斑雪嶺に田の神います出羽の国 …駄句である(_ _;)…パタリ
山の中央に腰を曲げた種まきじっちゃ、左のほうには観音菩薩の横顔も…
コロナ禍の中、自粛を求められているパチンコ屋が何かと注目の的になっている。
店側にしてみれば、釘を閉めるのは簡単な話だが店を閉めるにはちと難儀らしい。
パチンコ屋はその気になれば釘をちょっと閉めれば一日数百万もの儲けを出せる商売なので、自粛明けにいくらでも元は取れそうな気がするが、依存症のお客をパチンコから遠ざけては元も子もなくなる。その辺のさじ加減はパチンコ業界に請われている心理学者に尋ねてみないと何とも言えない…
かく言う私は、暇で暇で何もすることが無いからといって、パチンコ屋に出かけてみようかという発想は今でこそ持ち合わせていないが、35年以上も昔に遡ると、時々パチンコに出かけて女房子供を泣かせていたものである(*^―^*)ゞポリポリ
平日の仕事が早く終わった帰りに行くこともあった。晩飯前の小一時間ほどで大負けし、パチンコ屋の自動ドアを出た瞬間、不覚にも己の不甲斐なさにぽろっと大粒の涙を零したこは一度や二度の話ではない。
当時は、早く家に帰ったところで、その頃にはすでにモンスター化した女房に虐められるので、息抜きのためには仕方がなかった。女に走らなかっただけでも良しとしたい。
とはいっても、こんな荒んだ生活からは、一日でも早く足を洗わなければと思い、パチンコライフから抜け出す機会をうかがう日々が続いていた。
その日も仕事が早く終わり、パチンコ屋の前を通ると、なぜか吸い込まれるように駐車場に車を止めていた。
勝負の早い機種のパチンコ台に向かい、千円分の玉を買って、いざ勝負。
開始から1分もしないうちに中央のルーレット状の回転皿に球が吸い込まれていった。ここで真ん中の穴に入れば両翼が全開し大当たりということになるのだが、なんという幸運だろうか。打ち出した球は大開きになった翼に殆んど拾われて入賞穴に入っていく。1回の大当たりで玉はドル箱一ぱいになった(*^^*)ポッ
ドル箱とは玉が2000個くらい入るプラスチックの箱で、金に換算すると一箱5千円くらいになる。千円使って5千円だと4千円の儲けになるので、今日はこの辺で勝ち逃げしようと思った刹那、またも大当たり。ドル箱が2つに増え、5分もしないうちに9千円の儲けである。そろそろやめて子供におもちゃでも買って帰るか・・・
ところがそうは問屋が卸してくれない。
続けざまに大当たりが来て、止めるにやめられない。5回目、6回目、7回目と大当たりは続き、どうやら確率変動の連チャンモードに突入したようだ。俗にいうフィーバーである。あっという間にドル箱が5段づつ2列に10段積まれた頃には、三々五々常連客のギャラリーが私の後ろにやって来ては、羨望のまなざしで眺めている。中でも牢名主みたいな御仁は、『どちらのお兄さんか知らないが、オレの持っている15連チャンの記録を破れるかな?」などと挑発的だ。
箱が10段積まれたあたりから、台から吐き出される玉をドル箱に移すという修行僧のような単純作業に私の身体と精神に変化が起こり始める。
覚醒というのか幻覚というのか、耳はダンボのように研ぎ澄まされ、周りの常連客達が虫けらに見えてきた。そして、「早くあの野郎のフィーバーが終わるように」と虫けらたちが御呪いをしている声まで聞こえてくるようになる。どうやら私はヘンテコリンな人間に変わってしまったようだ。
『ふん、貧乏人どもめ!、おれの箱からこぼれた玉を狙っているのだろうが、お前らには1個たりとも取られて堪るか!』。正に強欲とはこんな人間を云うのだろう。
箱が15段になったあたりからトイレに行きたくなってきたが、もし、台を留守にした間に貧乏人のハイエナどもに玉を一掴みづつ盗まれても困る。大金持ちになるための修行と思ってトイレは我慢することにしたが、大当たりして失禁した小心者がいたと、明日から町の噂にされても困るなと思うと、妙な脂汗まで出てくるではないか。
私の後ろに箱が5段づつ4列に並んだ頃になると、どうやら牢名主は尻尾を巻いて逃げ去ったようだ。私はとうとう悟りの境地に達し、妙な余裕が出てきて、このままだとパチンコ屋がつぶれないだろうかなどと店の経営に気遣いさえ見せていたが、
『お客さん、定量になりましたので打ち止めになります』と店員が唐突にやってきた。
店員の話では、これ以上玉を出すと他の客の射幸心を煽るとかで、警察に咎められるというではないか。店長に土下座でもしてもらわないと私の気が治まらないというものだが、店を潰すわけにもいかないので仕方あるまい…
けっきょく、店員が持ってきた台車にドル箱を20箱積んで景品交換所に向かい、玉4万個分の景品に取り換える。その店では現金化できる景品は両手に余るほどのライターの石であった。それをパチンコ屋の敷地内にある小屋に持っていくと現金に換えてくれる。結果は締めて10万円強。
パチンコを打っているときはドル箱の重量感に大富豪になった気分でいたが、金にしてみると大したことが無かったかも。
金は何に使おうかと少し考えたが、元手として手元に残すと、またパチンコに出かけて行って身ぐるみ剥がされるに決まっている。20連チャンという荒行を積み悟りを開いた私はパチンコから足を洗うためにも全部使い切るという結論に達した。
日曜日、家族を連れて『札幌かに本家』でカニをたらふく食べた帰り、靴やら何やら買い全部使った。そして、それ以来パチンコはやったことが無いヾ( ̄o ̄😉オイオイ