All's Right with the World!

~なべて世はこともなし~
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雑感など

2009-05-23 12:42:51 | 日々雑想
新型インフルエンザの国内最初の感染者が兵庫県で確認されて1週間になります。
兵庫県はその間文字通り渦中でした。
一応、昨日で一区切りをつけて、新体制へと切り替えが行われました。
この1週間に起こったことを考えると、何ともいえないものがあります。
そのあたりをつらつらと…。
雑文ですので、興味のない方はスルーしてくださいませ。


職業柄…人と接することがきわめて多い仕事ですので…感染確認の報が入ってからは、文字通りドタバタでした。
土曜日に急遽仕事が入ったこともあり、最初の報を聞いたのは出先でした。
「大変なことが起こる…」ということまでは予想はできました。
それまでにも、職場では予想されるさまざまなことに基づく会議がもたれ、対策が話し合われていました。
成田で感染者が見つかったときから、それなりに誰もが考えていたと思います。
けれど、いざ起こってみると、予想外のことがかなりありましたねえ。

一つめは、感染者がほとんど高校生だったこと。
もともと若年層の感染者が圧倒的に多いこと、特に十代から四十代の感染者数が多く、アメリカなどでは高校生を中心に十代の感染者が圧倒的多数であるという報道は聞いてはいました。
が、フタを開けてみると感染者はほとんどすべてが高校生でした。
学校と地方自治体が対応に右往左往しているときに、国から「臨時休校要請」という異例の事態…。
こんなの前代未聞じゃないでしょうか。
報道が逐一感染者の学校名を伝えるというのも異様でした。
この世の終わりが来たかのような報道の過熱ぶり…。
感染された方々と、その関係者の皆さん、周辺の方々には、さぞやお辛かっただろうと思います。
学校は多感な十代の生徒がもっとも多くの時間を過ごす場所なのに…。
そして、実際に感染された方々の心痛は想像を絶するものだったはずですよ…。
報道の仕方にはもっと冷静さがあるべきだったんじゃないかと思います。


実はこの騒動のまっただ中…昨年、定年ご退職を前に急逝されたM氏の命日がめぐってきました。
お休みをいただいて、M氏の奥様をお訪ねいたしました。
奥様は、一年早く退職されて、M氏とご一緒に行く予定だったヨーロッパへのご旅行を終えて帰国されたばかりでした。
初めてのヨーロッパ旅行の土産話に思わず花が咲きました。
M氏の腕時計を携えて、気持ちは二人での旅行だったとのこと。
といいつつ、楽しい思い出はお仏壇に「ごめんね~」と声をかけてから教えてくださいました。
時折、「一緒に行きたかったなあ」と涙ぐまれ、失敗談にぺろりと舌を出されました。
ビデオの録画スイッチが分からず、帰ってきて確認すると、切ったつもりでスイッチが入っていたり…ということの方が多くて、見られる映像はほとんどなかったそうです(苦笑)。
旅行が大好きで、写真もビデオもお手の物だったM氏なら、こんな失敗はないのにねと。
帰りには、門の外まで見送っていただいて恐縮いたしました。

さて、一通りの土産話をお伺いしたところで、奥様がこうおっしゃいました。
「帰ってきたら大変な騒ぎでビックリ! むこうでは何もいってなかったのに…」
ヨーロッパでも感染者はでているはずですが、日本のようなピリピリした空気は全くなかったそうです。
なので、日本の異様なまでの新型インフルエンザ騒動に「あら、大変」と思われたそうです。
実は…この新型インフルエンザの騒動がなければ、週末におたずねする予定でした。
が、週末はまだご旅行中だったそうです。
最終的に命日におたずねしたのは正解でしたから、ケガの功名ということでしょうか。
とはいえ、たしかにちょっと…騒ぎ過ぎなのかも…と思ったのも正直なところでした。
これが、19日のことでした。


昨夜、久しぶりに母と電話で話しました。
予定では先週末に実家に一度顔を出すはずだったのですが、この騒動で完全失念(苦笑)。
それどころではなかったことを改めて思いだした次第です。

私が住んでいるところも実家も、感染者ゼロ地帯ではありましたが、兵庫県が県下一斉の臨時休校措置を取ったこともあり、文字通り兵庫県全県が感染地帯であるかのような事態に…。
戒厳令がしかれたかのようでしたねえ…冗談抜きに…。
かくして、この一週間兵庫県の経済活動の沈滞ぶりは…目をおおうばかりです。
これには兵庫だけでなく近隣府県すべてが大打撃を被りました。

さて、うちの両親は田舎で酪農業を営んでおります。
兵庫県で最初の感染者が確認されて以来、両親は一歩も外出しておりません。
生乳生産…食の安全に携わる仕事をしている両親は、牛乳の安全な生産確保を第一に、感染の危険性のある場所への外出を一切自粛しておりました。
昨夜私に連絡をくれたときにも、私と周囲の感染がないかをまず確認されました。
「万に一つでも、生産農家に感染があればどんな風評被害があるか分からない…」
という母のため息に、何ともいえないものがありました。
風評被害…こればかりはどこから出るか分かりませんからねえ…。
「酪農家には大打撃よ、この休校…」
県下一斉の臨時休校は、給食の供給停止…もちろん給食と一緒に出される牛乳の出荷も…。
あらためて経済的な打撃の多方面への波及を感じました。
これをどうやって回復すれば…。
そして、両親の取った対応策に、日本人気質というか…日本の新型インフルエンザ対策の問題点も透けて見える気がしました。


新型インフルエンザ対策は…結局のところ季節性インフルエンザへの対応で十分ということに落ち着いたようです。
感染力は強いけれど、弱毒性で強毒性への変異の可能性も低いというのは、不幸中の幸いでした。
抗インフルエンザ薬も有効でしたしね。
もっとも恐れられた強毒性の鳥インフルエンザと違っていたのはよかったけれど、今回の騒動はずいぶん重い課題を投げかけたなあ…と思いました。
想定外の事態への対応が、後手後手に回ったことは、むしろ傷を深くしてしまったんじゃないかという気がします。
これを今後にどう生かすか、でしょうねえ。

日本人の特性の一つに、熱しやすく冷めやすい…ということがいわれます。
今回は…日本人の「熱しやすい」気質に「真面目な対応」が加わって、さらに騒動が大きくなったんじゃないかと感じました。
連日の報道の過熱ぶりは、「熱しやすい」の最悪の一面だったと思いますよ…。
本当に必要な報道だったんでしょうか…?
もちろん用心に越したことはないけれど、そこまでする必要があったのかどうか…。
安全策を採ることは絶対だけれど、何事にも「絶対」はないこともまた事実。
万全の対策を取っていても、それだけで大丈夫ということはありません。
けれど、危険を避けることだけを考える対策は、万全でもなければ最善でもない気がしました。
これは一週間たってみて思うことなので、もちろん一週間前にはこんなこと考えもしませんでしたが。

まとまりが全くありませんが、一週間目にして思うことということで。
もうちょっと何とかできなかったかなあ…が、次に生かせるようにしたいものですねえ。

風水

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (koma)
2009-05-23 23:28:38
私もこの1週間、何か変な感じでした。

ダンナが東京の職場にマスクをしていくようになり、家族が感染した場合の注意事項を壁に貼って...
でも、報道を見ていくと「これってただのインフルエンザ?」って感じですし。

今日ライブで東京に行くので、ダンナに「マスクするの?」って聞かれてブチ切れました。
「マスクは、感染者が周囲に感染しないようにするのには有効だけど、予防にはあまり役に立たない」って聞いたよって。
そして、実際ライブ会場でもマスクをしていたのは、少数の男性がほとんど。
これって会社に言われているんでしょうねえ....

私もまとまりがなくてすみません。
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まとまらないですよねえ (風水)
2009-05-24 00:22:55
komaさま

コメントありがとうございます。
何というか、違うんじゃないか?と思うことが多々ありつつも、ドタバタと1週間を過ぎて…改めて首をひねることが色々ですよねえ。
報道が感染者の数ばかりをいうから、ますます感染が広がっている…という気になりますが、多くの方がすでに回復していることはあまり伝わってこないのも何だかなあ…ですし。
季節性のインフルエンザでも毎年重症患者が出るけれど、新型インフルエンザでは今のところ重症患者は、幸いなことになし。
結果論ではあるけれど、日本の対策は過剰すぎたのではないかと思いましたねえ…。

マスクについてもそうですよねえ。
ドラッグストアでのマスク争奪戦…が連日報道させるのには、オイルショックの時のトイレットペーパー騒動と重なって複雑な心境になりました。
上手く言えないけど何かが違う…というか…。
それでも…プロ野球やJリーグの試合が、観客にマスク着用をお願いして行われたのは快挙だ…と思ったのも本当です。
中止された催しのほうがはるかに多かったですからねえ…。
なんというか、まとまらないけど割り切れないですよねえ。
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大変ですよね。 (けろりん)
2009-05-24 04:00:45
風水さん、こんばんは。

本当…風水さんの書かれている事を読んで、頷きっぱなしですね。

この大騒ぎは、はっきりしない政府と、マスコミが作り出したもので…なんなんだよ、という感じです。

特に気の毒なのが、感染者と報道された高校生たちですかね。まるで何かの事件の加害者みたいに扱われ…病院に搬送される映像はまさにそれでした(笑)。
学校名などは、接触した人に注意を促す意味もあり仕方なかったのかもしれませんが、それによって必要もないのに休講や休校を決断しなければならなかったのは、ひどかったですね。

結局東京でも感染者は出ましたし、マスクなんてどこでも売り切れ、ネットで高値で取引されていたり…あほらしいです~。
その割にマスクをしている人なんて、ほとんどいないんですよ!変です(笑)。

今回の事で目に見える被害はもちろん、目に見えない被害を被った方が気の毒ですね。
この状況を踏まえて、もう一度こういった場合のマスコミなどの報道の仕方とか考えて欲しいですよねえ。
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まあ、初めてづくしでしたからねえ… (風水)
2009-05-24 16:36:19
けろりんさま

コメントありがとうございます。
まあ、新型インフルエンザ対策なんてそもそも初めてづくしではあったんですけどねえ…。
1週間前は、もう対応に大わらわでゆっくり考えるゆとりもへったくれもなかったのですが、こううして振り返ってみると疑問だらけ…というのが実感です。

感染と報道された高校生たちの扱いのひどさは、あまりにもあまりでした。
彼らはむしろ被害者なのに、まるで罪人扱い…!
あの報道は絶対に許してはいけないと思いました。
彼らがどんな気持ちだったかと思うと、やり場のない憤りがわき上がってきます。
国も自治体も猫の目のように対応が変わるのに、毎日振り回されましたが、今回は何といってもあの報道がやりきれませんでした。
今回のことで傷ついた彼らに、誰が何を償えるのかと思います。
本当に報道するべきことは、そんなことではなかったはずなのに。

マスクについては、日本人の良いところと悪いところが如実に出たと思いました。
マスクが予防策になると聞くとすぐに実行するのは良いところではありますが、一気にマスク熱が加熱して…たぶんマスクの生産が追いつく頃には新型インフルエンザの流行はおさまって、メーカーに大量の在庫が…ということになるのが目に浮かぶようです。
なんというか…イロイロ考えさせられましたねえ。
そして、痛い教訓だったと思いました。

まだまだ感染者は出ていますので、もちろん用心に越したことはありませんが、何事も過ぎたるは及ばざるがごとしですよ…。
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本当ですね。 (あんじー)
2009-05-27 02:09:59
風水さん、今頃すみません。

いや、本当にこの新型インフルエンザ騒動は色々と考えさせられます。
確かに未知の病気ということで、注意は必要かと思うのですが、既知のインフルエンザも感染しますし重症化もする。
神経の使い方のバランスというものを考えてしまいます。
そして、マスコミの報道ぶりにはいつもながらうんざりさせられます。
どこも同じ内容なのも気になりますし、これだけ大量に時間を割かれては他の大切な報道が流されずに終わってしまう・・と考えてしまうのですが。
情報は必要。でも 過剰に目にし耳にすることで視聴者が煽られてしまうのも当然の事のように思えます。
マスコミはその責任を重く受け止めてほしいものです。
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いえいえ、こちらこそレスが遅れました (風水)
2009-05-28 23:27:08
あんじーさま

こちらにもコメントありがとうございます!
こちらこそすっかりレスが遅れまして、申し訳ありませんでした。

新型インフルエンザ…イロイロ思うところの多い騒動でした。
たまたま渦中にいたというのもありまして(苦笑)。
かえって大騒動の渦中にいると、コトの全容が見えない分だけ振り回されてしまって、いろんな意味でつかれましたねえ…。
改めて思いますが、報道の加熱は…弊害の方がはるかに大きいと感じました。
必要な情報を必要なだけ速やかに正確に伝える…。
簡単なようでこれが如何に難しいかを感じます。
そして、マスコミがそんな報道をするのも、結局その方が視聴率が稼げるからなのかと思うと…何とも言えない気分でした。
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