けばよいじゃんか?

と言われるかもしれないが、
商売のスタイルや趣向にもよるが、
特定の場所からのモノを仕入れ、
そこでの「知識と経験を深め、コアなお客さんを獲得していくスタイル」であれば、
頻繁に広範囲に色々な国へいくのは難しい。
そして、一回だけ新たな国へ短期で行ったところで
珍しい物や良い物を満足するぐらい仕入れられるとは限らない。
運次第になるだろう。
いずれにせよ、
現地でのコネクションや経験を積むのは多かれ少なかれ時間を要すると思う。

やり続けていくと、
自由なバックパック旅行とは別次元の渡航だ、と感じるだろう。

それが「この国、好きでタマリマセン〜」という事であれば、
まだ良いだろう。

僕の場合、チベット仏教圏である、チベット、中国、ネパール、
インドが渡航先としてほとんどなのだが、
これらの国には合計して、30回以上は行っている。
上記に近い国のタイに至っては何年も住んだ事すらある。
ぶっちゃけてしまうと、僕は最初から
「これらの国が好きだから、これらの国を選んだ」、という事ではない。

気がついたら、チベット仏教圏に仕事で関わっていたのだ。

「女優はなりたくてなるもんじゃない、
気がついたら女優になっていたという職業なのだ」
とは以前、どこかで聞いた言葉だが、
まぁ、そんな感じなのだ。

確かにインドはめっちゃ合うし、
間違いなく好きなんだが、何にも縛られない気ままな旅とは違い、
いざ、仕事でって事になると違う要素がでてくる。

しかも、チベット圏の現地の業者は、多くが良い奴らだが、
中には、
コイツ、マジで死ね、というようなクズもいたりする。

そもそも、偽物の比率が高過ぎるし。

宿や移動手段などの仕入れ環境すらも、
ヨーロッパやハワイとかを優雅に旅した事しかない人には
マジでヒデェ〜としか感じられない場面も多くやってくる。

それでも、爆発的に売れでもすれば良いだろうが、
「チベットの古い物」というジャンルは極めて狭い世界である。
ようは絶対的な需要が少ないのだ。

仕入れにかける、
お金、
時間、
経験、
労力などが
大き過ぎる、と感じる時がある。

いつかは、日本でチベットの古い物に大きな光が当たる日が来るのだ〜、
と願い続けているが、まぁ、今んとこきていない。


去年、限界が来て、
たまには違う国で、
「綺麗な町並みで食事が美味しくカワユイ子がいる国へいきたい!!!」と思い、
イスタンブールに勢いで行ったのだが、
そりゃー、まー、楽しかった。

イスタンブールは過去に行った事があったのだが、
普段、クソ汚い国で過酷な渡航をしている身にとっては、
イスタンブールはキラキラと輝いていた。

イスタンブールの百戦錬磨の業者ですら、
チベット圏のクセが強い業者達に比べれば、ある種、マイルドにすら思えた。
イスタンブールはイスラム圏にあっても先進国である欧米マインドが強い場所だからだろうか。

僕は強く思った。

「オラ、イスタンブールに住んで、今の仕事をしたいずら」
街中には大好きな人懐っこい野良猫が多く、猫とも遊べるし。

しかし、その想いはまだ果たせていない。

今のチベットに関する道を続けるのだ、という想いがある一方、
なけなしの金を持ってイスタンブールにダイブしたろか、
というエキセントリックな思いにかられる。


旅ライターとかインスタグラマーとか
ブロガー、web制作、コンサルティングなど
ネットで完結出来る仕事であれば、
どんな手法でも構わないのだが、
旅を仕事にするって、
最初の一年、二年は充実するだろう。
僕も同じで、かなり充実していた。
問題は、その後、なのである。


つまりは、新鮮さ、が必要なのだと思う。
旅もマンネリ化してくると面白くなくなるわけで、
その旅を仕事にするって、
旅が仕事なわけだから継続的に続けていると、
仕事も旅も新鮮さもやがて無くなるわけさ。

なので、旅を仕事にするって、
新鮮さを保つ努力や工夫が必要なのだ。


コメント    この記事についてブログを書く
« 異業種と話して思う事。 | トップ | 宝探し in チベットのアンテ... »

コメントを投稿