会社のお付きあいで、経済同友会に入っている。23日に開催された夏季セミナーは豪華ゲストスピーカーをお招きし、前半はトヨタの奥田相談役、後半は映画監督の山田洋次氏だった。
山田氏は寅さんシリーズを48本取った松竹のスター監督である。
学生時代、僕は映画研究会で映画を撮っていた。映画研究会では代々引き継がれてきたバイトがあり、それは名古屋駅前の松竹直営の映画館で売店を中心に雑用をこなすことであった。
当時は邦画の斜陽の時代で、どんなプログラムをかけても閑古鳥が泣いていた。レギュラーのお客は三人ほど居た痴漢?で、その内の一人は中々の男前で、時々客席で落とした女性をお持ち帰りしていた。さらに、この男に会いたくて通うおかしな女が居たりして、今のシネコンと大きく異なり、良くも悪くも暗くて隠微な空気が映画館を充たしていた。
そんな映画館が様相を変えるのが盆と正月に寅さんが封切られる時であった。寅さん上映中は連日満員御礼。普段バイトの仕事は暇でしようがなかったが、この期間だけは殺人的に忙しくなった。そのように当時の松竹を一人で背負っていた山田監督の話を生で聞けるとは感慨深い。
但し、僕はある時までアンチ山田であった。寅さんの生き方は甘えていると思ったし、寅さんの合間に撮る映画は大概各種映画賞を受賞し高く評価されるが、突っ張っていた僕には偽善的なヒューマニズに感じた。
僕もある程度の年齢になり、山田監督の作品の根底に通ずる誠実さが、やっと理解できるようになった。「たそがれ清兵衛」などは本当に良い映画だと思う。
さて、山田監督は「僕にとって”創るとは”」というテーマで映画監督論を中心に実に興味深いお話をされた。
寅さんを演じ続けた渥美清の天才ぶりと、C型肝炎を患っていた晩年の話などは胸を打つとともに凄みがあった。
その中で、僕とまことに調子の合う話があった。
山田監督は通常、映画を1本創るのに600-700のカットを撮るという。
監督の主たる仕事は、スタッフや役者が作り上げたものに対してOKかNGの判断を下すことだと言う。
撮った600-700のカットが全て完全でありうる事はない。80点ぐらいで良しとする場合が多い。だからこそ次にもっと良い映画が撮れるのではないかと思っているそうだ。
しかし、稀に撮られたカットの全てが100点でOKしたのではないかと思われる作品がある。
それが、傑作というものだ。
小津安二郎監督の「東京物語」は全てのシーンが100点と思われる。
そして、若きS.スピルバーグの「JAWS」がそうだ。
山田監督は「JAWS」を見た後、スピルバーグは若いけれどもうこれ以上の作品を撮れないのではないかと思った。その後、スピルバーグは話題作を多発するヒット・メーカーになるが、必ず100点ではないと思われるカットが混じっているそうだ。
スピルバーグに関し、僕は山田監督に100%同意する。
「JAWS」を初めて観た時に、僕は映画館の椅子から転げ落ちた。
映画のカタルシスがすべて詰め込まれた驚異的な映画で、これを超える映画をスピルバーグは撮り得ていない。
「JAWS」に比べれば、その後のスピルバーグの作品はどれも退屈だ。
さて、山田監督の新作が12月に封切られる。
藤沢周平時代劇三部作の完結編ともいえる作品だ。
「武士の一分」。当代一の人気者キムタクの主演だ。
剣道の上手い木村拓也と、時代劇、そして山田洋次ディレクト。
"人には命をかけても守らなければならない一分がある。”
流石に見逃す手はない。
山田氏は寅さんシリーズを48本取った松竹のスター監督である。
学生時代、僕は映画研究会で映画を撮っていた。映画研究会では代々引き継がれてきたバイトがあり、それは名古屋駅前の松竹直営の映画館で売店を中心に雑用をこなすことであった。
当時は邦画の斜陽の時代で、どんなプログラムをかけても閑古鳥が泣いていた。レギュラーのお客は三人ほど居た痴漢?で、その内の一人は中々の男前で、時々客席で落とした女性をお持ち帰りしていた。さらに、この男に会いたくて通うおかしな女が居たりして、今のシネコンと大きく異なり、良くも悪くも暗くて隠微な空気が映画館を充たしていた。
そんな映画館が様相を変えるのが盆と正月に寅さんが封切られる時であった。寅さん上映中は連日満員御礼。普段バイトの仕事は暇でしようがなかったが、この期間だけは殺人的に忙しくなった。そのように当時の松竹を一人で背負っていた山田監督の話を生で聞けるとは感慨深い。
但し、僕はある時までアンチ山田であった。寅さんの生き方は甘えていると思ったし、寅さんの合間に撮る映画は大概各種映画賞を受賞し高く評価されるが、突っ張っていた僕には偽善的なヒューマニズに感じた。
僕もある程度の年齢になり、山田監督の作品の根底に通ずる誠実さが、やっと理解できるようになった。「たそがれ清兵衛」などは本当に良い映画だと思う。
さて、山田監督は「僕にとって”創るとは”」というテーマで映画監督論を中心に実に興味深いお話をされた。
寅さんを演じ続けた渥美清の天才ぶりと、C型肝炎を患っていた晩年の話などは胸を打つとともに凄みがあった。
その中で、僕とまことに調子の合う話があった。
山田監督は通常、映画を1本創るのに600-700のカットを撮るという。
監督の主たる仕事は、スタッフや役者が作り上げたものに対してOKかNGの判断を下すことだと言う。
撮った600-700のカットが全て完全でありうる事はない。80点ぐらいで良しとする場合が多い。だからこそ次にもっと良い映画が撮れるのではないかと思っているそうだ。
しかし、稀に撮られたカットの全てが100点でOKしたのではないかと思われる作品がある。
それが、傑作というものだ。
小津安二郎監督の「東京物語」は全てのシーンが100点と思われる。
そして、若きS.スピルバーグの「JAWS」がそうだ。
山田監督は「JAWS」を見た後、スピルバーグは若いけれどもうこれ以上の作品を撮れないのではないかと思った。その後、スピルバーグは話題作を多発するヒット・メーカーになるが、必ず100点ではないと思われるカットが混じっているそうだ。
スピルバーグに関し、僕は山田監督に100%同意する。
「JAWS」を初めて観た時に、僕は映画館の椅子から転げ落ちた。
映画のカタルシスがすべて詰め込まれた驚異的な映画で、これを超える映画をスピルバーグは撮り得ていない。
「JAWS」に比べれば、その後のスピルバーグの作品はどれも退屈だ。
さて、山田監督の新作が12月に封切られる。
藤沢周平時代劇三部作の完結編ともいえる作品だ。
「武士の一分」。当代一の人気者キムタクの主演だ。
剣道の上手い木村拓也と、時代劇、そして山田洋次ディレクト。
"人には命をかけても守らなければならない一分がある。”
流石に見逃す手はない。
いろんなところで話をするから、定期的にライターが書き換え、ある期間はいつも同じ話をしているんじゃないでしょうかね。
残念!
「たそがれ清兵衛」探しに行ってきましたが、見つかりませんでした。その代わり
昔読んで大感動した五味川純平の「人間の条件」を見つけて、大喜びで借りてきましたが、まだ観る暇がありません。
私立高校の音楽!!!教師というのもお洒落ですね。
元私立高校の音楽教師です。
オトコとしてはいかがなもんか、と思う人ですが、イチ人間としては尊敬してます。
講演は、如水会と全く同じです。
経団連トップまで登りつめたカリスマ経営者として、その内容に期待していたのに、原稿棒読みで退屈の極みでした。途中から僕は完全に寝ていました。
SATOさんんおお父さんは何者?町長さん?
ところで奥田さんの講演はいかがでしたか?
私は以前如水会で聴きました。
すごく期待をして聴きに行ったのですが、その時はずっと原稿を棒読みするだけの、とても退屈な講演で、ガッカリしたことを憶えています。今は違うのでしょうか?
想いを伴う創造ってスゴイものができますね。