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第2話(2)

 蝕まれる祖国(2)

 1793年、ロシアとプロイセンはフランス革命の混乱を利用し、ポーランドの第2次分割を行った。
ポーランドは最盛時の領土の3/4、人口の2/3を失い、ヨーロッパの小国になってしまった。


 騎士学校近くのカフェハウスは、若者達の熱気で溢れていた。
パリッとした制服を着た騎兵の士官が、椅子の上に立ち上がって檄を飛ばしていた。

 「我らのコシチューシコ将軍が、古都クラクフで立ち上がったぞ!」
「先日、クラクフの市庁舎で、集まった市民に呼びかけられた。」
「将軍は“祖国を守り、ポーランドの主権を回復し、自由を我々の手に取り戻すため戦う”と宣誓したのだ。」

 「諸君、今まさに祖国は存亡の危機にある。」
「身分にとらわれず、全てのポーランド人は将軍の指揮の下、祖国防衛の闘いに加わろうではないか!」
“オーーーー”

 ジグムントは皆と一緒に立ち上がり、拳を挙げた。

 「ロシアの強盗共を追い出せ!」
「我らがコシチューシコ将軍、万歳!」

 その場の勢いに押されて立ち上がったフーゴが、心配顔で呟く。
“勝てるか、ロシアのやつらに ------- ”
“負けたら、ほんとうに国がなくなるぞ ------ ”

 コシチューシコは青年時フランスに渡り、そこの士官学校を卒業した。
その後、アメリカの独立戦争に加わり、ワシントンを助ける。
ポーランドに戻ってから、国王の進める憲法制定に関わった。

 しかし、それがロシアの力により潰されると、ロシア軍排除を目指し、武力蜂起を計ったのである。
将軍は各地に、義勇兵を募る密使を送った。

参考図:「ポーランドの歴史」、イェジ・ルコフスキ、創土社、2007
     
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