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第4話(1)

苦戦(1)

 前夜の戦闘で、操縦手の渡辺伍長が飛び込んできた破片で眼を負傷して後送された。
交代要員として、破壊された中戦車の操縦手だった六角伍長が配属されてきた。

 頭部を負傷しており、あきらかに不満のようだ。
こちらの意思がなかなか伝わらない。

 「敵機接近!対空戦闘用意!」
こちらに対空砲はない。
分散して、浅く掘った掩体に車体を移動させる。

 2千メートル程の低空を、十数機の編隊が2つに別れ、そのうちの1つが迫ってくる。
「発煙筒たけ!」
タン、タンと小銃弾が打ち上げられる。

 ドシン、ドシン、ドシン
車体が持ち上げる。土砂がザッとかぶさってくる。

 爆煙が収まった後に、トラックがすっぽり入る程の穴が開いていた。
そのそばに、軽装甲車が1台、横倒しになったのが見える。

 「敵車両群、右側面1500m!」
いつのまにか、敵装甲部隊が浸透してきている。

 側面から接近してくる。
1000m程離れたところから戦車砲弾、野砲弾、機銃弾が飛んでくる。
こちらからも応射するが、らちが明かない。
そのうち、我方に損害も出始めた。

 「山本、羽山、木村小隊、敵を蹴散らせ!援護する。」
突撃命令だ-言うは易く、行うは命がけだ。

 後方に移動し、突撃命令を待つ。
信号弾が上がった。
「全速前進!」

 左右の小隊が飛び出す。
我車のエンジンが中々かからない。
「どうした!」
「セルモータが不調です!」

     
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