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さらば電王 印象その2

2008-10-23 23:05:27 | 特撮雑感:電王
あまりにも長い劇場版さらば電王の印象その2です。
その1をまだ読んでいない方は、まずこちらを読んでからどうぞ。



どうやらゾウの行列が23日にこの町を通るらしい。
良太郎が守れと行ったのはそのゾウでは…と考えるメンバー一同。
そのメンバーからこっそり抜け出したのは幸太郎。
滝のそばで流れてきた枯れ枝を握り、こっそり剣の稽古をはじめます。
それを見守るのは、ほおかむりしたモモタロス。
モモの脳裏によみがえるのは、デンカメンソードを扱えるように特訓に励む良太郎の姿…。
モモは幸太郎に、良太郎よりサマになっているといいますが、幸太郎は浮かない顔。
似てないとは言ったものの、やはり良太郎に似ていると。
「きっと良太郎も、今頃そんなツラしてるぜ」と笑うモモ。
モモの、良太郎への思いと、幸太郎への思いやりがこのシーンにしっかり描かれていてぐっと来ました。

幽霊列車の方では、車両内に一人歌い続けるソラがいるだけなのを確認した良太郎、そっと出て行こうとして「無駄よ」と止められてしまいます。
「死郎はすぐ近くにいる」と告げるソラ。
また歌い出すソラに、良太郎がいぶかしげに尋ねます。
「君…人、だよね?」
この言葉にソラは、可愛らしい姫様時代のことを思い出します。
隣には、若武者姿の死郎、そしてふたりは屈託なく笑顔で…。
「人…だったこともあった」と呟くソラ。
ソラははじめて良太郎に向き直ると、こう尋ねます。
「あなた、死郎を止められる?」
「止めるよ、絶対。僕が無理でも、仲間たちがきっと」
そう答えた良太郎ですが、ソラの表情にこう尋ねます。
「君は、止めて欲しいの?」
ソラはこの問いには答えず、
「死郎は、強い」
そういうと、また物思いにふけりながら歌い始めます。

夜、死郎はどうやら死者たちを集めて檄を飛ばしているようです。
この町にいるものすべてを殺せと命令する死郎、これを聞いたのはテディ!
死者たちに取り囲まれつつも、長屋まで何とかたどり着いたテディは、死郎の狙いがゾウではなく、ゾウを見に集まる人びとを皆殺しにすることであると知らせます。
何とか手伝おうとするテディと幸太郎ですが、ウラからその怪我じゃ無理だと置いて行かれます。
かくして、イマジンたち一行は死郎の野望をくじくべく、夜明けとともに襲ってくる死者たちを迎え撃つことに。

払暁、一斉に放たれた火矢を次々を防ぐモモタロスたち。
そして、襲いかかる死者たち!
「女はおまえに任せた!」とウラにゆずるモモがおかしい。
死んでいる者設定なのは、夏の「俺、誕生!」が生きている者相手で、相手を殺さないよう細心の注意を払った…というのの逆バージョンなんですね。
死者だから容赦しなくて大丈夫ということでしょう。
そして、モモタロスの前にはイマジンと…幽汽があらわれます。
電王に変身も出来ないおまえたちに何が出来る、とあざ笑う幽汽。
邪魔されないように良太郎を痛めつけておいたという言葉に、モモタロスがいきり立ちます。
良太郎を痛めつけると、幽汽として戦うのに支障は出ないのか?とも思いましたが、まあ、スルーで。
さて、ここからは民家壊しまくりの大乱闘、これはもう、劇場でぜひぜひご覧下さい。
言葉では書けません(苦笑)。
幽汽をモモとリュウタで前後から挟み撃ち!という瞬間、なんと幽汽は変身解除!
イマジンが憑いて金髪になってる良太郎に、モモとリュウタは攻撃できません。
それを良いことにリュウタを撃退し、さらにモモに迫る金髪の悪い良太郎!
モモが攻撃してこないことを確認して幽汽に戻るあたり、極悪非道なイマジンらしく憎々しい!
モモは良太郎の目を覚まそうと必死で幽汽に呼びかけますが、変化なし。
勝ち誇った幽汽に痛めつけられ、斬りつけられ、絶体絶命の状態で、良太郎を呼び続けるモモ!
しかし、ついに幽汽の刃がモモを切り裂いたとき、モモの手を掴んで支えたのは…良太郎!
幽汽は消え去り、イマジンが良太郎の体から追い出されます。
そして、待ってましたのM良太郎登場!
もちろんセリフは、俺、参上!!
そう、この大逆転こそが時代劇の醍醐味で、ヒーローものの面白さなんですよ!
「みんな、行くよ」の良太郎の合図で、クライマックスフォーム登場!
久しぶりだけど気持ち悪いというリュウタ、相変わらずクライマックスフォームは4人のイマジンがそれぞれ好き勝手なことを(苦笑)。
「俺たちの必殺技!」にてイマジン…えーとミイラ男みたいなボロ布かぶったイマジンは撃破されます。

もちろんこれで終わりではありません。
イマジンの手から離れたライダーパスを手にしたのは、死郎!
そして、死郎はみずから幽汽に変身し、得意の独楽を大量に繰り出して、なんと大量のイマジンたちを出現させます!
これは…死郎は死者を自由に扱えるということを示しているんでしょうねえ。
死んだ者たちの時間を旅する幽霊列車は、たぶん死者だけでなくイマジンも連れてこれるということではないかと。
良太郎、そしてモモタロスたちのもとに、突如現れたのは…デンライナー&ゼロライナー!
駆けつけたのは侑斗、そして、オーナーから人数分のライダーパスを預かったコハナちゃん!
喜ぶデネブと侑斗のプロレス技はもちろんお約束。
「姫、私にも一つ」とジークがあらわれ、「あんたまだ戦ってなかったの!?」と呆れつつパスを渡すコハナちゃん。
かくして、4タロス+ジーク、これに良太郎と侑斗の総勢7人の変身!
大量のイマジンと幽汽を向こうに回しての、6人の電王とゼロノスとの戦いが火ぶたを切って落とします!

戦闘シーンは、ぜひぜひ実物をご覧下さい。
私にはとても書けません(苦笑)。
それくらい最初から最後までクライマックスです。
各フォーム&ゼロノスの活躍は、ぜひとも映像でご覧下さい、絶対損しません。

さて、ソードフォームとライナーフォームが2人がかりで幽汽と戦いますが、とにかく強い!
乗馬シーンも登場しますが、ライナーフォームが失敗して落馬しちゃうのがらしい!
しかし、ライナーフォームとソードフォームでも、苦戦するところに、新電王…えーとストライクフォームが駆けつけます!
かくして、幽汽は電王3体を相手に互角に戦った末、ついに敗れ去ります。

変身解除して倒れる死郎のもとに、駆けつけたのはソラ。
ソラは死郎を抱きしめ、なおもあきらめない死郎に、自分はもう死んだのだと告げます。
そして、1729年5月23日のチケットを何枚もばらまいたことを無言で示すソラ。
なぜ…と問う死郎に、ソラはもう静かに眠りたい…一緒に…と本心を明かします。
死郎は、ソラの腕の中で息絶え、ソラは死郎を抱いて慟哭します。
そこに現れた幽霊列車は、2人を乗せてどこへともなく消えていってしまいました。
この間、電王たちは完全にフレームの外、完璧に二人の世界でした。

さて、問題の5月23日なのですが…象が暴れて帰ってしまったために、なんとデンライナーが町の真ん中へ登場!??
「みんなゾウだと思ってますよ、良いんですか」と心配するナオミさん。
しかし、ゾウが来ないといけない何かがあるはずなので仕方ないというオーナー。
町の人たちはデンライナーに拍手喝采です。
「あ、お姉ちゃんのそっくりさん!」とリュウタが見つけたのは、井筒屋の2階の部屋からゾウ見物をするお雪さん。
ところが、お雪さんの髪から簪が落ち、お雪さんは慌てて簪を拾うべく外へ…。
足下を探すお雪さんに、簪を挿しだしたのは、深編み笠のお侍さん?
この様子に大騒ぎのリュウタロス、そして、オーナーはなるほどと頷きます。
あの二人が出会い、そこからつながる未来に、良太郎が生まれる。
その二人を良太郎自身の手で消し去ることで、生者の世界と死者の世界をひっくり返すことこそが、死郎の真の目的だったのです。

そして、良太郎のその未来には…幸太郎…。
ようやく本当の意味で出会った良太郎と幸太郎。
なんだか、変な感じだねという良太郎。
ところが、これに幸太郎はじーちゃんとはほとんど会ってないと白状してしまい、4タロスたちからそれなのによくあれだけ悪口が言えたもんだと非難されます。
幸太郎によると、どうやら幸太郎のお父さんが良太郎を褒めちぎったので、反感を持ったことが判明。
そして、恨みというのは幸太郎の名前を良太郎がつけたこと…。
「いい名前だと思いますよ」というナオミさんですが、幸太郎は「俺の時代にこの名前は…」と言いかけて口ごもります。
それをひきとったのはテディ。
「この時代でいう…田吾作だ」
爆笑する面々のなか、良太郎が「ごめん、その名前、つけないようにする」といいますが、かえって幸太郎は清々しい顔で、「いいよ」と、この名前も悪くないといいます。
かくして、良太郎と幸太郎はようやく笑顔を見せ合い、幸太郎はデンライナーを下ります。
「じーちゃん、ただいま」と、初老の老人に告げる幸太郎。
以上、さらば電王でした。

主役はきっぱりモモタロス、そして、良太郎とモモタロスの絆を縦軸に、モモタロスと幸太郎、良太郎と幸太郎との出会いが横軸を形成し、その合間合間にファンを喜ばせるありとあらゆる仕掛けが盛り込まれてました。
テレビシリーズの後を受け、新しい時代への移り変わりを感じさせるファイナルカウントダウン…。
終わらないように見えるラストですが、新しい時代を見せることで、物語はつづいて見えても、実は完結していることもまた感じさせてくれました。
モモに会えるだけで幸せと思ってましたが、やっぱり電王らしい物語が何ともいえず大好きです。

さて、今回の映画で、1回目見たとき「おや」と思い、2回目でかなりしっかりチェックしました。
ソラ、なんとただの一度も瞬きをしていません!
人のようで人でないあの雰囲気は、表情がないように見えて切ない、そして、瞬きをしないことで人間らしさを感じさせなかった入魂の演技のなせる技だったのですね。
歌声も切なくて美しかったです。
ソラの雰囲気がなければ、死郎がああまでする理由がまったく理解できなかったことでしょう。
二人のドラマは最低限におさえられていましたが、それでも、深いドラマ性を感じさせてくれた死郎とソラは素晴らしかったです。

クライマックス刑事は、完全に番外編でお祭り作品でしたが、さらば電王はテレビシリーズを基本的に踏襲し、なおかつ最後の打ち上げ花火だ!といわんばかりの見せ場てんこ盛り作品です。
主役をイマジンたちに据えて描いているので、侑斗はもちろん、主役ということになってるようですが幸太郎も完全に脇役です。
良太郎が一番ストーリーの根幹にかかわっていますが、主役と呼べる働きをしたのはモモタロスでした。
事件の始まりを目撃し、ストーリーの案内役として観客の目になり、良太郎の目を覚まさせ、良太郎と幸太郎をつなぐ役割を果たした…モモタロスは見事に主役の仕事をしてくれています。
そういう意味では、幸太郎とテディはやや割を食ったかも知れませんね。

新電王の指を鳴らすとテディが剣になって飛んでくる!というのは新鮮でした。
デネビックバスターはさすがに飛んできませんし、自分の意志で動く姿はありませんでした。
テディの出番が少なめだったのは残念ですが、もともと出しゃばるキャラじゃないんでしょうねえ。
自分勝手で出たがりのイマジンが多い中、テディのキャラは新鮮でした。
しかし…テディは未来の世界でふつうに幸太郎のそばで生活してるみたいですね(苦笑)。
テディはどこから来たのかが気になりますが、ま、知らぬが花ということで。

楽しませていただきました、さらば電王!
普通に始まるデンライナー劇場に、思わず涙してしまう私はただの電王ファンです。
モモが動いてしゃべってるだけで嬉しいですねえ。
続編が作られても、まあ、電王だから(苦笑)。
作られなかったら、あれがファイナルだったしね、というところでしょうか。
電王を三たび映画にして世に送り出してくれたスタッフ&キャストさんに感謝です。
できればもう1回観たいと思う私をバカと呼んでください。
って、どんだけ長い記事書いてるんだ私。
お付き合いくださった方が果たしていらっしゃるかどうかが心配ですが(苦笑)。
ではでは。

風水


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2 コメント

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レビューの膨大さに泣けたで! (たいちょお)
2008-10-24 13:38:47
うはーおつかれさまでした! オレのために!(違)

未見でネタバレされても「うわ見たいかも」と思わせるすばらしいはっちゃけっぷりですねー。
現場がめちゃめちゃ楽しんで作ってるぜ!ってオーラが感じられます。

個人的には松村雄基を敵役だと知ったとき、電王スタッフの本気を思い知りました(笑)。

江戸時代にやってきた「外国の人」たち(笑)。
桃太郎の鬼のモデルは漂着した西洋人だとも言われていますので、けっこうアリかも。新説ですよ!

戦闘シーンはまさかの7ライダー揃い踏みということですが、えーとこれはつまり「モモタロス」が「電王ソードフォーム」にという具合でタロス自身が変身してるってことですよね?
すげーやっぱこの映画の主役はモモさんなんだな。

そういえば「電王になれるのは特異点だけ」みたいな設定があったような気がしましたが、田吾…幸太郎もやっぱり特異点なんでしょうかね。
そうすると特異点ってある程度血筋によるものなのかな~と思ったり。
ああでもそれだと悪とはいえ消えてしまったカイがカワイソウすぎるなぁ……(笑)。
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もちろんたいちょおさんのためです! (風水)
2008-10-24 19:04:27
たいちょおさま

コメントありがとうございます!
読んでいただけたんですね、申し訳ありません長くて(苦笑)。
ええ、もちろんたいちょおさんからのリクエストにお応えしたくて書いたネタバレレビューですとも!
読んでいただけなかったら切ないけど…読むの大変だなあ…と思いながらアップしました(苦笑)。

電王は何よりも現場・作り手が楽しんで作ってるなーと思います。
全編これノリノリ!
誰もにスポットが当たって、誰のファンでも楽しめるようにという配慮がよくわかります。
しかも小ネタがあっちこっちに仕込まれてまして、これがまた楽しいんですよ。
ぜひぜひたいちょおさんに突っ込んで欲しい!というのがてんこ盛りなので、ぜひぜひご覧いただきたいと思います。

戦闘シーンの最大の見せ場は、電王全フォーム御目見得!でしょう。
最初にクライマックスフォームを出したのは、その後クライマックスフォーム以外を文字通りすべて並べるためだったのか!と思いました。
ゼロノスを含めてワンフレームに7人が並ぶ姿は壮観です!
ファイナルと銘打っている最大のポイントはココでしょうねえ。

敵役が松村雄基というキャスティングは、確かに聞いてびっくりでしたが、見て納得でした。
わずかな出番でも圧倒的な存在感と執念と純情を見せてくれました。

なるほど、鬼=異国の人というのはアリですね。
イマジンを「外国の人」とするセンスには映画館で爆笑しました。
いろんな意味で良いポイント突いてる説ですねえ。

映画の中では、幸太郎が特異点かどうかについてはまったく言及がありませんでした。
そうなのかな?と思うけど、特異点であるという表現はありませんでした。
たしかに電王では「特異点が電王になれる」でしたが、テレビ版でキンちゃんが変身したあたりから「特異点以外は変身できない」感じは消えましたねえ。
特異点の誕生が血筋というのはあり得る気がします。
そうなると、カイはハナちゃんが生まれなかった未来の特異点…もしかすると良太郎の子孫という可能性も…。
カイは正体不明のまま消えてしまいましたからねえ、結局何者だったんでしょうねえ。
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