読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

地形図でたどる長野県の100年 長野県地理学会編 2020

2020年09月12日 | 地理、観光(国土地理院、観光庁)
 明治末期から大正初期にかけてのおよそ100年前の5万分の1地形図とその最新版を対比し、長野県の地域の変貌を読み解く、という本。
 長野県は、地形も土地利用もまことに変化に富んで多様である。
 
・火山性の高原地帯の山林や原野が別荘地、スキー場、ゴルフ場になり、山岳に観光道路やロープウェーが整備されるなど観光開発が進んだ。
・扇状地の桑畑や草地が農業用水によって水田化されたり、果実や高原野菜の生産基地となった。
・盆地周縁の丘陵地に工業団地が造成され、機械、半導体などの工業集積地となった。
・氾濫を繰り返した千曲川や天竜川に堤防が築かれ豊かな田園になったが、水害の危険は去らず。
・長野市や松本市などの都市は、政治経済文化の中心として進化し、近隣町村を合併するとともに市街地を拡大・連坦させた。
・鉄道や道路、高速道路や新幹線、空港の整備によって大きく発展する地域もあれば、メインルートから外れ空洞化したり衰退する町もある。
・急傾斜の山村地域では、峠道の改良やダム建設などがあったが、林業は衰退し、過疎化が進んでいる。
 
 53の地域が、「開発」、「発展」、「変容」の3部に分けられている。「開発」は主に別荘地やスキー場など観光開発、「発展」は農業や工業開発、「変容」は都市化や過疎化という区分という説明だが、この区分は成功していないように思える。菅平が「開発」で霧ヶ峰が「発展」、松本市が「発展」で長野市が「変容」、遠山郷が「変容」で小谷村が「開発」とはこれ如何に? 単に地域で分けるとか、都市・農村・山村で分けるかのほうが、わかりやすかったのではないか。編集者の宗派か?
 
 53のうち、私がこれまでに訪れた場所:軽井沢、志賀高原、白樺湖・蓼科高原、碓氷峠、長野盆地北部(小布施)、恵那山トンネル、天竜峡、塩田平、中野市、八ヶ岳西南麓(原村)、霧ヶ峰、諏訪湖沿岸、松本市、岡谷市、上松、小諸市、長野市、佐久平、飯田市の19か所。
 20代30代のときに旅行した所が多い。最近長野県にはあまり行っていない、と気づく。日帰りでは行きにくい。

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