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第4話(3)

 革命の足音(3)

 その年は夏に雪が降るほどの冷害で、フランスは未曾有の大飢饉となった。
パンをはじめとする食糧の価格が高騰する。

 しかし、支配層は無策で、減税さえ行わなかった。
冬には、パリでも凍死者、餓死者が続出した。

 「パンをよこせ、物価を下げろ!」
「俺たちがこれだけ苦しんでいるのに、聖職者や貴族は税金を支払わない上、たらふく食べている。」
「王様に直訴しよう!」

 フランス各地で暴動が相次いで起こり、社会不安が高まった。

 カミーユの家でも、スープに肉が入ることはなくなった。
近所のおばさんに泣きつかれる。
「カミーユ、お前さんは貴族の家で働いているんだから、少しばかり食糧を分けてもらってきておくれ。」


 資産家と一部貴族の圧力により、国王ルイ16世は聖職者、貴族、平民の代表からなる三部会を招集した。
当時のフランスの人口は2,300万人で、その内、聖職者は10万人、貴族は40万人で他は平民だった。

 しかし、三部会の議員構成では、聖職者、貴族が各々25%、平民50%だった。
ラヴォアジエは貴族出身の議員に選ばれた。


 実験室内の研究者達も落ち着かなかった。
「フランスもイギリスのような立憲君主制にすれば良い。」
「王制では先がない。ローマの昔に戻って共和制にすべきだ。」
「現在の不平等さを軽減して、食糧不足が解決されれば、落ち着くさ。」

 ラヴォアジエが部屋に入ってきた。
「諸君、政治の話はおしゃべり野郎どもに任せて、化学の研究を続けよう。化学は為政者が変わっても、裏切らないぞ。」

 参考図:「朝日百科 世界の歴史(18世紀)」、朝日新聞社、1991
     
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