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第3話(1)

レイテ沖海戦(1)

 フィリピン方面の日本軍の航空兵力は、海軍の第1航空艦隊、陸軍の第4航空軍から成り、基地航空隊だけで800機を越えていた。さらに、台湾や本土からの増援1千機も期待できた。数の上では、ハルゼーの機動部隊に十分対抗できる兵力だった。

 しかし、運用のまずさや、パイロットの技量低下、敵戦闘機や対空砲火の技術革新などにより、不利な戦いとなった。ハルゼーにおびき出される形で各個撃破され、「航空決戦」は瓦解してしまった。

 10月20日、マッカーサー率いるアメリカ第6軍、16万人は、レイテ島タクロバンに上陸を開始した。
ここに大本営は「捷一号」作戦を発令、歴史に残る大海戦の幕が切って落とされた。

 本田らの哨戒特務艇は、レイテ島への進出を命じられた。丸2日の行程だ。
上空を両軍の編隊が忙しく飛び交う。
敵も小船などには目もくれない。

 オルモックで給油して、レイテ島の南端、スリガオ海峡の入口の哨戒にあたる。
昼間は島影に隠れ、行動は夜間だ。
「今度こそ、連合艦隊が敵艦隊を叩き潰すぞ。」
「日本海海戦の再現だ。」
「そう簡単にはいかないよ。」
「とにかく早くケリをつけて、国に帰してくれ。」

 海峡方面は島影が幾重にも重なっている。
もし、敵の艦隊が現れたら、一巻の終わりだ。その前に「打電」しなければならない。

 2日目の夜、敵飛行艇が上空を通過する。
魚雷艇らしき黒い影が頻繁に現れる。
攻撃されたら、とても太刀打ちできない。島影に退避する。

 3日目の夜、何か全体の空気が張り詰めてきた。
海峡方面から低い音が伝わってくる。
「右前方に艦影。大型艦多数。」
「味方と思われる。」

 本田は誘惑に勝てず、丸窓から外を見る。
檣楼のある真っ黒い、力強い艦が、白波を蹴立てて航走している。
次々とスマートな艦が通り過ぎる。
これからレイテ湾に殴りこみに行くのだ。
心臓の鼓動が高鳴り、胸が熱くなる。

     
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