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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.3:面積・高さ計算

2020-04-25 09:52:20 | ビジネス・教育学習
 今回は、面積高さ計算という、避けて通れない基本事項を整理していきます。
 基礎知識の高い人には、眠い話ですが、試験の第1問目に、用語定義か図形問題での面積高さ計算の、どちらかがきます。
 また、集団規定では、このことがわかっているとの前提での出題になります。
 従って、念のために、過去の出題傾向からの重点事項を記述します。

◇「面積・高さ計算」の問題は、図形問題としての出題が大半なので、図形演習問題での習練が重要。以下に言葉の定義を説明しますが、図形問題で実際に計算して理解することが大切。
 (1)敷地面積(令2条1項一号)
  ・敷地の水平投影面積による。
  ・ただし、法42条第2項の規定によって道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地は、算入しない。
  ・みなし道路境界線は、反対側が宅地の場合には、道路の中心線から、それぞれ2mのセットバックした位置だが、川や線路敷地の場合は、その境界線から4mセットバックした位置と
   なる。
  ・この「みなし道路境界線」の規定が、敷地面積計算(建蔽率計算、容積率計算の時も含めて)をする場合には、学生の正答率は高いが、斜線制限の計算の要素として組み込まれた問題で
   の正答率は低いことに注意。(この部分の解説は、斜線制限の解説の時に、改めてします。)
 (2)建築面積(令2条1項二号)
  ・建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
  ・地階で地盤面上1m以下にある部分を除く。
  ・軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離1m以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離1m後退した線で算定する。
 (3)床面積(令2条1項三号)、延べ面積(令2条1項四号)
  ・床面積は、建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積。
  ・延べ面積は、建築物の各階の床面積の合計。
  ・ただし、法52条第1項(容積率の規定) における延べ面積に算入しない建築物の部分がある。
  ・その区分に応じ、床面積の合計に次の各号の割合を乗じて得た面積を限度として算入しない。
    令2条3項一号:自動車車庫等部分・・ 1/5
    令2条3項二号:備蓄倉庫部分・・・・ 1/50
    令2条3項三号:蓄電池設置部分・・・ 1/50
    令2条3項四号:自動発電設設置部分・ 1/100
    令2条3項五号:貯水槽設置部分・・・ 1/100
    令2条3項六号:宅配ボックス・・・・ 1/100
 (4)建築物の高さ(令2条1項六号)
  ・原則、地盤面からの高さによる。
  ・ただし、次に場合には、前面道路の路面の中心からの高さとする。
   法56条1項一号:道路斜線制限の規定により高さを算定する場合
   令130条の12:斜線制限の対象としない小規模建築物の高さを算定する場合
  ・なお、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓等において、建築面積の1/8以内の場合、その部分の高さは、12mを限度として、建築物の高さに算入しない。ただしこの場合、法56条1項
   三号(北側斜線制限)の算定の場合を除く。
  ・また、棟飾、防火壁の屋上突出部分等は、建築物の高さに算入しない
 (5)建築物の階数(令2条1項六号)
  ・昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計が、それぞれ当該建築物の
   建築面積の1/8以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。
  ・建築物の一部が吹抜きとなっている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によって階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによ
   る。
 (6)地盤面(令2条2項)と平均地盤面(別表第4最下欄の枠内)は異なる。
  ・地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が3mを超える場合においては、その高低差3m以内ごとの平均の高さ
   における水平面をいう。
  ・平均地盤面とは、当該建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面からの高さをいう(敷地全部の平均の高さにおける水平面)。

2020年4月25日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.2:用語の定義

2020-04-24 11:13:05 | ビジネス・教育学習

◇「用語の定義」における過去の出題傾向において、重要事項は2つ。
 (1)「防火性能(法2条八号かっこ書き)と準防火性能(法23条かっこ書き)の違い。
  ・防火性能は、法2条八号の防火構造に必要とされる性能として定義されている。
  ・準防火性能は、法23条で、法22条指定区域内の外壁に必要とされる性能として定義されている。
  ・性能的には、防火性能は30分以上、準防火性能は20分以上の非損傷性、遮熱性能を要求している。
  ・出題傾向に見る一番の違いは、防火性能は外壁と軒裏、準防火性能は外壁のみへの要求としている。
  ・出題事例(R元年№1の設問1)
    建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮するために外壁に必要とされる性能を、「防火性能」という。
   この設問は、誤り。防火性能とは、周囲の火災からの延焼抑制の為に、外壁、軒裏に必要とされる性能であり、外壁だけでは、不充分である。この設問の記述は、準防火性能のことを記
   述している。
(2)主要構造部(法2条五号)と構造耐力上主要な部分(令1条三号)の違い。
  ・主要構造部は、防火上の重要性から定められており、防火関連規定での用語である。
   (具体例)壁、柱、床、梁、屋根、階段などで、間仕切壁や基礎などは含まれない。
  ・構造耐力上主要な部分は、力学上の重要性から定められており、構造強度の規定での用語である。
   (具体例)壁、柱は共通だが、基礎、基礎ぐい、小屋組み、斜材、土台などがある。
  ・出題事例(R元年№1の設問2)
    建築物の自重及び積載荷重を支える最下階の床版は、「構造耐力上主要な部分」である。
    この設問は正しい。条文参照。
◇改正法絡みの「用語の定義」の重要事項は3つ。
 (1)大規模木造建築物を想定しての準耐火構造の性能基準を新設し、新しい用語を設定。
  ・従来、耐火構造を要求していた法21条の規定の範囲を緩和し、性能基準を導入した。
  ・令109条の5第一号で「通常火災終了時間に基づく準耐火構造(性能基準)」という新設用語を定義。
  ・令109条の5第二号においては、従来の耐火構造の建築物を定義し、選択可能とした。
  ・適用範囲を法21条1項一号から三号に定め、旧法より木造建築物の建築可能範囲が緩和された。
  ・この法21条に定める範囲は、変更事項として出題されやすい事項と推察。
 (2) 「特定避難時間倒壊等防止建築物」という用語がなくなり「特定避難時間に基づく準耐火構造」へ。
  ・法27条、及び法別表第1の読み取り方への変更はなく、用語定義の読み替えで支障はない。
  ・ただし、階数が3で延べ面積200㎡未満のものが、法27条の規制から外れていることに注意。
  ・新設されたこの緩和事項については、防火規定のところで、改めて解説します。
 (3)条文には正式な用語表現として定義されていないが、集団規定での新設用語の定義がある。
  ・確認申請第4面にでてくる「延焼防止建築物」と「準延焼防止建築物」という用語の新設。
  ・主要構造部、防火設備に要求される延焼防止時間以上の建築物として定義。
  ・「延焼防止建築物」は、耐火建築物相当の性能を有する建築物。
  ・「準延焼防止建築物は、準耐火建築物相当の性能を有する建築物。
  ・法53条建蔽率緩和対応と法61条防火地域、準防火地域内建築物への性能基準対応の新設用語。
  ・新設されたこの緩和内容については、対象分野のところで、改めて改めて解説します。
  ・想定問題:次の設問の記述は、正しいか誤っているか。
   問:特殊建築物の構造、建築設備及び用途に応じて当該特殊建築物に存する者の全てが当該建築物から地上までの避難を終了するまでに要する時間を、通常火災終了時間という。
   誤り。通常火災終了時間(法21条)とは、建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間のことをいい、設問の記述は、特
   定避難時間(令110条一号イ表の枠内)のことをいっている。

2020年4月24日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.1:プロローグ

2020-04-23 10:31:33 | ビジネス・教育学習
 諸般の事情で、しばらく過去問解説をご無沙汰していましたが、今年は、防災関連の性能規定化促進で、特に、二級建築士が職務で担う範疇の緩和既定が主軸なので、防火関連規定の試験内容も変化するのではないかと推察しています。昨年来より、国交省の解説資料を参照させていただきましたので、法改正事項について気がかりな点を、演習問題の解説を軸に、受験講座として展開したいと思っています。その背景には、非常勤講師として、専門学校での受験講座が滞る可能性がありますので、折角調べた改正法の要点を、伝達しきれないのではないかと危惧し、ブログで公開し、受験生のお役に立てればと思っております。

プロローグ
①建築士法を紐解くと、木造3階建て500㎡、RC造、鉄骨造300㎡が業務境界線の基本にあります。
②今回の改正法の緩和部分の主なものは、この建築物の部分への緩和と捉えることができます。
 (国交省の言葉を借りれば「木造建築物振興」という趣旨になるのでしょうか?)
③その中で防火関連の規定を理解するうえで、用語の定義の重要性を感じます。
④「特定避難時間倒壊等防止建築物」というのがなくなり「特定避難時間に基づく準耐火構造」へ。
⑤ある意味で筋が通り、新設の「通常火災終了時間に基づく準耐火構造」を含めて、理解しやすい。
⑥そこで浮上するのが「耐火構造と準耐火構造」の言葉の意味の理解。
⑦主要構造部で耐える「耐火構造」、人間活動を含めて主要構造部以外の部分で耐える「準耐火構造」。
⑧この意味を念頭に条文を読むと、規制内容が、スッキリ理解し易くなります。
⑨加えて新設された、防火地域、準防火地域における「延焼防止建築物」と「準延焼防止建築物」の理解。
⑩過去問でよく出題されていた、準防火地域内の木造3階建て500㎡以下の建築物への規制への注意。
 ・防火構造+防火措置でよいとする記述は、旧法では令136条の2で、新法では告示194号に移行。
 ・新法の令136条の2を参照するだけでは、準耐火構造の建築物という要求になってしまう。
 ・これらの最小限の告示の記載がある法令集を必要とします。

あまり防火関連規定ばかりの記述では、気がめいりますので、次回からは、順を追って、受験という観点から整理していきたいと思います。

2020年4月23日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
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