(嶋の話)
1970年春、「Computer on a Chip」プロジェクトがスタートして半年、“4004ファミリー”と名付けられた4枚のLSIチップセットの設計が終了した。
モデル4001:プログラムの保持をする、2048ビットROMメモリ
4002:処理データを格納する、320ビットRAMメモリ
4003:メインプロセッサとデータ・命令のやりとりをする入出力レジスタ
4004:中央処理論理チップ(CPU)
「汎用型マイクロプロセッサの完成だ!」
「電卓だけでなく、いろいろな分野の機器の頭脳として使えるぞ!」
ホフとファジンと私は、手を取り合って喜んだ。
早速、プロトタイプ(試作品)の製造に入る。
製造部門のマスク設計者に詳細な仕様書を渡す。
それでも、細かい部分で行き違いが生ずる。
製造部門の人には、随分うるさがられた。
3ヶ月後プロトタイプが完成し、その5センチのウェーハをテスト装置にかける。
皆が固唾をのんで見守るが、信号は何も出てこない。
冷や汗が出る。
顕微鏡でウエーハを調べると、チップ表面の回路の層が1枚乗せ忘れていることがわかった。
再びテスト装置にかける。
--------------- 成功!-------------
小さなバグはあったが、おおむね正常に動作した。
“1年半の苦労が報われた、よかった!”
この世界初のマイクロプロセッサ「4004」は、ビジコン社に向けて1971年3月、出荷された。
参考図:http://www.dentaku-museum.com
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