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第5話(1)

 喜望峰(1)

 針路を北に向けてから3日目、見張りが叫ぶ。
「山だ、山が見えたぞ!」

 皆、船首に集まった。
確かに、波間にポツリと山の頂が見える。
甲板員達はラッパを吹き鳴らし、喜ぶ。

 大きな湾(南ア・モッセルバーイ)に投錨した。
2ヶ月ぶりの陸地だ。

 乗務員が水を求めて上陸したが、すぐ引き返してきた。
原住民は警戒し、こちらの贈り物を拒否、石を投げてきた、と言う。

 そこから東へ海岸沿いに数日進んだところに、停泊に適当な湾があった。(アルゴア湾)
この湾の断崖の根本に、2本目の石柱を立てた。


 偵察に出た僚船が、この地点より海岸線は緩やかに北上している、と報告してきた。
「海岸線が、さらに北に向かっていることを確認できれば、我々はアフリカ大陸の南端を回ったことになる。」
「ぜひ確かめようではないか。」

 僚船の船長、インファンテが反対する。
「食糧、水が不足し、現地の住民は敵意を持っている。」
「病人も増えている。引き返すべきだ。」

 経験豊かな水先案内人のドアルテも
「乗務員は先の嵐で、さらなる前進に不安・不満を持っています。」
「2度の幸運は期待すべきではありません。引き返しましょう。」


 私は功を焦って周りをよく見ていなかったようだ。
幹部を巻き込んだ反乱でも起こされたら、今までの航海が水の泡となる。
「よし、針路変更、本国に向け、西へ!」

 
参考図:「大航海時代」、森村宗冬、新紀元社、2003
     
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