待機中の昼下がり、5人で賭けポーカーをしていると、新兵が艇要員として入ってきた。
「よお、入れよ。」
「志願してきたんだって?ジョーといい、お前さんといい、信じられんな。」
「親父はこの間の戦争で勲章をもらったんですよ。負けてられませんよ。」
特別任務の中尉が艇に乗り込んできた。
ベトコンの活動水域の無人島で、サンパンに潜み、敵のサンパンの活動を偵察する任務だ。
連絡を受けたら、1マイルほど離れたところで待機している4隻のPBRが敵を急襲する、という作戦だ。
無人島に着いたところで、曳航してきたサンパンに中尉が乗り込む。
「30分ごとに連絡する。」
「自分が見つけられたら、すぐに助けに来てくれ。寝るなよ!」
蚊の攻撃に悩ませられながら、待機する。
夜中を少し過ぎた頃、連絡が入る。
「怪しい光信号が見える。」
「サンパンが数隻、左岸を離れ、河の中央に向かっている。」
「銃を持っているやつが居る。ベトコンだ!」
艇が急発進して、飛び上がる。
真っ黒い水面に、艇の船首が切り裂いた白波が光る。
数分で現場水域に着く。
エンジン音に気づいた数隻のサンパンが、全速力で岸に引き返そうとしている。
「撃て!」
数本の火線が艇隊から飛び出す。
サンパンは水煙に包まれた。
突然、1隻が真っ赤な火の玉となって爆発した。
弾薬でも積んでいたのだろう。
そのとき、岸から機銃弾やロケット弾が飛んできた。
1隻のPBRが針路不安定になり、離脱する。
岸に向かって射撃するが、相手が見えないので不利だ。
「よし、後退だ!」
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