ターナー中佐らが白金運び出し方法について相談しているとき、ソナー・レーダー係のマイクが割り込んできた。
「中佐、潜水艦らしきものが近づいてきます。」
「こんな浅い海域に入ってくるのは潜水艇だろう。」
「日本の調査船が潜水艇を使って調べているという報告もある、一時退避しよう。」
夜食後、ビールを飲みながら話が弾む。
「ベトナム沿岸で、ベトコンへの補給品を積んだ漁舟を沈めたときのことさ。」
「情報を得るため、スキューバダイブで舟の周りの海底を探しているとき、偶然バラバラになったジャンクを見つけてね。」
「そこで粉々になった陶磁器の山から無傷のものを2,3個持ち帰ったんだ。」
「それが何と500年も前のものでね。シンガポールで高く売れたので、仲間と、もういつ死んでも良いというほど、遊んだよ。」
「それが中佐殿のトレジャー・ハンター事始ですね。」
そして、話はカリブ海のスペイン黄金船の話に移り、深夜まで続いた。
台湾海峡に侵入してきたのは、北朝鮮のロメオ型潜水艦“R103号”だった。
同艦は、人民武力部から直接命令された特殊作戦の任務を負っていた。
その任務とは“祖国を蹂躙した日本帝国が東南アジアから収奪した阿波丸の財宝を取り戻し、わが強盛大国の建設に役立たせること”だった。
日本の帝国主義の亡者どもが、沈没した阿波丸の財宝を狙ってよからぬ動きをしている、という在日工作員からの情報が伝わり、この作戦が立てられたのだ。
作戦の内容を知っているのは、艦長パク中佐と特殊作戦部隊長イ大尉の2人だけだった。
他の者には、東シナ海での特殊作戦演習を行う、と通知された。
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