![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/25/ca77bffdfa68d47fbf29507414376f13.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/1c/b36182f923fb255f22b21708095a535a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/66/58e52c8636ceb518857260ccf47b1956.jpg)
ы
2013年1月31日 NTTが開発した通信用レーザー技術を応用し
http://www.google.co.jp/gwt/x?hl=ja&client=twitter&u=http%3A%2F%2Ft.co%2FjRey0zNh
2013年1月31日
NTTが開発した通信用レーザー技術を応用し医療用光源を新たに製品化
~医療用画像診断において患者の負荷を軽減する世界最速波長掃引光源を新発売~
NTTアドバンステクノロジ株式会社
浜松ホトニクス株式会社
エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:花澤 隆、以下NTT-AT)と、浜松ホトニクス株式会社(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:晝馬明)は、医療用画像検査機器として臨床応用が進む光干渉断層計(Optical Coherence Tomography: OCT)に用いる1.3マイクロメートル(以下μm)帯の波長掃引光源を、2月1日より共同で販売します。
本製品は、日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下NTT)が通信用に開発した電気光学結晶KTN(タンタル酸ニオブ酸カリウム、KTa1-xNbxO3)の製造技術とその結晶を用いた高速波長可変レーザー技術を応用し、NTT-ATがOCT用の波長掃引光源として製品化したものです。製品として世界最速(従来比で2倍)となる200kHzの波長掃引速度を実現しており、OCT診断において患者の身体的負担の軽減に大きく貢献します。
販売は、NTT-ATと医療デバイスの製造販売で実績があり世界的な販売網を持つ浜松ホトニクスと共同で実施し、さらに両社は連携してOCT用波長掃引光源事業を展開するとともに、製品ラインナップの拡充や量産化に向けた共同開発を実施し、医療デバイス市場への参入、拡大を目指します。
なお、本製品は2月2日から2月7日まで米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催される国際会議SPIE フォトニクス・ウエスト(Photonics West)の併設展示会で、両社のブースにて展示します。
1.製品の概要と背景
OCT技術と現状
OCTは、1991年に開発された新しい医療用画像診断技術で、深さ数mm程度までの生体組織表層の断層像を数ミクロンから数十ミクロンの分解能で極めて高精細に観察できる技術です。OCTは、現在では大学などの研究機関や基幹病院から一般のクリニックにまで幅広く導入されています。中でもレーザー光の波長を高速に変化させることで断層像を撮影する 「波長掃引型OCT(Swept Source OCT:SS-OCT)*1」は、高速に高精細画像が得られるという特徴から今後の主流になると期待されており、検査対象となる組織に適した波長帯のレーザーを用いることで、眼(前眼部や網膜)、消化器(食道や胃)、循環器(冠動脈)など、人体のさまざまな組織の診断が可能になっています。
SS-OCTにおいては、波長掃引速度が速いほど撮影時間が短くなります。しかし、現在の主流であるミラーを高速に動かし波長を連続的に変える方法では、機械的な駆動速度に限界があります。さらに高速に動作する波長掃引光源を用いて撮影時間を短縮し、患者の負担を軽減することが、OCT装置メーカー各社の大きな目標となっています。研究レベルでは、光ファイバーを用いた技術や微小電気機械素子(Micro Electro Mechanical Systems: 以下MEMS)と半導体レーザーを用いた技術で、200kHz以上の高速波長掃引光源が実現されていますが、製品化にはコストやサイズの面で課題がありました。
本製品の特徴
今回製品化した光源(図1)は、NTTが通信用に開発した高速KTN光偏向素子*2(図2)ならびに高速波長可変レーザー技術を応用したものであり、製品化されている光源としては世界最速です。本製品を組み込んだOCTシステムでは、診断時間の短縮だけでなく、生体組織の高精細かつ高速の断層像の撮影が可能なことから、リアルタイム3D画像の取得などを通じたR&D分野での臨床研究応用、さらには医療診断技術の画期的進展への貢献など、さまざまな用途への展開も期待されます。なお、波長は、冠動脈検査用のOCTで用いられている1.3μm帯となります。
図1 今回製品化したOCT用波長掃引光源
図2 KTN結晶を用いた高速光偏向素子
技術のポイント
(1)高速・高精細画像撮影を実現(図3)
従来の製品で高速波長掃引を実現しているMEMSミラーは、微小ではありますが可動部分を持ちますので、100kHzを超える高速化には制約があります。本製品に用いた高速KTN光偏向素子(図2)は可動部がなく光偏向は電気光学効果
*3によるため、MEMSミラーに比べ、大幅な高速化が可能です(2006年5月18日、NTT報道発表)。今回は、従来製品の2倍となる200kHzの動作を実現しました。これにより診断時間を半分に減らすことが可能で、瞬時の撮影が可能となります。また、同じ時間では2倍の画像撮影が可能であり、この画像を積算することにより、ノイズの少ない高精細画像を得ることが可能となります。例えば、水平方向解像度4000点の高精細画像も1秒間に50フレーム(50fps)取得できます。このように本光源を導入したOCTシステムでは、高速性を活用することで生体の3次元画像が高分解能で取得できます。
図3 本製品で撮影した指表面のOCT画像
(2) KTN光偏向素子を用いた高性能波長掃引光源の製品化
今回、製品化した波長掃引光源は、リットマン-メトカフ(Littman-Metcalf)型と呼ばれる外部共振器型のレーザー構成を採用しています。このレーザーの中に、高効率の回折格子とKTN光偏向素子を配置しコンパクトな構造として最適化することで、高速動作に加え、広い波長掃引幅、十分なコヒーレンス長を実現しました。(図4)
図4 波長掃引光源の構成
2.NTT-ATと浜松ホトニクスの連携について
今回、NTTが開発した通信用レーザー技術をNTT-ATが医療用レーザー光源として製品化しました。一方、浜松ホトニクスは、光半導体や光検出器の医療分野で長年にわたり海外も含めた市場でシェアを獲得しており、製品の開発、製造に加え、国内外での強力な販売網を有しています。このため、今回、通信デバイス技術の医療分野への適用を目指すNTT-ATと、医療分野での開発・製造・販売に実績のある浜松ホトニクスが連携し、世界規模でのビジネス拡大を目指すことになりました。また、NTTの開発成果に、浜松ホトニクスが持つ高い光半導体技術を加え、NTT-ATとの共同開発による波長掃引光源の高性能化、動作波長領域の拡大を推進します。NTTが開発した成果を活用し、両社の連携のもと、医療分野をはじめとする幅広い分野に展開することで、社会に貢献することを目指しています。
3.今後の展開
本製品は、OCTシステムメーカーへの開発用光源として幅広く販売し、OCTシステムへの採用をめざしてまいります。また、眼底検査OCTで普及が期待される1.05μm帯の光源をはじめとするラインナップ拡充や光源性能の向上に向けた共同開発を、1年を目途に進めていきます。さらに、高品質なOCT画像データ取得を可能とする高速光検出器や2次元掃引ミラーと組み合わせた製品開発も進めます。
用語解説
*1:波長掃引型OCT(Swept Source Optical Coherence Tomography: SS-OCT)
高速診断できる方式としてSD-OCT(Spectral-domain OCT)とSS-OCT(Swept-Source OCT)の2種類が注目されています。SD-OCTは信号検出器が分光器であること、SS-OCTは照射する光が波長掃引されたコヒーレント光である事が特徴です。特に、SS-OCTは波長掃引を高速にする事でより速く画像取得が出来る事から、注目されています。OCTシステムの画像撮影は、光源の波長を掃引することで深さ方向の撮影をし(Aラインスキャン)、レーザー光を横方向にスライドさせること(Bラインスキャン)で、2次元の断層像を撮影します。SS-OCTでは、Aラインは波長を1回スキャンさせることで1回の深さ方向の画像が得られます。したがって、OCT画像の撮影時間は、波長掃引速度で決まります。
*2:KTN光偏向素子(図2)
光の向きを変えるデバイスで、光スキャナとも呼ばれ、電気光学結晶であるKTN結晶を用い、結晶内部に注入された空間電荷と外部電界の重畳により屈折率分布を変化させ、透過光を偏向させます。このため、現状で200kHz以上(従来比2倍)の高速動作が可能です。KTN結晶は数百MHzの電界に応答するため、将来的にはMHz級光偏向素子への応用が期待できます。
*3:電気光学効果
電圧をかけることにより、屈折率が変化する現象。屈折率が電圧に比例するポッケルス効果と、電圧の2乗に比例するカー効果があり、KTN結晶はカー効果を示します。
製品概要等
主な仕様
項目 仕様
波長掃引速度 200 kHz
中心波長 1320±10 nm
波長掃引幅 > 100 nm
平均出力 17 mW
コヒーレンス長 > 7 mm
サイズ 250 mm(W) ×300 mm(D) ×150 mm(H)
販売開始 : 2013年2月1日
販売価格 : 283万円(税込み)
販売エリア : 国内を初め、欧米を中心とする全世界を対象
販売目標 : 3年後には約5億円、市場シェアの30%を獲得
NTTアドバンステクノロジ株式会社
KTN事業部
関連情報
印刷用(PDF形式:421KB)
200kHz OCT用波長掃引光源
KTN光スキャナー
2010年4月26日
「KTN光スキャナー」が「CLEO/Laser Focus World Innovation Award」大賞を受賞
2009年3月26日
光を自在に曲げる光学結晶を用いた従来比100倍高速光スキャナの発売および従来比1000倍高速可変焦点レンズの実現