新聞記者になりたい人のための入門講座

新聞記者は、読者に何を伝えようとするのか。地球の危機や、庶民の喜怒哀楽かもしれません。新聞記者のABCを考えましょう。

作文・小論文の実例  3

2011年09月18日 | ジャーナリズム

 

 

感動」と言えば、人は何を考えるだろうか。感極まって涙が出るほどうれしかったこととして、自分が所属していた部活動の試合、大会で優勝した経験などを書く学生が多い。それでも、社会的な問題意識でこの題を書いた学生が結構いた。古い作品でマスコミ志望かどうかは確認できないが、紹介したい。

 

   

 

に映った黒人女性は、涙を流しながら語った。「最高に感動しています。生きていて良かったです」と。

バラク・オバマ氏が大統領に就任した。私はそのニュースを、アルバイト中にお客さんから聞いた。「もう、アメリカは大丈夫だ」とほっとした。

昨年の冬に「ルポ貧困大国アメリカ」という新書を読んだ。民営化が、アメリカに貧困をもたらしている。アメリカの格差社会を知った。大きなショックを受けた。経済大国と呼ばれるアメリカは、表面だけの印象だった。中をのぞけば、経済格差が濃厚な問題となっていた。また、この本は日本に警鐘を鳴らしていた。このままだと、アメリカの二の舞だぞとでもいうように。

アメリカのこうした状況を知ったからこそ、オバマ氏の大統領就任は、私にとって大きな感動だった。オバマ氏はヒーローだと思った。彼の演説はとても素晴らしく、心を動かされた。きっと、彼ならアメリカを変えてくれるに違いないと思った。感動は、アメリカ中に広がった。インタビューに答える人は涙を流し、オバマ氏の就任を喜んだ。アメリカの国民だけではなく、他国民にとっても大きな感動であったに違いない。彼の就任は海を越えて、多くの人に感動を与えた。

首相の就任で国民が涙を流して感動することは、かつて日本にあっただろうか。この人が首相になれば、きっと日本は大丈夫だと感動する日は、一体いつになるのだろうか。日本は、確実にアメリカの跡をたどっている。だからこそ、その状況を変えてくれるヒーローが現れてほしい。「もう大丈夫だ」と国民が涙を流し、感動を巻き起こす首相就任の日を迎えたい。

 

オバマ米大統領誕生の感動を、テレビの画像を通じて書いている。ベストセラーになった堤未果著「ルポ貧困大国アメリカ」(岩波新書)を読んだ感想をベースにしているので、説得力がある。学生のなかには米国へ留学したものも多く、米国への憧れも強いが、格差社会にあえぐ黒人女性の流す感動の涙が生々しい。この視点を日本にも向け、感動を起こす首相就任を待ち望む気持ちも理解できるだろう。ただ、オバマ大統領はその後支持率が低下するばかりで、失業率は改善せず、不況も打破できない苦境に陥っている。これは現在の状況であり、大統領就任時の世界的な「感動」は大きかった。オバマ大統領の言う「チェンジ!」が実現し、続いて日本でも自民党から民主党へ政権交代したのだが……

 

    感動

 先日、ドキュメンタリー映画「ディープ・ブルー」を見た。あまりにも壮大な自然の美しさに圧倒され、まるで自分が実際に世界中を旅しているように感じた。厳しい自然界で生きる動物たちの生き生きとした姿は、動物園で見る姿とは全く違って荒々しく美しく、私に大きな感動を与えた。

「ディープ・ブルー」は外国の長編ドキュメンタリー映画で、撮影には何年もの年月をかけたという。地球の海の姿をありのままに写し、その映像はとても美しいが時に残酷でもある。海のハンターと呼ばれるシャチは、クジラの親子を六時間以上追い回し、子クジラを捕らえる。しかし、食べるのはヒレだけで、残りは捨ててしまう。私は、自然界で生きる過酷さを知り、身震いしてしまった。深海に生きる生物たちは、あまりにも美しすぎて、まるで作り物のように感じた。赤や黄、青などさまざまな色や形で輝きを放ち、真っ黒な闇の世界である深海が、一気に神秘的な美しい空間に様変わりした。万華鏡をのぞいているような映像に、すっかり心を奪われてしまった。

今、地球の自然は危機に瀕している。森は伐採され、北極の氷はどんどん溶け出している。このまま地球が壊れていってしまったら、映画の中で懸命に生きていた動物たちを、二度と見ることができなくなってしまう。あの美しい神秘的な海をこの先ずっと残していけるのかは、私たち人間の行動次第なのだ。

私は「ディープ・ブルー」を見て、以前、訪れた沖縄の美ら海水族館を思い出した。そこで、飼育係の人は「この美しい海の生き物たちは、美しい海でしか生きられない」と言っていた。美しい自然は、人々に大きな感動を与えることができる。美しい自然と、そこに生きる動物たちが、遠い未来までいつまでも守られることを願う。

 

ュメンタリー映画を見て、美しい海に感動したことが良く伝わる文章になっている。沖縄の  美ら海水族館を通じ、人間の行動次第で美しい海を守れるかどうか問題提起しているのも分かりやすい。

両作品とも本、ドキュメンタリー映画などを読み、見た体験を中心に文章を書いているので説得力がある。空理空論で抽象的な文章は、よく書けていてもどうしても難解になる。

(写真:英国・ドーバー城の上から、フランス・ダンケルク地方が遠くに見える。私の風景写真アルバムから) 

 



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