
コーヒーの女王の名に相応しい、フルーティな酸味と香り、甘い味わいが特徴そういう文句を思い浮かべながら飲むと、なるほどと思えてくる。

静かに、それでいて存在感のあるデザイン。敢えて自己主張を抑え、いぶし銀のような趣。華美を嫌った端正なマスク。流れるように、風の通り過ぎたような清々しいセダン。それがpassatに対する印象である。
Simple is best の意味は、「これ以上削るものがなくなった状態」とも。人生を歩んでいく上で、そこまで突き詰めることは難しいけれど、人生の指標の一つになるものである。車が登場して、大衆の中に入り込んだとはいえ、いつの時代も贅沢品に違いない。車体も大きくなった。デザインも凝りに凝っている。そんな中で、「車を哲学した」というような形容がふさわしい8代目。それが『パサート』だと直感した。試乗したとき、その車の鼓動が乗り移ったかのような錯覚を覚えた。