2.義和団誕生
しばらくして、外国資本による天津―北京間の鉄道建設
が始まった。
徐らは強制的に苦力として、建設作業に駆り出される。
拒否すれば、牢屋行きだ。
作業には、他村からの農民も来ていた。
徐は、武清県からやってきた劉という、全身がバネのような
若者と知り合いになった。
「俺たちは“義和拳”という結社をつくって日々鍛錬に励んでいる。」
「俺たちのあがめる神様は“孫大聖”(神格化した孫悟空)だ。」
「武術により鍛錬すれば、神様が乗り移って刀や槍も受け付けない
不死身の体になるんだ。」
「お役人や官兵は頼りにならん、俺たちの生活は自分たちで守るんだ!」
徐は村に帰って“梅花拳”に働きかけ、“義和拳”と協力して
活動するようにした。
名前を「義和団」とする。
翌年はひどい干ばつだった。
それに疫病と重税が追い打ちをかける。
困窮した村民の中から声が上がる。
「この天災の原因は洋人(外国人)や教民(中国人キリスト教徒)
の呪術のせいではないか?」
義和団の一部は教会や教民の家に押し掛け、殺人、暴行、略奪を行う。
清の官憲は、これを黙認したため、暴動は各地に広まった。
参考図:「義和団事件風雲録」、菊池章太、大修館書店、2011