(ファジンの話 その3)
インテル社はノイスとムーアの2人3脚で始まった。
ノイスがアイデアを出し、ムーアが研究開発する。
ノイスが目をつけたのは、金属酸化膜半導体(MOS)メモリだった。
「製造法が難しいが、これなら他者との差別化を図れる、と2人は予測した。」
「全員、と言っても10名だったが、不眠不休でチップの設計法や製造法を短期間で開発し、市場に投入したのだ。」
こうして従来のフェライト・コア・メモリを駆逐し、半導体メモリがROM(Read-only Memory)やRAM(Random-access Memory)の主役になった。
「この会社の特色は、常に新しいものを生み出そうとしていることですね。」
「君の会社と共同開発しているLSIも、新しい発想で将来性があると読んでいる。」
「今の従業員数は200人ほどのようですが、社内序列のようなものや役職などはあるのですか?」
「ない、ない。平等主義で非常に風通しの良い組織だ。」
「東部の企業では、問題解決はトップダウンで行われるが、インテルでは自分たちで問題を解決する方法を探り、それを下から上に持ち上げているんだ。」
権限を担当者に持たせ、そのかわり責任も持たせる、ということが徹底しているようだ。
「“攻撃的、かつ民主的”というのが我が社のモットーさ。」
ビジコン社もベンチャー企業のようなものだが、それでも組織は官僚主義的な縦割りだ。
インテル社の社風はひどく魅力的に見える反面、
“自分にやっていけるだろうか?”との思いも心に浮かんだ。
参考図:「マイクロコンピュータの誕生」、嶋正利、岩波書店、1988
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