日本戦略研究所

日本再興の砦

公務員による犯罪=天下り

2007-04-16 10:36:36 | Weblog
安倍内閣の天下り防止のための人材バンク一元化構想が実現に向けて動き出した。安倍晋三首相が渡辺担当相の案に明快な支持を打ち出したためである。

役人に篭絡された政治家たちが、新たな抵抗勢力として登場し、そうした抵抗を日本国首相が退けるという明快な構図に対し国民が支持を与える。

これは小泉改革の典型的パターンであり、勧善懲悪の水戸黄門的世界。
小泉前首相が驚異的支持率を最後まで維持した秘密はここにある。
低迷している安倍政権の支持率の浮揚には、こうした抵抗勢力との対決姿勢がなによりも大切なのである。

さて、その人材バンク構想。
・国家公務員の再就職斡旋を官民人材交流センター(仮称)に一元化する。
・官民人材交流センターは2008年中に内閣府に新設し、3年以内に斡旋業務を一元化する。
・センターに出向した職員は出身省庁役人の再就職を支援できない。
・規制対象には非営利法人も含む。
・役人の求職活動や役人OBによる不正な働き掛けには刑罰を科す。
まずまずの内容である。

つい先日、川崎市の農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の官製談合が発覚した。

発注側の「緑資源機構」の理事ポストは林野庁長官の天下り指定席で、そのほか計11人が天下っている。
一方、受注側の企業群には、なんと288人以上が林野庁から天下っていた。

「緑資源機構」は国から請け負った仕事の大半を、天下り役人を受け入れてくれた企業に、高額で発注し、利益を上げさせることで、国民の血税が天下り族の高給と多額の退職金を維持するために使われていたのである。
天下りはそれを受け入れて受注を獲得すれば贈収賄、それを拒むと受注できないと役人が匂わせれば恐喝に該当する犯罪である。

天下った役人はビジネスの世界ではまったく無能なため、することがない。
で、天下りの拡大再生産や、談合の取りまとめなど悪事に勤しむことになる。

そんな天下り役人一人に対し、お車、秘書付で年間6千万円の経費を負担しなければならない企業は泣ける。結果、談合で高額受注して元を取ってやろうと考える。

こうした悪循環で泣きを見るのは国民である。

今回の人材バンク構想は天下り全面禁止に向けた第一歩にすぎない。
「天下りを規制すると優秀な若者が官僚にならない」という反対派議員の珍論は笑わせる。
若いうちから天下りを志し、納税者=国民から搾取してやろうという野望を持つ若者を優秀とはいわない。そうした若者はむしろ犯罪者の資質を持つ人間で、国民の奉仕者である官僚になる資格はないのである。
役人は定年まで役所で飼い殺しにする制度設計をするのが改革のゴールであろう。