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第4話(1)

 ジハード(聖戦)(1)

 初田は復旧工事に関する提案書を作成し、早々にカーグ島を離れた。
途中のブーシェルで、怪我で入院している、島で世話になったイラン人技術者を訪ねた。

 別れ際にふと隣のベッドを見ると、IJPCプラント建設の際、通訳をしていたハキミが弱々しく笑っている。
「やあ、大変だね。どうした?」
「イラク南部の戦闘でやられました、名誉の負傷です。」

 「IJPCプラントの工事中断のあと、すぐ僕は革命防衛隊に入りました。」
「イスラムの教えに沿った国作りに参加したかったのです。」

 ハキミが語る厳しい戦争の現実に、かける言葉を失った。

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 皆、有頂天になっていた。

 ホメイニ師がすべて上手くやってくれる。
緑のバンダナを巻き、隊伍を組んで布教活動や慈善活動をした。

 棒や刀で武装し、王制派だった軍人や特権階級の邸宅に押しかけ、シュプレヒコールをあげ、投石した。

 80年4月、テヘランのアメリカ大使館で、学生らに拘束されている人質を救出しようとするアメリカ特殊部隊の作戦が失敗するという事件が起きた。
僕らは激高し、アメリカ大使館に押しかけ、占拠している学生らを激励した。

 革命後の混乱が続いていた80年9月、アメリカに支援された強盗、フセインが祖国に押し入ってきた。
「フセインはイランの革命を押しつぶそうとしている、銃を取れ!」

 皆、前線行きを希望した。

 しかし、僕は兵站部隊に配属された。
武器が十分にない、とのことだった。

 前線に行く友人と言葉を交わす。
「アハマッド、俺たちに代わって悪魔を叩きつぶしてくれ!」
「インシャー・アッラー(アッラーの御心のまま)」

 参考図:「イラン革命防衛隊」、宮田律、ランダムハウスジャ
     
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