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トラファルガル海戦(17)

 原本はイギリス人、Shippen Edwardにより書かれた「Naval battles of the world: from Salamis to Japan Sea」(1905年刊)で、サラミスの戦いから日本海海戦までの歴史的な海戦を紹介している。 日本は周囲を海に囲まれてはいるが、とても海洋国家とはいえない。日本人がはるかなる海に眼を向けたのは、室町や明治のほんの一時期にすぎない。世界では海の支配をめぐり、いくたびかの戦いが繰り広げられた。それを垣間見ることにより、歴史の舞台では忘れられがちな部分にスポットを当ててみよう。

TRAFALGAR (17)
 “The ship’s company of the Redoutable bravely accepted the unequal combat. From the tops, as well as from the batteries, they answered the fire of the English, and, in this singular fight, one rather of musketry than of great guns, the French had rather the advantage.”

 “The decks of the Victory were burdened with the dead. In the midst of the noise and confusion, and smoke of combat, Nelson and Captain Hardy walked the poop. Not far from them a few men were exchanging a brisk musketry fire with those in the tops of the French ship. Suddenly the Admiral staggered and fell, with his face to the deck. A ball fired from the mizzen-top of the Redoutable had struck his left shoulder, passing through the epaulette, then through the chest, and lodging in the dorsal vertebrae.”

 Admiral Jurien de la Graviere says, “They picked him up at once, the decks being covered with his blood. Hardy, who had not seen him fall, turned, and, paler than Nelson himself, cried, ‘ I hope, my Lord, that you are not dangerously wounded!‘ ‘ They have done for me, ‘ he answered; ‘ They have succeeded at last; the spine of my back is broken. ‘ ”

トラファルガル海戦(17)
 “ルドウタブルの戦闘員は、勇敢に不公平な戦いを受けて立った。  砲列からはもちろん、檣楼(帆柱の上部にあるものみやぐら)からもイギリス艦に砲火を返した。  この特異な戦いでは、大砲より、スランス側が優位だったマスケット銃が威力を発揮した。

 死者がヴィクトリーの甲板に折り重なっていた。  騒音と混乱、砲煙の真っ只中、ネルソンとハーディ艦長は後甲板を歩いていた。  2人の近くで何人かの兵がフランス艦の檣楼にいる敵とマスケット銃で銃火を交えていた。  突然、提督はよろめき、顔から甲板に倒れた。  ルドウタブルのミズン・トップからの弾丸がネルソンの左肩を撃ち抜いたのだ。  弾丸は肩章から肺を貫通し、背中の脊椎に達していた。“

 ジュリアン・デ・グラビエ提督は次のように言っている。  “周りの者が一度彼を助け起こした時、甲板は彼の血で溢れていた。  ネルソンが倒れたのを見なかったハーディ艦長は、向き直り、ネルソンより青ざめて叫んだ。 ‘神よ、あなたが重傷ではないことを!’  ネルソンはそれに答えて、‘やつらは、わたしをやっつけた-やつらは、ついに成功した-わたしの背骨は折れてしまった----’” 

(ひとこと)
 マスケット銃は当時の一般的な小銃で、銃身が約1mあった。  大砲と同じく、薬包と弾丸を銃口から押し込んでから、手前の点火孔にも少量の火薬を入れ、火打ち式発火装置により点火、発砲した。  銃身には旋条がないため、命中精度は悪かった。  しかし、弾丸重量が大きかったため破壊力があり、約40mの距離から5cm厚さの樫材を貫通できた。  また、弾丸の材質が鉛であったため、弾が体内で砕けた場合、致命傷になった。
〔参考文献:ロイ・アドキンズ著、山本史郎訳「トラファルガル海戦物語」、原書房〕
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