KEVINサイトウの一日一楽 

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寺尾聡 Re-Cool Reflections

2007年01月09日 | Music,Movie & TV
 1981年日本中は寺尾聡の歌で満たされた。

 「Shadow City」、「出航 Sasurai」という名曲に続いて出た「ルビーの指輪」は、当時の人気音楽番組「ザ・ベスト10」で12週連続1位というとんでもない記録を打ち立て、その年のレコード大賞を獲得した。

 これらのヒット曲を含んだアルバムが「Reflections」で、その年に164万8千枚というセールスを記録した。

 当時の日本音楽マーケットの規模を考えると、この164万8千枚というのは、100m走の記録が11秒ぐらいのところで、突然9秒9が出たぐらいの破格の売上だった。

 後に建てられた東芝EMIのビルは全部、寺尾聡が建てたようなもんだと揶揄されたほどだ。

 何故、寺尾聡?というのが当時の感覚だった。

 俳優としてのデビュー以前に、売れないグループサウンズをやっていたことは知っていたが、当時の寺尾聡は偉大なる父、宇野重吉の呪縛から逃れ、中堅俳優として渋さと存在感が光り始めた頃であった。
 しかし、突出した存在では決してなかった。
 そんな地味な俳優の出した歌が、何故、突然に世間で受け入れられ、社会現象化するぐらい売れたのか正直、今もって理由が分からない。

 但し、このベストセラー「Reflections」は、文句なしに素晴らしい出来映えだった。

 このBLOGを始める前に不定期に友人に送っていたメールで、僕は日本のAOR(Adult Oriented Rock)BEST10を選んだことがあったが、その内の一枚に「Reflections」を選んでいる。

 詞;有川正沙子&松本隆、曲;寺尾聡、編曲;井上鑑のコラボによる曲は、どれも素晴らしく、特に井上の才能が爆発したという印象が強い。
 
 アルバム一曲目の 「HABANA EXPRESS」のイントロの格好よさはぶっ飛んでいるし、寺尾聡いわく「アルバムで一番好きな曲」という「渚のカンパリ・ソーダ」のポップさにも心が躍る。

 当時、最強のスタジオ・ミュージシャン(ギター;松原正樹、ベース;田中章弘、パーカッション;齊藤ノブ、浜口茂登也、ドラム;林立夫、上原裕など)が、とてつもない演奏技術を気持ちよく解き放つ。

 名盤「Reflections」が出てから25年。

 「Reflections」が曲順もそのままに再録音されて「Re-Cool Reflections」として発売された。

 寺尾聡がどんどん熟成されて日本を代表する名優になったように、「Reflections」も同じようにいい感じで現代に復活した。

 もともと、大人の音楽ではあったが、渋さと甘みが増した。特にコンピュータ打ち込みの音楽が多い中で、ライヴ感のある生バンドらしい音が気持ちいい。

 それに今の歌手はハイトーンばかりで、低音で歌う人が殆どいないが、今回、寺尾の歌を聞いて低音の良さをつくづく感じた。

 年末に「Re-Cool」を手に入れたので、今年に入ってからは旧盤と新盤の聞き比べに忙しく、寺尾聡しか聞いていない。

 今になって気づいたのだが、「Reflections」は、Shadow Cityという架空の街で繰り広げられるLove Storyであった。 

 作詞家の有川正沙子は、Shadow Cityにヨーロッパをイメージしていたようだが、僕には世界を代表するコスモポリス東京こそがShadow Cityに一番似合っていると思う。


 


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2 コメント

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さっそく (いそちゃん)
2007-01-15 22:19:01
ドラム林立夫って、メチャ懐かしいです。
さっそく私も聴いてみます。
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ドラマー (KEVIN)
2007-01-16 23:16:38
 僕の日本一好きなドラマーが、林立夫なんです。
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