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ケンタシノリのバルコニーから眺めて

勘太と夜中の便所(その18)

「ふはははは! にげるなら今のうちだぞ」
 不気味な化け物の顔つきに、勘太は腹掛けを右手でおさえながらにげたくなりました。そんな勘太の心の中にあらわれたのは、お母さん代わりであるお千代のすがたです。
「勘太くん、化け物がいないと思っておしっこをすれば大じょうぶだよ」
「本当に大じょうぶなの?」
「目をつぶってごらん。そうしたら、化け物なんか気にしなくなるでしょ」
 勘太は、お千代のことを信じて目をつぶってみることにしました。すると、今まで耳にしていた化け物の声は聞こえなくなりました。


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