新型コロナ感染防止のために日本中の美術館や博物館が休止した。
こうした施設で「集団クラスター」発生の可能性はそもそも極少と思われたけれど、
危険を回避するという考え方からはやむを得ないのでしょう。
たしかに行動抑制が叫ばれている中で鑑賞を「呼びかける」のはムリ。
結果として、ここ数ヶ月芸術鑑賞の機会は大きく失われていた。
芸術鑑賞は作品と鑑賞者の「対話」が本質なのでしょう。
それを鑑賞し心を澄ませて「訪れる」心理が、基本的な前提であり、
その心理が作品と触れて「躍動」するというやり取りで
「受容」されていくものなのでしょう。一期一会の真剣勝負。
絵画鑑賞など、こういう所作が体験として、人間的に審美されていく。
こういう一期一会の機会が日本からほぼ失われ続けていた。
が、よく訪れていた「東京国立博物館」は6月2日から開場している。
〜東京国立博物館は、新型コロナウイルス感染防止のため2月27日(木)から
臨時休館としておりましたが、首都圏を対象とした国の緊急事態宣言が
解除されたことから、6月2日(火)より一部の展示施設を開館いたします。
感染予防への対策を徹底するため、ご観覧にあたり、
お客様にはご不便をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。〜
ということで、当面は
〜入館にはオンラインによる事前予約(日時指定券)が必要となります。
オンラインによる受付は、6月1日(月)からの運用開始を予定しています。
すべてのお客様はオンラインによる事前予約が必要となります。〜
という制限処置が継続され続けるということなので、
大多数の「時間のゆとりが出来たときに、自由に・・・」という
訪問機会が普通一般である芸術愛好者には、なかなか敷居が高い。
であれば事前予約までしても観たいというテーマの企画立案を楽しみにしたい。
フランスでは芸術は人間に欠くべからざるモノであるという
政府側からの意見発出もあったようだけれど、
こういう種類の「飢餓」は初めて経験させられた。
これまでも特定の企画展示が、社会の底流的なムーブメントに与っていた
という事例は相当数に上っているのではないかと思う。
この新型コロナ禍からの人間社会の再興にとって、
どのような芸術企画展示が社会に意味を持つのか、興味を持っている。
<写真は酒井抱一「椿図」を自分でデジタル処理したものです。>