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英語で読む海戦史(45)

原書は、著名なアメリカの海戦史家Samuel Eliot Morisonの「The Two-Ocean War」です。内容は第2次世界大戦におけるアメリカ合衆国海軍の太平洋と大西洋における戦いを描いたものです。日本との太平洋における戦いの部分に関しては、光人社から「モリソンの太平洋海戦史」(大谷内一夫 訳)として出版されています。あまり知られていない、ドイツとの大西洋における戦いの部分に関して、英語の勉強をかねて読んでみました。

(原文)
Chapter ⅩⅡ Atlantic (August 1943―June 1944)
45.
The few U-boats that managed to slip the Cape Verdes in 1944 did so by grace of snorkel, which enabled them to cruise continuously submerged and escape the attentions of escort carrier groups and land-based planes. But the chief theater of activity for snorkel-equipped submarines was the North Atlantic. This device, which the Germans stole from the Royal Netherlands Navy, was a combined air intake and gas-outlet that allowed submarines to run their diesels submerged, charging batteries if needed. It took the shape of a streamlined steel cylinder which was provided with an automatic float valve to keep out sea water, and a small radar grid. When the snorkel was in use, it made a “feather” on the water scarcely bigger than that of a periscope head―almost impossible to pick up by the radar sets in use in 1944.

Doenitz regarded the snorkel as a mere stopgap until he had Type XXI, with diesel-electric propulsion and new, much more powerful batteries, in operation. In the spring of 1944 he began to send snorkel-equipped boats on nuisance raids to the East Coast of America in hope of sinking strategic cargoes destined for the invasion of Normandy. They accomplished nothing and, in spite of the snorkel spurt, total losses of merchant ships to U-boats fell, in May 1944, to an all-time low of four ships.

(訳)
第12章 大西洋の戦い(1943年8月―1944年6月)
45.
        1944年には、少数のUボートのみ、シュノーケルのおかげでベルデ岬を通過できた。  シュノーケルにより、Uボートはずっと潜航でき、護衛空母グループと陸上基地からの航空機の眼を逃れることができた。  しかし、シュノーケル装備潜水艦の主たる活動舞台は大西洋だった。  ドイツ軍がオランダ海軍から盗んだこの装置は、空気の吸入管とガスの排気管より成り、潜水艦が潜航中にもディーゼル機関を作動させ、必要なら蓄電池を充電させることを可能にした。  それは鋼鉄製の流線形状の筒の形をしており、海水の浸入をふせぐための自動的に作動するフロートバルブと小さなレーダー・グリッドを備えていた。  シュノーケルが使われている時は、水面に潜望鏡の航跡よりわずかに大きな航跡を作ったが、その状態は1944年に使われていたレーダー装置では、ほとんど検知不可能だった。

        デーニッツはシュノーケルを、ディーゼル&電気推進方式で、新型のより大容量の蓄電池を持った21型Uボートが作戦可能になるまでの、単なる穴埋めとみなしていた。  1944年の春デーニッツは、ノルマンデー侵攻用の戦略貨物を沈めたいと思い、アメリカ東沿岸に擾乱攻撃をかけるため、シュノーケル装備の潜水艦群を派遣し始めた。 しかし、Uボートはシュノーケル出現の衝撃にもかかわらず、何も達成できなかった。  1944年5月のUボートによる商船の損失は4隻で、今までで一番の小ささだった。        

(注釈)
シュノーケルによりディーゼル機関で潜航しながら推進すると、海面に白い航跡と排気煙が流れ、航空機に発見される恐れがあったので、シュノーケルは夜間に限って使用された。  しかし、レーダーには検知されなかったので、敵の目から逃れるには、非常に有効だった。
〔参考文献:デビット・メイソン著「Uボート」、サンケイ出版〕
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