タラら々日記 漢方の薬眞堂

何故か学生時代のあだ名はタラ。
薬剤師として、国際中医専門員として日々の暮らしの中での事を書いています。

内臓肥満

2006-07-31 | 暮らしの中の中医学
また、杜仲茶がテレビで取り上げられました。

ドラッグストアーの杜仲茶は一日で売りきれだそうです。

内臓肥満を減らすという事を現実的にみせられれば、視聴者が買いに走るのは無理無いと思います。

以前ダイエットに杜仲茶がいいと言う番組が放送されたときも、売りきれ続出でした。

その後一年もたたないうちに飲んでいる人は激減し、杜仲は本来の使われ方にもどっていきました。

なぜ使う人が減ったの?
 
もう全員痩せたから?

中医学で杜仲は肝腎不足タイプにたいして降脂の目的にも使われます。

2006-08-01

漢方で杜仲は樹皮を用い、肝腎を補い、筋や骨を強め、固経安胎(経脈をしっかりさせて胎児を安定させる)働きがあります。温性なので冷えるタイプにむきます。

杜仲茶は杜仲の葉で,ある程度杜仲の働きを持っているようです。

1979年発行の漢薬の臨床応用という中国の中薬学を訳した本に杜仲がラットの腸管からコレステロールの吸収を減少させるようだという一文がのっています。もうすでに杜仲の薬理学実験がおこなわれていたんだなー

これを見て、証を見ず杜仲を使うことはありません。

内臓肥満といって原因・体型などちがいがあります。

原因を見てみると大食・偏食・ストレス・運動不足・生活リズムの乱れなど・・・

体型は全体に肥っているときもあれば、一見痩せ型でお腹のまわりだけ出ている時もありましす。また、肥リ方も人によって違います。

でも、直接的な原因は食と運動でしょう。

風邪で熱をだしたりしておかゆしか食べなかったり、お腹をこわして食べれなかったりした時ウエストが少しゆるくなった経験があると思います。

2006-08-02

内臓肥満・肥満・高脂血症は脂が身体にたまってしまったものです。

津液が停滞し飲となり、飲が凝集して痰になります。痰濁が内部に集結して油脂の塊になります。

中医学で見ると痰は内臓脂肪の元ということになります。

痰はどうやってつくられるのでしょう?

『脾は生痰の源』〔脾は痰をつくる源(みなもと)〕といわれていています。

この事は「脾は運化を主る」と関係していて、脾の正常な運行がなんらかの原因で阻害されると痰が出来てしまいます。

2006-08-03

内臓肥満で一番多いのは食べ過ぎだと思います。

自分がエネルギーに変えれる分以上に食べているので身体に蓄積してしまった…ということです。

つまり食積です。

以前食積については書きましたが是に対しては消食導滞の働きのあるものをつかいます。

山査子は代表選手といえます。油膩の消導に使うからです。

ですから食事によって積もったものを取り除くには山査子・神麹・麦芽でできた晶三仙があっています。

でも新しく積んでいかないようにしないといけません。

一方から積み出しているのにもう一方からどんどん入れてたのでは埒があきません。

2006-08-04

人の身体を滋養する血や精は命の源ともいえます。

エネルギーの原動力になるものです。

機関車を動かすには石炭が必要です。

肝は血の貯蔵庫は・腎は精の貯蔵庫です。

だから肝腎不足は精血の不足で、原動力の不足により代謝が弱まります。

その為に内臓肥満になっているときは肝腎を補う事が必要です。

そこで補肝腎の働きがあり脂質の代謝に関りのある杜仲・何首烏・枸杞子などを使います。

2006-08-05

その他、痰湿・お血・脾虚・気滞など考えられます。

内臓肥満というピンポイントに着目して何を飲んだら効くとか効かないとかいうのでなく、まず何故内臓肥満になったのかを考えましょう。

内臓肥満だけに着目するなら極端な事をいえば吸引したりの手術でとれるなら取ってしまえば解決です。

でも自分の身体・自分の健康ですよね

身体を治そうと思うなら自分が治そうとしなくてどうするんですか

食事の見なおし・生活リズムの改善・運動を基本とし原因に基づいた漢方選びをし、身体自体を改善していく事が内臓肥満解消の道だと思います。


不妊症

2006-07-24 | 暮らしの中の中医学
中医臨床という中医学の季刊誌をとっていて毎回特集記事がくまれています。

今回は不妊症でした。

中医学では「不孕」といいます。

また妊娠はするが流産したりして育たない事を「不育」といいます。

不妊の原因が女性にある場合と男性にある場合の率は近年ほとんど同じくらいになってきているそうです。もちろん双方に問題がある時もあります。

結婚して正常な性生活をしているのに2年以上受胎できない場合を不妊というそうです。

中医学がするのは身体づくりです。

特に重要な臓は脾・肝・腎です。

2006-07-25

女性の生理は「血の道」といわれるように血と関係が深いのです。

肝は「血を臓す」といい肝は血をたくわえる蔵ですし、「疏泄を主る」ということで血流量のコントロールをしているので「血の道」とのかかわりは深く「女子の先天」ともいわれます。

脾は「生血」といって食物から血を作ります。また、「統血を主る」といって血が脈管から漏れず正常に運行するようにするのは脾気の働きです。

腎は血と直接的な関係はありませんが、「精を蔵す」といいます。「精血同源」精と血は源は同じといいます。

また「腎は生殖を主る」といい不妊症の場合とても重要な臓です。

2006-07-26

女性の場合、生理のリズムは大切です。

旅行に行ったり、仕事が忙しく夜更かしがつづいたり、環境の変化やストレスによって影響をうけます。

旅行中こないはずだったのにとか、仕事のストレスできてないとか、ダイエットしてたら生理もこなくなったとか、経験がある人も多いと思います。

2006-07-27

生理が来るとか来ないとかは現れた現象です。

生理から次の生理までに卵の育っていく過程があります。

卵巣で卵胞のなかでしっかり育った卵は卵胞から飛び出し(排卵)、卵管の先(卵管采)に吸い込まれ卵管を移動し、子宮に入り授精していなければ着床せずに生理になります。
この仕組みにホルモンの働きがかかわっています。

基礎体温を測ってみると低温期と高温期の2層になっています。

この体温の動きから各ホルモンの状態や卵の育ちや排卵のことなど読み取れます。

この過程をこなすには身体の力が必要です。

中医学的では脾・肝・腎や経脈の流れなどが整えば、身体がしっかりしてきたということになります。

身をもって出産まで赤ちゃんを育てなくてはならない女性は身体づくりをしっかりしておくことが大切です。

2006-07-28

ピンポイントで病気をとらえる西洋医学とちがって、中医学(漢方医学)は身体全体をとらえ身体づくりしていきます。

精血が充足しているかは重要です。

チャングムが身体の虚弱なお妃さまに使った紫河車も益精・養血の働きがあります。

また、鹿茸は益精血の働きと、血の道の経脈を温め養う働きがあり不妊症によく使われます。参茸補血丸や双料参茸丸・海馬補腎丸にはいっています。

この精や血は身体を維持する力の基ですし、この力で赤ちゃんを育て・お乳をだします。

また、血は産後の精神的安定にも関りがあります。

2006-07-29

この世に生を受け、腎気が充実し、天癸が成熟すると、衝脈・任脈が通じて月経が来潮します。

この経脈が充実し通じていることがとても大切です。

血の道というようにこの道は充実し、通じていなくてはいけません。

其の為、活血化鵞や理気行滞する必要があることもしばしばです。

数年前、不妊治療の名医でいらっしゃる中医婦人科の夏桂成先生の講演をきいた事があります。
女性の生理周期は昼が来て、夜がきてという自然の流れのように低温期という陰から高温期という陽にという陰陽転化のくりかえしからなっている。
生命を育てる大役をになった女性の身体が自然の摂理に通じている事を知り感動しました。

夏と心

2006-07-17 | 暮らしの中の中医学
心の季は「夏」です。

夏は心の働きが活発になる季節です。

心は『血脈を主る』『神志を主る』ので血行がよくなり、人々は物事に対して明るく積極的で、海に山にと遊ぶ計画をたてたりします。

でも、心の弱い人はオーバーヒートしやすく、少し動くとハーハー・ドキドキして、心の液である汗は出過ぎて体力も弱まり、眠りも浅くなります。

2006-07-18

暑い環境下で身体に熱がこもりひきおこされるのが熱中症です。

汗は体温調節をしていますが、大量の汗で脱水をひきおこし体温調節ができず熱が体内にこもってしまいます。

梅雨明け、急激に暑くなった時は、身体も暑さに対して調整する準備ができていないので要注意です。

必ずイオン飲料か塩を少し溶かした水をちょくちょく飲むように心がけましょう。

中医学てきには身体が脱水ぎみでヘトヘトな状態を気も陰も不足している状態(気陰両虚)といいます。

2006-07-19

身体の中の水は津液です。

暑熱による発汗が過多になったため傷津(中医学では津液が失われ、役目を果たせない状態になっているのをこう呼びます)がおこり、津液とともに気も外泄(外に出ていってしまう事)するので気津両傷が発生する。

そうすると倦怠無力・息切れ・咽の渇き・口の乾燥(粘った感じがする時もあります。)等の症状があらわれます。

簡単にいうと身体がヘトヘトで咽が渇ききってる状態です。

気津両傷を治す漢方薬が生脈散(麦味参顆粒)です。

働きは益気生津(気を益し、津を生じさせる)斂陰止汗(ひきしめて汗のかき過ぎを抑える)というものです。

 漢方ってよく考えられてますよね。漢方は病気でなく身体の方を治すものです。


2006-07-20

「渇して水を飲まんと欲し、口舌乾燥するは 白虎加人参湯これを主る」

身体が熱く、咽の渇きが冷たい水を沢山飲み、疲労感も強い時は白虎加人参湯がいいです。

これの働きは、清熱生津・益気(熱をさまして、津液を生じ、気をます)です。

熱証が強いときはこちらを服用するといいです。

人の身体は正直です。内側に熱があれば冷たい物を欲し、冷えがあれば温かいものを欲します。これは寒熱をみる指標になります。

2006-07-21

中医学で心は「しんぞう」と「こころ」です。

これは「血脈を主る」と「神を主る」という言葉で表されています。

夏、こころもオーバーヒートすると眠りにも障害がでてきます。

疲れているに眠れない、眠りが浅い、そのため昼間も眠いなど。

夏ばてで眠りがわるくなっている時は麦味参に酸棗仁湯錠・帰脾錠・補心丹・牛黄清心丸などを状態に合わせて使ってみてください。

そういえば英語もハートは2つの意味がありますね。
  精神的なショックでドキドキしたり、こころとしんぞうのつながりの深さは誰でも感じる事なのかもしれません。


2006-07-22

「夏に脳梗塞が多い」と言う事がいわれています。

中医学的に暑邪は心陰・心気を損ない易く、又「心は血脈を主る」ので血脈も停滞し易いのです。

つまり中医理論から言えば、養生しなければ“起こるべくして起こる”ということになります。

暑邪の事をよく知り・個々の持てる力に応じて滋陰・生津・益気・健脾・化痰・化湿・利水・安神、さらに血脈が滞れば活血などの働きのものを食し・漢方を服用するなどして心を助けましょう。

汗は心の液というけれど、汗は邪気を追い出したり、鬱滞した気を出したりするのでいい汗かく事は大事です。汗して仕事や運動をしたあとシャワーをあびて、気持いいと感じるのがいい汗です。でも心の弱い人は注意しましょう。

食欲がなく、水っぽいものばかり食べたり飲んだりして、身体に暑さがこもってクーラーをガンガンかけずにいられない。また身体がだるく疲れがとれない。
こんな症状は放っておかないで相談してください。

2006-07-10 | 暮らしの中の中医学
梅雨があけると暑い夏がきます。

我が家では先週末からはと麦茶をつくっています。

はと麦は身体の余分な水を出してくれる働きがあります。

2006-07-11

夏は暑い季節です。

暑邪は六淫(病気を起こす外因)の一つです。

暑さをしのぐ食品として、はと麦・緑豆・小豆・スイカ・冬瓜・胡瓜・トマト・にがうりなどを食べるといいです。

スイカは「天性の白虎湯」といわれ、暑くるしさを楽にして、咽の渇きをおさえ、小水をだす働きがあります。

スイカは夏の必需品です。


2006-07-12

緑豆(緑豆)は知らない人もいると思いますが、『緑豆はるさめ』といえば「あー、あれね」って思う人も多いと思います。

緑豆は形や味から緑色のあずきといった感じです。

中薬学の本の中には『清涼解暑・除煩止渇の効果がある。また、心胃の熱を清し解毒するので、一切の草木金石諸薬・酒食諸毒に対し、大量に服用すると有効であり、解毒の良薬である』とかかれています。

いま、はやりの『デトックス』効果のある食べ物といえます。

夏の暑さや渇きを楽にしてくれるだけでなく『十種の水気を治療する』ので浮腫やすい人にもよい食べ物です。

お砂糖でにて、緑豆しるこや緑豆かんてん等、いろいろ工夫してみてください。

また、緑豆はるさめも食にとりいれましょう。

高脂血症や肥満の方には食毒を処理しながら、去暑できる一石二鳥の食べ物です。


2006-07-13

夏に関係の深い邪気の『暑邪』とはどんな邪気でしょう?

1.炎熱の特性がある。
2.昇散の性(のぼせたり、汗がよくでる)がある。その為、気・津(体力や体液)を消耗し易い。
3.湿邪をともないやすい(身体が重だるい・胃腸の調子が悪いなど)。

こういった暑邪の性質をみていくと「だから、気津の不足を補う麦味参顆粒や西洋人参・湿濁を除く勝湿顆粒や胃苓湯やジョッキ(茵陳五苓加減)がいいんだ」と解かります。


2006-07-14

夏風邪は治りにくいといいますが・・・

暑さにより身体が熱くなりやすく、身体の気や津液は不足しがちで、胃腸に水はたまりやすい状態になっています。

こんな時、風邪をひいたからといって葛根湯は使えません。

葛根湯は寒気がして汗が出てない時(無汗)に汗をだして寒邪を追い出す漢方薬です。

自然に汗の出るこの季節にむきません。

勝湿顆粒が「夏風邪に」と書いてあるのは軽く発散して寒邪を追い出し、胃腸の働きを助け、湿を除くことによって身体をサッパリさせるからです。

また、熱っぽい風邪の時は、熱を冷ます働きの天津感冒片が有効ですが、この時期は脾胃や肝胆系に働く物を加えた方が治りが良いことが多いのでご相談下さい。

中医学と西洋医学

2006-07-03 | 暮らしの中の中医学
中医学と西洋医学は病気に対する見方がちがいます。

どちらがすぐれているか?などと考える必要はないと思います。

中国では中西医結合といって、どちらもつかって病気の治療に役立ている病院があります。そうした場合でも弁証はかかせません。

予防医学の面では西洋医学の検査の発展が病気の早期発見につながっています。
しかし、数値が少の異常なだけで病気とはいえない時の対策はどうですか?
『様子を見ましょう』と言う事になります。
どうしたらいいのかの方法は中医学の方が得意です。

近年、中医学でも検査の数値を弁証の指標にするようになってきています。それに四診を合わせて考えた上で方剤や薬膳を(鍼灸の人は経穴を)決めます。


2006-07-04

こんな会話がよくあります。
「すごくよく話をきいてもらって」とか
「病院の先生はこんなによく話しをきいてくれない」とか

西洋医学がみているのは病気の部分で、
中医学がみているのは身体全体です。

だから、治療に必要な情報のとらえ方がちがいます。
西洋医学で必要なのは検査値と部分的な情報です。
中医学では弁償する為に、多くの情報集めが必要です。
また、病気に至った環境を知る事も重要な情報です。

例えばお腹をこわしやすい人がいたとします。
その人は漁をする人で風雨にあたって仕事をする事がよくあるとします。
そうすると寒湿の存在を考えにいれなければなりません。


2006-07-05

『老中医の診察室』にこんな話しがでてきます。
2人の腫瘍のある患者が鍾医師のところに診察にきました。

1人は「中薬を3、40剤飲めば、腫瘍はきえます」といわれ処方を書いてもらいました。
もう1人は「この種の腫瘍は中薬を飲んでも効果は期待できないでしょう。摘出手術をうけた方がいいと思います。」といわれました。

2006-07-06

「2つの腫瘍のちがいは何ですか?」という質問に対し
「1つは気エイといわれるもので、正しく診断すれば治療は確実です。
もう1つは失栄といわれるもので中医外科において4つの不治の病といわれるものの1つです。早いうちに摘出してしまった方が無難なのです」
と鍾医師はこたえています。

西洋医学に漢方薬をとりいれることが中西医結合ではありません、西洋医学の病気を治す技術と身体全体を考える中医理論(漢方理論)の両方をいかし、個人にあった治療方針を考えていくことが本当の中西医結合だと思います。

2006-07-07

チャングムの話しの中に身体の虚弱なお妃さまが国王の子供を切望してチャングムに相談する話しがでてきます。

チャングムは紫河車を使いました。

時をへて懐妊しますが、お妃さまの身体が出産に耐えれないと判断します。

でもお妃さまは「命にかえても生みたい」というので、国王にとめてもらうよう話しにいきますが「妃がそこまで生みたいというなら仕方ない。出きる限り医術を施すように」といわれてしまいます。

出産後チャングムの医術の甲斐なく力尽きてなくなってしまいます。

これが現代で中西医結合で治療していたらどうでしょう。

補腎益精・益気養血・補肺の働きのある紫河車を使い、精血を補い体力をつけて妊娠し、出産においては陣痛を促進して時間を短縮したり、出産後は点滴・酸素吸入など西洋医学の技術をくしして助ける事ができたのではないでしょうか。


2006-07-08

西洋医学の素晴らしさは知っている人が多いと思います。

でも万能ではありません。

西洋医学で難しい症状が、中医理論で簡単に治療方がみつかることもあります。

ここで中医理論をとりいれたら・・・
ここで漢方薬をつかったら・・・

と思うことも多々あります。

しっかり弁証して使うなら、すぐ結果が見えない場合でも飲んでいく事は大事です。
大きな力でなくても「雨だれ石を穿つ」ように変わってきます。

ここで大事な事は薬効だけを頼りに使うと間違えることがあるので、必ず身体の傾きを調整する方向につかっていくことです。