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振り向けば大宮の夜が明ける。 少し変わった角度から眺めるの!

大宮在住。
伸び行く大宮市、
その時々の目に留まったことなどを楽しくユーモアも交えて
書きたいと思います。

ハイネの詩「落日」に滅することの幸せを想う。

2019-03-25 15:42:07 | ブログ

ハインリッヒ・ハイネの詩

「落日」をお送りいたします。

その昔、月の女神と日の男神が

空に仲睦まじく輝いていた。

 

落日

 

遠くまで波立つ

いぶし銀の海へ

燃える赤い日が沈む

淡いバラ色の大気の層が

その後ろに漂い 見返れば

秋めいたほの暗い雲のベールから

月の面輪が

悲しげに青ざめたあの世の人の

ような顔が浮かびでる

その背後に遠くかすんで

星屑が火花のように瞬く

 

 

その昔 仲睦まじい夫婦

月の女神と日の男神は

空に一緒に照っていた

周りには小さな無邪気な子供らの

星が群がり光っていた

 

だが陰険な告口のため 二人の仲は

裂かれ 気高い光明の夫婦が

反発してついに

離れ離れになったのだ

 

だから 日の神は一人 昼間

孤独な輝きを放って天界をさまよい

その荘厳さのために

幸運を誇る冷酷な人間から

崇められ 讃えられる

しかし夜になれば

空を月がさすらう

憐れな母親は

父のない子等を引き連れ

侘しい憂いに照り光る

そして恋する乙女や心優しい詩人から

涙と詩を捧げられる

 

 

 

 

ああ 月はか弱い 女らしい心映えから

今もなお 立派な夫を愛している

日の暮れに震え青ざめつつ

薄い雲間から覗き出て

別れゆく日の後を切なげに見送る

おそるおそる「帰りたまえ

帰りたまえ 子らは父親を慕う」

と呼びかけたげに

だが頑なな日の神は

妻の姿を見かけると

怒りと悲しみのために

深紅の色を二重に燃やす

そして無情にも駆け降りる

冷たい潮の男やもめの褥(しとね)へと

 

 

陰険な告白にかかっては

不滅の神々でさえも

悲哀と不運をまぬがれない

こうして憐れな神々は空の上に

希望もなく ただ無限の軌道を

悩ましくも歩き続ける

 

 

 

 

 

しかも滅亡することもできず

ただ悲惨な光を

引きずって行く

 

けれども

僕は地上に植え付けられた

滅する幸運に恵まれた人間だ

ああ 

もういつまでも嘆くまい!

 

ハインリッヒ・ハイネの詩を

お送りいたしました。

「落日」より

 

ここまでのお付き合い有難うございました。

この後、楽しいひと時をお過ごしくださいね。

忘れる喜びをあなたに!

どんな苛めがあっても負けないでくださいね。

 

 

 

 


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