ジャガイモ(シラネアオイ科)花言葉は、情け深い;恩恵。馬鈴薯は全国各地で栽培されるが、冷涼な気候を好むので、暖かい地方では早春に種芋を植付け、収穫は5~6月。掘りたての「新馬鈴薯」は小粒だが、皮も薄く風味があり、初夏の味覚の一つである。馬鈴薯は南米アンデス山地原産。16世紀末にジャカルタから渡来したのでジャガタラ芋」となった。ナス科の多年草。草丈50~80㎝、葉は羽状複葉で、白または淡紫色の花をつける。世界中で広く栽培されている重要作物で、地下に出来る塊茎を収穫する。煮物、揚げ物などの料理に使うほか、澱粉やアルコールの原料ともされる。「新馬鈴薯や農夫掌よく乾き 中村草田男」「新じゃがをほつかりと煮て風の町 下鉢清子」「選り分けて新じやがの粒揃ひたる 広瀬直人」「じゃが芋の北海道の土落とす 中田品女」「馬鈴薯の顔で馬鈴薯掘り通す 永田耕衣」「掘るほどに広さ馬鈴薯畑なる 石倉京子」「馬鈴薯を掘る羊蹄山の根つこまで 今野広人」「かなしくて馬鈴薯を掘りさざめくも 石田波郷」「馬鈴薯の花の日数の旅了る 石田波郷」「馬鈴薯の花の日暮れの駅があり 有働 「じゃがいもの花のさかりのゆふまぐれ 日野草城」「じゃいもの花の三角四角かな 波多野爽波」「じゃがいもの花の起伏の地平線 稲畑汀子」「じゃがたらの花裾野まで嬬恋村 金子伊昔紅」「馬鈴薯の花に日暮れの駅があり 有働 亨」「じゃが薯を植ゑることばを置くごとく 矢野渚男」「切株の累々薯を植うるなり 相馬遷子」。(ジャガイモは富士の嶺望みて植える吾小庭 ケイスケ)
アヤメ;菖蒲(アヤメ科)花言葉は、神秘な人;良き使い。サトイモ科の菖蒲と古くからよく近藤されたが、花姿が全く異なる江戸時代に「あやめ」と「しょうぶ」と呼び分けられるようになった。また花姿や開花期が似ているので、杜若、花菖蒲などともよく混同されてきた。これを区別するにのは生えている場所である。水草の杜若は水の中、水陸どちらでも咲く花菖蒲は水辺、あやめは陸草なので普通畑地に生える。あやめは草丈30~50㎝で幅1㎝、杜若より葉幅が狭い。花菖蒲は中肋があるので区別できる。5月紫や白などの優美な花が咲く。外側の花弁は垂れさがり、基部に黄と紫の網目があっ虎班模様をなしている。これが「あやめ」の語源である。内側の花弁三個は細長く直立する。中国名「渓礎}。「花菖蒲」は古名。「きる手元ふひみえけり花あやめ 其 角」「一人立ち一人かゝめるあやめかな 野村泊月」「野あやめの離れては濃く群れては淡し 水原秋櫻子」「寝る妹に衣うちかけぬ花あやめ 富田木歩」「あやめ咲き雨読の父がよみがえる 平畑火川」「あやめ咲く野のかたむきに八ヶ岳 木村蕪城}「衣をぬぎし闇のあなたにあやめ咲く 桂 信子」「花菖蒲夕べの川のにごりけり 桂 信子」「西行塚訪うて佇む野のあやめ 大橋敦子}「風筋に立つ野あやめの二三本 大橋敦子」「野あやめの咲く畦づたひ伊勢神楽 藤田湘子」「白あやめ逢魔が刻はそびえけり 八田木枯」「針仕舞ふ女のうしろあやめ咲く 福田甲子雄」「あやめ一茎倒し逢にゆく 宇多喜代子」「花と花の間さびしき花あやめ 大井雅人」「あやめ咲く咲かぬも同じ静けさに 加藤瑠璃子」「手拭を噛めどあやめの濃く咲きぬ 鳴戸奈菜」「父の庭あやめ棒立ちしてをりぬ あざ蓉子」「木曽殿の討たれしあたり花あやめ 岩本尚子」「晩節や紺潔きあやめ草 土持三郎」「はなびらの垂れて静かや花菖蒲 高浜虚子」「むらさきのさまで鮮やか花菖蒲 京極杜藻」「むらさきのさまで濃からず花菖蒲 久保田万太郎」「うつむくは一花まあらず花菖蒲 長谷川秋子}「女傘かりて見てをり花菖蒲 清水基吉」「てぬぐいの如く大きく花菖蒲 岸本尚穀}「蕾とく風を待ちをり白菖蒲 高島筍雄」「白菖蒲剪つてしぶきの如き闇 櫛原希伊子」「わかれわかれになりて歩きぬ菖蒲園 長谷川かな女」「菖蒲園隅より水の忍び出て 平畑静塔」「袖たもと花にまぎれて菖蒲園 鷹羽狩行」「菖蒲園の夕日浮かぶ花となりぬ 松本たかし」。(吾部屋に活けて美し花菖蒲 ケイスケ)