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令和3年(2021年)一級建築士試験問題解説 ④

2021-12-06 10:09:38 | ビジネス・教育学習
◇令和3年度(2021年)一級建築士試験問題の解説を続けます。
◇問題文を参照しながら見てゆくと分かり易いと思いますので、問題文、正答表共に、
 「公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.」をご参照ください。
◇下記URLにアクセスし、「Ctrlキー」を押しながらクリックすると表示できます。
 問題文(学科Ⅲ・法規)
 1k-2021-1st-gakka3.pdf (jaeic.or.jp)
 正答表(学科5科目):
 1k-2021-1st-gokakukijun.pdf (jaeic.or.jp)
◇できない場合は、グーグル等の検索システムで、公益財団法人 建築技術教育普及センターにアクセスしてください。
 ⇒「新着情報」のメニューの中に「試験・審査」というのがあり、
  「令和3年度一級建築士試験「学科の試験」の試験問題等の掲載について」という欄があります。

〔No.15〕 都市計画区域内の道路等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
正答 4
1.正しい。法42条1項五号、令144条の4第1項四号:条文参照。
2.正しい。法68条の6:道路の位置の指定に関する特例(条文参照)。
3.正しい。法42条、法43条2項二号、規則10条の3第4項二号:道路を定義する法42条に、設問にある港湾法は該当せず、特定行政庁の許可(法43条2項二号に該当)に基づき、公
 共の用に供する幅員4m以上の道に接する敷地の建築物(規則10条の3第4項二号に該当)として、法43条の接道義務を満たすことになる。なお、特定行政庁が許可する要件とし
 て、事前に、建築審査会の同意を必要とすることへの注意が必要。また、同一号において、省令(規則10条の3第1項、同3項)での要件を満たすことにより、農道等に接する敷地
 に対する「認定制度(許可ではない)」があることにも留意する必要がある。
4.誤り。法47条:壁面線により建築規制しているのは、建築物の壁、柱、高さ2mを超える門、塀であり、屋根、ひさしは規制対象としていない。ひさしは壁面線を超えて建築
 できるので、特定行政庁の許可を必要としない。ちなみに、法2条一号の用語の定義では、屋根は建築物としている。

〔No.16〕 都市計画区域内の建築物の用途の制限に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
正答 4
1.正しい。法48条5項、別表第2(ほ)項四号かっこ書き、令130条の7の2第一号:床面積が3,000㎡を超えていても、別表第2(ほ)項四号かっこ書きで、政令(令130条の7の2)で定
 めるものを除くとしており、保健所は第一号に該当するので、新築することができる。
2.正しい。法48条7項、別表第2(と)項四号、令130条の9かっこ書き:燃料電池車等にガスを充電する設備で、大臣が定める基準に適合するものに限り、その貯蔵、処理に供す
 る建築物は建築できないものから除かれている。
3.正しい。法48条8項、別表第2(ち)項五号、令130条の5の2第一号:150㎡以内で2階建て以下の喫茶店は、田園住居地域内と第二種低層住居専用地域内で建築できる。なお、
 田園住居地域においては、別表第2(ち)項四号、令130条の9の4に基づき、その地域で生産された農産物を材料とする料理の提供をする飲食店は、2階建て以下500㎡以内まで建
 築できる。
4.誤り。法51条ただし書き、令130条の2の3第三号ヌ:法51条ただし書きに定める、都市計画区域内で、原則、新築できない産業廃棄物処理施設の用途に供する建築物におい
 て、政令(令130条の2の3)に定める規模のものは新築できるが、その第三号ヌにおいて、工業地域内で「がれき類の破砕施設」は、1日当たりの処理能力が100t以下と定められ
 ており、設問の1日当たりの処理能力が120tのものは新築できない。なお、別表第2(を)項に工業地域内に建築できない用途が列記されているが、設問のものは記載がないの
 で、本表からは設問の答えは得られないことに注意。

〔No.17〕 図のような敷地において、建築基準法上、新築することができる建築物の容積率(同法第52条に規定する容積率)の最高限度は、次のうちどれか。
正答 3
法52条9項、令135条の18(計算用の道路幅)
Wa=(12-6)×(70-35)÷70=3m ⇒ 6+3=9m(東側道路幅員) >7m(北側道路幅員)
法52条2項
 ・幅員が12m未満の場合、幅員に地域別の係数を乗じたもの以下とする(道路容積率)
 ・2以上の道路がある場合の計算用道路幅員は、広い方の道路幅とする。
商業地域の容積率:(道路容積率) 9×6/10=54/10<60/10 (都市計画容積率)
第一種住居地域の容積率:(道路容積率) 9×4/10=36/10>20/10 (都市計画容積率)
商業地域と第一種住居地域の敷地面積は同じなので、面積加重平均(法52条7項)では同じとなる。
新築することができる建築物の容積率(同法第52 条に規定する容積率)の最高限度
(54/10+20/10)÷2=37/10・・・「3」

〔No.18〕 図のような敷地において、建築物を新築する場合、建築基準法上、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、次のうちどれか。
正答 3
①道路斜線制限:法56条1項一号、別表第3、法56条2項(建物後退による緩和)
 ・別表第3(に)欄より、商業地域の斜線勾配:1.5
・同(は)欄より適用距離(容積率80/10):30m
・道路幅員が12m以上なので法52条2項に基づく道路容積率適用はない(都市計画容積率による)
 ・建物後退による緩和(法56条2項):西側1m
 ・2面道路における計算用道路幅を広い道路幅(16m)とする緩和規定(法56条6項、令132条1項)広い道路境界線から道路幅員の2倍(16×2=32m)以内、かつ35m以内の部分である
A点:3+(29-3)=29m≦30m ⇒広い道路幅での斜線制限範囲内である
 ・北側道路斜線:{3+16+3+(29-3)}×1.5=75.5m
 ・南側道路斜線:(3+16+3+3)×1.5=37.5m
②隣地斜線制限:法56条1項二号
 ・31mを超える部分からの斜線勾配:2.5、建物後退緩和:西側1m
 ・隣地斜線:31+(1+1+1)×2.5=38.5m
③北側斜線制限:法56条1項三号
 ・商業地域に北側斜線制限の適用はない。
∴南側道路斜線の「37.5m・・・③」が、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度となる。

2021年12月6日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
コメント
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