おばあちゃん一人旅！？

昼食をとり終わったころ…

とある住宅地のお宅へ向かうよう無線連絡が入りました。
早速御迎えに上がると、おばさんとおばあちゃんが既に道端で待っていました。
す～っと車を寄せると、おばあちゃんだけが御乗車になりました。
おばちゃんは、「お母さん、またね～」と、元気に手を振っていました。
おばあちゃんは「おぉ、んでね～（それじゃぁね～）」と、元気に手を振り返していました。
行き先をお伺いすると、仙台駅付近のバス乗り場…しかも乗り場番号指定で…。
でも知っている場所だったので、すぐさま走行開始です。

道すがらおばあちゃんが話しかけてくれました。曰く…（注意：両者とも訛っています）
おばあちゃん：「実はねぇ、娘の所に顔見に来たんだぁ。このまえじいちゃん（旦那ね）
倒れだ時、娘さ看病してもらったがら、ありがとういいがでらでね～
おがげでじいちゃんうんと元気になったがら、出張って来たんだ～（出かけてきたんだ～）」
私：「んだったっすか～。いや～結構大変だったねぇ～」
おばあちゃん：「んだ～。お陰でんといぐなって（とても良くなって）
俺もこうやって出かげれんだ～（出かけられるんだ～）」
私：「おぉ、それは良がったっすね～。ところでばあちゃん、今からどごまで帰んのっしゃ（帰るんですか）？」
おばあちゃん：「あのねぇ、○出山っつーどごで、正宗公が昔住んでだんでがすと。（住んで居たんですよ）」
私：「仙台駅がらはバスさ乗んのすか？」
おばあちゃん：「んだ～。いっつもは（いつもは）新幹線と、りぐぅとぅせん（陸羽東線ね）使っていぐんだども（行くんだけども）、
娘さ聞いだっけ「バスもあるんだよ～」って言ってたがら、試しに乗ってみっぺど思ってさ～」
私：「んなんですか～（そうなんですか～）！せっかぐ出張って来たんだがら、楽しんでってけさいね～（楽しんで行ってくださいね～）」

これ以外にも、焼け野原になった仙台を見たことがあるとか、この辺にはヤミ市があったとか、（察するに９０歳に近い方と思われます）
「この辺はすっかり変わったなや～、こいなぐなっとは思わねがったぉな～（こんな風になるとは思わなかったもんな～）」
何て言いながら、車窓の景色を楽しんでいたようでした。
こういう方の話はとても面白いのですよ。つい聞き役に回ってしまいました。

おばあちゃんご機嫌で目的地のバス乗り場に到着し、丁度の料金を頂き、降車されました。
私：「ばあちゃん、気ぃつけでぃがいよ～（気をつけて行ってくださいよ～）」
おばあちゃん：「どーもどーも、んでねぃ～（それじゃぁね～）！」
元気なおばあちゃんの一人旅の１ページになることが出来たでしょうか？