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第3話(3)

 カーグ島へのミサイル攻撃(3)

 島の基地コントロールセンターで、IJPCサイトでのカウンターパートナーだったラシカリに、ばったり出会った。
「やあ、元気そうだね。」
「ハッサンもお元気そうで。プラントの工事再開の関係でこちらへ?」

 ラシカリはすっかり日焼けをし、精悍な顔つきになっていた。
今はイラン海軍の中尉として、島周辺を哨戒するミサイル艇の副長をしている、という。
幹部学校での教育、訓練の後、ここに配属された、とのこと。

 以下、彼の語る“ラシカリ中尉奮戦記”である。

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 我が祖国、ペルシャを侵略したフセイン・イラクを粉砕する役目がいよいよ回ってきた。
配属されたのは、プーシェルに基地を置くミサイル艇だ。
艦対艦ミサイルを2基装備し、33ノットの高速が出せる新鋭艦だ。

 しかし、それを動かす人間のレベルは、がっかりする状態だった。
艇長は予備役から引っ張り出されたロートルだ。
下士官、兵の技量も未熟で、やっと艇を動かせる程度だった。

 「艇内にあった装備のマニュアルを不眠不休で読んで、下士官、兵と協力して任務に就けるようにしました。」
「JSPCでの経験が役に立ちました。」

 何とか様な状態になった頃、カーグ島海域の哨戒任務が下った。

 ミサイル艇は、島の西海域をパトロールする。
イラク海軍は無きに等しいので、イラク空軍機の警戒だ。
防御兵器として、レーダー連動の高角砲と機関砲を持っているが、ミサイルに対しては無力だろう。
レーダーに写る輝点(ドット)の情報を、その都度本土の情報センターに送る。

 ある日のパトロールの最中だった。
西方から高速で、まっすぐ島の方向に近づく2つのドット。
「あやしいな。」
警戒していると、ドットから小さな点が離れた。

 「ミサイル発射だ。島に連絡しろ!」
ミサイルは海面上を低空で飛ぶので、追跡は困難だ。

 エグゾゼ・ミサイルはマッハ0.95、40キロを約2分で飛ぶ。
一瞬の気の緩みが命取りになる。

 そのミサイルは、カーグ島沖のタンカーを狙ったものだった。
 

 参考図:「ミサイル艇」、イランBing画像
     
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