ロンドンからヴィッカース社のあるイギリス西部のバローに移動する。
車窓からは、緑したたる田園風景が広がっているのが見える。
“なんて平らな土地なんだろう、うらやましい限りだ。”
しかし、風景に浸っている余裕はない。
寸分を惜しんで、今後のスケジュールの打合せをする。
夕方、広大なヴィッカース社の造船所についた。
戦艦「金剛」設計主任ジョン・サーストン卿に着任の挨拶をする。
卿は背の高い、目つきの鋭い英国紳士だったが、我々を温かく迎えてくれた。
担当者から「金剛」の建造状態の説明を受けた後、明日からのスケジュールの調整を行った。
宿舎に案内され、遅い夕食をとる。
硬い肉とジャガイモとキャベツのスープ、ライ麦パンの質素なものだった。
ここで吸収すべきことが山のようにある。
興奮してなかなか眠れなかった。
6時起床。外はまだ暗い。
7時始業。
大勢の作業員、所員が各工場や部署に散っていく。
担当のリード氏に案内され、各部署を回る。
「金剛」は一番奥のドック内で、船体建造中だった。
足場が組まれ、艦底部分はすでにできあがっていた。
巨大なガントリークレーンが船殻の一部をつり下げて動き回る。
大勢の作業員が足場に取り付き、船体を組み立てていく。
次の機械工場では、「金剛」に取り付ける缶や蒸気タービンの一部が制作中だった。
機関は我が国の弱いところで、大いに勉強する必要がある。
次に兵器工場に向かう。
そこでは「金剛」にのせる巨大な36センチ連装砲塔部分が製作されていた。
この分野も我らが大いに吸収しなければならない所だ。
参考図:http://dragoner-jp.blogspot.jp/2014/06/blog-post_6.html
最新の画像もっと見る
最近の「連合艦隊の誕生」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
- クリミアの歴史(7)
- 「オリエント急行」バルカンを行く(9)
- ウイルスって何だろう(6)
- 不死身の通信ネットワークを構築せよ!(6)
- ヒトラーのいない第二次世界大戦(7)
- 不思議な病気(8)
- 秀吉の野望と挫折(9)
- 生命の源「アミノ酸」(6)
- 「ドイツ民主共和国」の消滅(8)
- ナイルの水争い(8)
- ドン・カザーク(19)
- 貧者の空軍(9)
- 地震って何?(7)
- 遥かなる海へ(16)
- 北軍兵士の見た「風と共に去りぬ」(12)
- 脳内麻薬を捜せ!(9)
- 19世紀パリの光と影(9)
- 若宮丸の航跡(9)
- 原爆スパイ(8)
- 「北京の55日」番外編(8)
- 「地球外生命」はいるか?(5)
- 「林彪事件」の謎(8)
- 金(きん)(8)
- 国歌いろいろ(6)
- 悪党(鎌倉末期)(6)
- 老化を防げ!(5)
- 森の中に消えゆくトラ(4)
- テスラー成功と挫折(7)
- 国境とは?(25)
- 日記(0)
- 大西洋(696)
- ソマリアの青い海(20)
- 吹雪のバルト海(24)
- ペルシャ湾波高し(24)
- ロック・オン(20)
- ワレ「雪風」ト共ニ(20)
- 騎兵隊、前へ!(26)
- 惑星の動きを探れ!(19)
- 東方見聞録序章(25)
- 元素を捜せ!(25)
- レアメタルは戦略物質だ!(6)
- 種はどこから?(17)
- 智の都、アレクサンドリア(20)
- 文化大革命の嵐(22)
- 世界は微生物で満ちている!(19)
- 連合艦隊の誕生(17)
- 鉄砲見参!(18)
- 成功は失敗の始まり(17)
- 黒船の影(19)
- 石油の一滴は血の一滴(15)
- 前門の虎、後門の狼(8)
- 月をめざして(18)
- 水の不思議と太陽の恵み(17)
- がんの正体をあばけ!(10)
- 旅行(0)
- グルメ(0)
バックナンバー
人気記事