4.事件の背景
- 文革時の、その時の指導部には2つの路線対立があった。
林彪らの、文革により達成された成果を守ろうとするグループと、
周恩来らの文革による混乱を抑え、国を正常状態に戻そうとするグループの対立である。
毛沢東は文革による想定外の混乱による国力の衰えを自覚し、
支持を林彪らから周恩来らに変えようとした。
- 国家主席の問題。
林彪らは、劉少奇失脚の後、空いている国家主席に毛沢東(党主席)
が就任することを強く要請したが、毛沢東は何度も断った。
毛沢東は、林彪は国家副主席の後、自分が主席になるという野心を
持っているのではないかと疑った。
- 文革時、中国は2つの敵を持っていた。
一つは、路線対立や国境紛争で争っているソ連と、もう一つは、
蒋介石を支援し、朝鮮やベトナムで対峙している相手、アメリカである。
林彪らは、アメリカがより危険な敵とみなしていた。
一方、周恩来らは、ソ連がより危険な敵とみなしていた。
毛沢東は周恩来らを支持し、アメリカとの関係改善を試みる。
参考図:「紅色新聞兵」、李 振盛撮影、リチャード・シュラッグマン発行、
ファイドン(株)、2005