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第2話(1)

 天山を越えて(1)

 玄奘は危機を乗り越え、天山山脈の麓にある伊吾(ハミ)にたどり着く。

 西域のオアシス諸国は、国の形を保ってはいたが、北の西突厥に隷属していた。

 そこで玄奘は思わぬ歓待を受ける。
玄奘の名声は、シルクロードを往来する商人達によって、西域に広まっていたのである。

 伊吾王は仏教に帰依しており、寺院では多くの僧が修行に励んでいた。


 玄奘は伊吾から天山山脈を越え、草原ルートをとるつもりだったが、伊吾の西にある高昌国(トルファン)国王の招待を受け、タクラマカン砂漠に足を踏み入れる。

 高昌王は仏教の布教に熱心で、各地に寺院、仏閣を建てていた。
「法師よ、我ら全員を法師の弟子にし、法師はここで仏法を講じて欲しい。」
「私はいまだ修行の身です。天竺に行き、真の仏法を学び、人々を救わねばなりません。」

 王は玄奘のため、最大限の援助を与える。
世話役の従者、黄金、絹、馬30頭等々である。
また、旅の途中にある国々の王への紹介状、贈り物も付け加えた。


 玄奘一行は高昌を後にし、西へと進む。
トルファン盆地は炎熱地獄である。
熱のため陽炎が生じ、山全体がゆらゆらと燃えているようだ。


 それを過ぎると、切り立った崖にへばりついているような道が続く。
強風が吹きすさび、落石が襲いかかる。

 参考図:「図説 三蔵法師の道」、松本栄一他、河出書房新社、1999
     
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