霧島荘2号店

三十路男 霧島の生活、ネット上での出来事をつらつらと書き綴る

不定期更新ブログ「霧島荘2号店」

星の唄 第九話「タイムリミット」

2006年09月23日 19時22分42秒 | 小説風味
   いつから、考えるのをやめてしまったのだろう。  いつから、それでもいいと思えるようになったのだろう。  夜の公園で雪乃と初めて会った時? 雪乃が転校して来た時? もう一度雪乃と一緒に夜の公園で出会った時? 雪乃のために人を殴った時? 雪乃の【声】が聞けるようになった時? 雪乃と一緒に弁当を食べた時? 雪乃と一緒にクリスマスパーティーのことを話た時? 雪乃と一緒にクリスマスパーティーをした時? . . . 本文を読む

星の唄 第八話「雪の降る下で」

2006年09月23日 19時21分31秒 | 小説風味
   冬の朝は外だけではなく室内も寒いものである。  毛布に包まってその温もりに身を任せて眠っていた聖夜を叩き起こす人物がやって来たのは、早朝の七時だった。どうやってこの家に入って来たのかなんてのはどうでもよく、その人物は聖夜の部屋のドアを破壊しそうな勢いで開けて、聖夜を包んでいた毛布を問答無用で引き剥がし、そのまま床に引き摺り倒した。  一瞬、聖夜は大地震でもきたのではないかと思って慌てて飛び起 . . . 本文を読む

星の唄 第七話「盗聴機の値段」

2006年09月22日 19時32分45秒 | 小説風味
   夢を見た。  不思議な感じのする、変わった夢だった。  どんな夢なのか、そう訊かれるとどう答えていいのかわからないけど、とにかく変わった夢だった。はっきり言ってしまえば、よく憶えていない。  そのよく憶えていない夢の中で、確かに見たと思うのが二つだけある。  それは、雪乃と星空。視界に立っていた雪乃は少し悲しそうに笑っていて、何かを言っていた。もちろん、雪乃は喋れないので勘違いなのかもしれな . . . 本文を読む

星の唄 第六話「友情より愛情」

2006年09月22日 19時22分13秒 | 小説風味
   朝起きて顔を洗って朝食を食べて部屋で制服に着替えていたらメールが来た。  着メロは『to love song』である。この着メロに設定してあるのは一人しかおらず、時計を見れば時間もいつも通りだった。携帯を手に取ってメールボックスを開く、受信メールにカーソルを合わせて決定ボタン。件名はなく内容はたった一言、『今から家を出ます』とだけあった。それを確認してから返信する。件名はそのままの空白で内容 . . . 本文を読む

星の唄 第五話「【声】」

2006年09月22日 19時21分14秒 | 小説風味
   家に帰って部屋のベットの上に死体のように寝転がってため息を吐いた。  冬の風に吹かれ、冷めた心と体を感じると冷静に物事が考えられるようになった。  どうしてあの時殴ったのか、今になって考えてもよくわからない。だけどたった一つ、言えることがある。  ――許せなかった。  本人がいないのをいいことに勝手なことを言うあいつ等が本気で許せなかった。無神経に心の傷を抉るようなあの言葉に腹が立った。そし . . . 本文を読む