the Laughing Gnome

スポーツ・音楽・美術に関する話題。
庭園めぐりのような老人趣味についても。

カバー悲喜こもごも

2006-07-04 | 音楽の泉
HMVで輸入盤3枚買うと20%オフというのをやっていたから、
ノルウェーのジャズバンド・アトミックのアルバム一枚、新作ではデヴィッド・ボウイが参加しているTV on the Radioのアルバム、そしてボウイの曲のカバー集Oh!You Pretty Things: Songs Of David Bowie を買った。
'Oh!You Pretty Things'は1960年代から1974年までのボウイが提供した曲を中心に構成した、マニア向けのアルバム。

 01.Over The Wall We Go-Oscar(1967年1月)
 02.The Laughing Gnome-Ronny Hilton(1967年7月)
 03.Silver Tree Top School For Boys-The Beatstalkers(1967年12月)
 04.Silly Boy Blue-Billy Fury(1968年3月)
 05.Everything Is You-The Beatstalkers(1968年6月)
 06.When I'm Five-The Beatstalkes(1969年1月)
 07.Oh You Pretty Things-Peter Noone(1971年4月)
 08.Andy Warhol(alt Mix)-Dana Gillespie(previously unreleased)
   (1971年8月)
 09.All The Young Dudes-Mott The Hoople(1972年7月)
 10.Wagon Wheel-Lou Reed(1972年12月)
 11.The Prettiest Star-Simon Turner(1973年6月)
 12.I Am A Laser-Ava Cherry(1973年)
 13.People From Bad Homes-Ava Cherry(1973年)
 14.I Am Divine-The Astronettes(1973年)
 15.Things To Do-The Astronettes(1973年)
 16.The Man Who Sold The World(alt mix)-Lulu(previously une released)
   (1974年1月)
 17.Watch That Man-Lulu(1974年1月)
 18.Growing Up And I'm Fine-Mick Ronson(1974年3月)
 19.Music Is Lethal-Mick Ronson(1974年3月)
 20.Hey Ma Get Papa-Mick Ronson(1974年3月)
 21.Backed A Loser-Dana Gillespie (1974年3月)
 22.Rock'n Roll With Me-Donovan(1974年9月)
 Bonus track:
 The Man Who Sold The World-John Cougar Mellencamp(1977年)


提供曲で最もメジャーなのはやはり’All The Young Dudes’ - Mott The Hoople 。次がルー・リードかな?こういった有名になったものは少なく殆どがレアものやその後のボウイ本人の録音のほうが圧倒的に有名なもののほうが多い。'I Am A Laser' -Ava Cherryなんかは7年後にタイトルと歌詞を替えて'Scream Like A Baby'という題で発表されているし。

またカバーもなかなか悲喜こもごもの背景が見え隠れする。
Andy Warhol(alt Mix)-Dana Gillespieのダナ・ギレスピーはボウイがまだ「デイヴィー・ジョーンズ」だった10代の頃に知り合い、恋人同士となった女性で、なんと父はオーストリア貴族の家系、母も有名な英国貴族の娘で、「名門大学あるいはダイアナ・スペンサーのようにスイスかどっかの花嫁学校に進学するのが責務のような名門校」の生徒だった彼女、「自分と違う階級の人と友達になった初めての例」がデイヴィー・ジョーンズ君だったという。彼女はなんと4年連続で英国の「水上スキーのチャンピオン」にもなったとか。ジョーンズ君と別れた後はフォーク歌手となり、ボブ・ディランと付き合ったり、ジミー・ペイジのプロデュースでレコードを出したり、映画に出たりして、元彼のジョーンズ君、既にデヴィッド・ボウイとなっていた人物と再会し、彼のバックボーカルを「ジギー・スターダスト」で務めたり、で、彼の助力の元、アルバムをレコーディングした。そのいくつかがこの'Oh!You Pretty Things'に収められているけれど、なかなかこの人の歌はいいなあ、と思います。その後、B級映画に出たりしていた彼女は現在はブルース歌手として地道に活動しているようです。ちょっと他の作品も聴いてみたいです。

ダナ・ギレスピー・オフィシャルサイト(英語)

「彼女」がらみだとやはり一時期愛人だったアヴァ・チェリーのも収められています。しかし自分に提供された曲が7年後に題も歌詞も変わってリリースされたときにはどう思ったのでしょうね。

カバーだと有名なのはルルの'The Man Who Sold The World'他、でこれは彼女のキャリアにおいてもどうやら重要なもののようです。この1974年には「007黄金銃を持つ男」の主題歌を歌い、「大人の歌手」に脱皮中であったのでしょうか。なんとなく典型的な60年代のポップ歌手、というような歌い方が印象的です。
同じ'The Man Who Sold The World'のジョン・クーガー・メレンキャンプ版もありますが、彼はボウイが切ったマネージャーの「ボウイ後のスター」として発掘された人物で、ボウイとは似ても似つかないのですが、「アメリカのボウイ」として売り出されるはずだったようです。そのマネージャーに勝手に名前も変えられ(ジョン・メレンキャンプ→ジョン・クーガー)、えらい目にあった彼、そのせいかあまりやる気の見られないボーカルです。というか彼にはあまりにも世界観が違いすぎて難しかった?

ルル同様に60年代の人気者によるものとしては60年代のアイドル・グループ、ハーマンズ・ハーミッツのピーター・ヌーンによる'Oh!You Pretty Things'、これはボウイが提供したもので、のちに本人がセルフカバーしています。ヌーン君の歌い方はさわやかでいいですね。本人のセルフカバーはかなり小悪魔的というかイジワルな感じがするのですが、ヌーン君のはピュアです(笑)。これは中ヒットと成り、良かったのですが、気の毒なのはドノヴァン。キャリアが下降していた60年代後半のスーパースターはカムバックのためにボウイの曲をカバーしたのですが、レコード会社はボウイ本人のライブ版をリリースしたため、目論見どおりにはならず…。第一線で活躍し続けるのがいかに難しいことかというのが本当に感じられる話ですね。ところでgoo-音楽のドノヴァンのプロフィールもあんまりといえばあんまりな紹介のされ方だし…。
若者たちにとってはナンシー・ボーイのメンバーの父として、20~30代の映画好きにとっては女優アイオン・スカイの父として知られているドノヴァン、いつの話ですか?!10年ぐらい前の話ですよ…。話題ばかりで一発ヒットもあったかどうかという感じの息子(しかしスーパーモデルと結婚)、本業より私生活の話が有名な娘(マドンナの愛人のジェニー・シミズやレッチリのボーカルらと恋愛関連で有名らしい)。これを見ると同情をする気がちょっと失せるのですが(笑)。

ところでカバーというとカサビアンが英国のサッカー・ワールドカップ中継のために'Heroes’をカバーしたようで、彼らのホームページでダウンロードできるのですが、どうもノートンが悪さをするのか?うまくいきません。カサビアン、好きなので聴いてみたいのだけれど。ボウイは絶賛しているようですが、ボウイのホームページの掲示板では酷評されていました。どんなもんなんでしょうね…。ところでこの'Heroes'は他にもブロンディ、オアシス、ウォールフラワーズ(ボブ・ディランの息子のバンド)、トラヴィス等がカバーしていますが、カサビアンのワールドカップのためのカバーといい、皆キャリアの絶頂期と言える時期にカバーしているような気がするんですよね。映画「ムーラン・ルージュ」のユアン・マクレガー、ニコール・キッドマン含め…。なんだかあのサビの盛り上がりの高揚感がまた調子の良い人にはいいのかも。'Heroes'を作った頃のボウイ本人は悪い薬・交友関係からのデトックス時代だから、必ずしも心身の調子は良くはなかったかもしれませんが(笑)。それが本人のとカバーとの印象の違いを生むのかも、なんてね:P。

日本でボウイ・カバーといえば最近のボーダフォンCMとか、日本のロックバンド「ボウイ」のギタリストだった布袋氏によるものや吉川晃司、珍品ではずうとるび、近藤真彦…。ま(笑)、カバーにも歴史あり。なかなか楽しいですね。





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2 コメント

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カヴァーの裏側 (LittleWonder)
2006-07-06 01:59:49
カヴァーに纏わる逸話の数々・・・

ボウイと浮名を流した女性の存在にも歴史を感じますねぇ。

メレンキャンプなんてそういえばマネージャーにいいようにされて消えた坂本一生なんて人を思い出させますね。(笑)

ルルのちょっとこぶしの利いた歌いまわしにはゾクッとするものがあって結構ハマってます
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LittleWonderさま (kawahara)
2006-07-06 12:45:33
>坂本一生



いましたね(笑)。新加勢大周!

この時期のマネージャーはどこもあくどくて、エアロスミスのマネージャーも悪い奴だったそうですし(だから彼らは70年代の曲を極力やりたくないらしい…)、バッドフィンガーという人達の一人はマネージャーのせいで首吊り自殺に追い込まれています。



>ルル



なんかいかにも!て感じですよね。トム・ジョーンズあたりともつながるような…。これと「007主題歌集」をあわせて聴くと誇大妄想に取り憑かれるかも(笑)。
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